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ハウスリセットのすすめ【牧野知弘】
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2026年4月18日

大相続時代の不動産戦略。ハウスリセットの3パターンとは?価値が膨らむ不動産と萎む不動産の違いとは?50代からの不動産について牧野知弘氏に聞いた。 <ゲスト> 牧野知弘|オラガ総研 代表 東大卒業後第一勧業銀行(現みずほ銀行)BCGを経て三井不動産へ。数多くのビル開発や証券化を牽引。2005年パシフ...
50歳からの不動産戦略:人生100年時代を豊かに生きる資産運用術
不動産価値の二極化が加速し、AI時代の到来により働き方やライフスタイルも大きく変化する今、50歳からの不動産戦略は人生後半戦を豊かに生きる上で極めて重要となる。
本稿では、激変する不動産市場で、自身の資産を最大限に活用し、新しい時代に対応したライフプランを実現するための具体的なヒントを専門家の見解を基に解説する。
従来の不動産を所有し続けるという価値観にとらわれず、「ハウスリセット」による含み益の現金化、将来性あるエリアの選定、そして相続問題や新たな投資先の見極めなど、多角的な視点からアプローチする必要がある。
会社中心だった前半の人生から脱却し、50歳以降の自分らしい生き方を築くための指針を示す。

Q. 現在の不動産市場はどういう状況で、自身の保有物件の売却タイミングをどう見極めるべきか?
現在の不動産市場は、価値が伸びるエリアとそうでないエリアが明確に二極化している状況だ。建物の豪華さではなく、「土地や街の将来性」が不動産価値を大きく左右する。
例えば、築40年のマンションでも、青山なら「ヴィンテージ」、郊外なら「ボロ物件」と見なされるケースがある。自身の保有物件の価値を判断する際は、新しさだけでなく立地の潜在的価値に注目し、今後の発展性を見通すことが重要である。
Q. AI時代の到来で働き方やライフスタイルが変化する中、これからの不動産戦略ではどのような「街選び」が重要になるのか?
AIの台頭は働き方を大きく変え、通勤優先の街選びは過去のものとなりつつある。これからはAIを操れるような「優秀な人材が好んで集まる街」が、不動産価値を維持・向上させるポイントになるだろう。
品川・羽田エリアや築地跡地のような大規模エンターテイメント施設周辺、IT産業が集積する渋谷などは、多くの人が集まり、今後の発展が見込める狙い目のエリアだ。5年から10年先の都市開発計画や人の流れを読むことが肝心となる。
Q. 50歳からの人生設計において、「ハウスリセット」という考え方はどのように有効活用できるのか?
ハウスリセットとは、所有する不動産の「含み益」を売却によって現金化し、その資金を人生を豊かにするために再投資・活用する考え方だ。含み益は、売却して初めて「自分のお金」として意味を持つ。

50歳以降は資産形成だけでなく、築いてきた資産をどう使うかという視点が重要となる。得た現金を老後資金に充てたり、趣味や新たな経験のために使ったりと、自分のQOL(生活の質)向上のための「軍資金」とするべきだ。
Q. 都心居住にこだわる、あるいは郊外・地方移住を検討する場合、それぞれどのような戦略があるのか?
都心に住み続けたい場合は「ダウンサイジング」が有効だ。子供が独立し夫婦二人になった際、不要な広いスペースを手放し、50〜60平米の物件に買い替えることで、利便性を保ちつつまとまった現金を確保できる。

一方、郊外・地方移住も有力な選択肢となる。例えば、湘南や小田原といった自然豊かな地域であれば、安価な中古戸建てを拠点に、趣味を謳歌しつつ必要に応じて都心へアクセスするといった二拠点生活が可能だ。移住を検討する際は、憧れだけでなく気候やコミュニティに合うかを「お試し移住」で検証するのが失敗しない鍵となる。
Q. 「親の家」を相続する際に注意すべき点は何か?また、50歳以降の資産形成で考慮すべきリスクとは?
50代からの人生設計において、親の家は時に「負動産」として足かせになりうる。子供世代が親の家に住みたがらないケースは多く、放置すれば維持費や管理の負担が増大する。
最も危険なのは、親が認知症などを患い、不動産に関する法的な行為ができなくなることだ。親が元気で意思能力があるうちに、相続後の売却や維持について家族会議で方針を決定しておくべきである。家族信託などの制度活用も検討に値する。
Q. 自宅売却後の資金を投資に回すとして、Jリートはどのようなメリットとリスクがあるのか?
自宅売却で得た現金の再投資先として、Jリートは魅力的な選択肢である。自らアパート経営をする手間やリスクがなく、プロが多様な不動産を運用し安定した配当収入を期待できる点は、特に50代以降にとってメリットが大きい。

しかし、今後の金利上昇局面では銘柄の選別が重要となる。LTV(有利子負債比率)が低い健全なファンドや、預かり資産残高が大きく安定している銘柄を選ぶことが、リスクを抑え長期的な配当生活を送る上での鉄則である。短期的な値上がり益よりも、安定したインカムゲインを重視するべきだ。
Q. 人生100年時代を豊かに生きるため、50歳からの不動産との関わり方をどう捉えるべきか?
50歳は人生の後半戦のスタート地点であり、これまでの価値観をリセットする良い機会だ。会社中心だった生活から離れ、自分の内面と向き合い、どんな人生を送りたいか、定年を待たずに計画を練るべきである。
50歳以降に大儲けを狙うようなハイリスクな投資は避け、むしろ若い頃に築いた資産(特に自宅の含み益)を「どうすれば自分のために最大限有効活用できるか」という戦略に思考をシフトさせることが重要だ。自らの人生を豊かに彩るための賢明な資産活用が求められる。