TIME IS
就活最新情報の裏側と内定必勝戦略/理系最強・文系淘汰/企業が欲しがる2種類の人材【竹内健登】
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2026年3月1日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、就活塾「ホワイトアカデミー」代表・竹内健登氏に「就活最新トレンドと内定必勝戦略」を聞いた。 <出演者> 竹内健登|就活塾「ホワイトアカデミー」代表 <参考書籍> 『子どもを一流ホワイト企...
激変する就活の最前線 大手企業が求める「最高級のダイヤモンド」とは?
今日の就職活動現場では、これまで当たり前とされてきた常識が次々と覆されている。大手人気企業がインターン制度を廃止したり、書類選考を取りやめたりする一方で、「コミュ力の高い理系」が“最高級のダイヤモンド”と評されるなど、採用のトレンドは激しく変化している。
本記事では、アバロンコンサルティング代表の竹内健登氏の解説をもとに、大手企業の採用戦略の変化と、それに対応する学生が取るべき具体的な戦略を、Q&A形式で深く掘り下げていく。新卒で入る会社が、その後の40年の人生を決定づけると言われる現代において、学生は何をすべきなのか?

Q. なぜ今、新卒での「大手ホワイト企業」への就職が重要なのか?
大学の4年間は、その後の40年にわたる人生の難易度を決定する「投資枠」である。どこに時間を投資するかで、働く時間、使えるお金の量、住む場所、出会う人間関係の質まで、人生のあらゆる側面が規定されてしまう。
多くの学生は、「少子化だから売り手市場」という幻想を抱きがちだが、大手企業に限って言えば、過去30年間で一度も売り手市場だったことはない。プライム上場企業に入れるのはMARCHで約3割、早慶でも約4割と、大手への道は依然として非常に狭いのが現実である。
大手企業は、高い給与水準や充実した福利厚生に加え、その後のキャリアを形成する上での土台となる質の高い教育を提供している。転職の際にも「前職の社格」が重視されるため、新卒で名のある大手企業に入社することは、その後のキャリア選択肢を広げる上で決定的に重要となる。また、高額療養費制度の見直しが議論される中、大手企業の健保には医療費の自己負担を月2万円程度に抑える「付加給付」といった、強力なセーフティーネットが備わっており、生活の安定においてもその恩恵は計り知れない。
Q. 現代の就職活動における最も大きな変化とは何だろうか?
就活が「早期化している」という認識は正確ではない。本質的な問題は、活動期間が異常に「長期化」している点にある。従来の経団連ルールでは3年生の3月から始まり4ヶ月で終了していたが、現在では2年生の3月からサマーインターンのエントリーが始まり、内定が出るのは4年生の6月という状況も珍しくない。この活動期間は実に1年4ヶ月、かつての約4倍に及ぶ。

このマラソンのような長期戦は、学生の学業や研究への集中を妨げ、多大な精神的負担をかけている。企業側もこの長期化の影響を認識し、学生の学業専念を促すといった表向きの理由で、戦略的な変化を打ち出すケースが見られる。しかし、結果的に学生側の負担軽減には繋がっていないことが多い。
Q. 大手企業がインターンシップを廃止したり、書類選考を取りやめたりする真の狙いは何だろうか?
三菱地所が27年卒のインターン廃止を発表した背景には、費用対効果の悪化がある。外資系の投資銀行や戦略系コンサルを目指すトップ層の学生が、練習目的で大手デベロッパーのインターンを受験し、内定が出ても辞退してしまうケースが頻発していたのだ。
企業はインターンの運営に多大な人的コストをかけており、内定辞退が続けばかけた費用は無駄になる。本選考の段階であれば、既に外資系から内定を得て就活を終えている学生を避けることができる。さらに、最終選考で他社の内定を複数持っている学生は、客観的に優秀であることが証明されており、こうした「実証済みの強者」を効率的に獲得できるという狙いもある。
一方、ロート製薬は書類選考を廃止し、15分の対人面接を最初のステップとする「エントリーMeet採用」を導入した。これはAIによってそれらしい文章が量産され、エントリーシートが形式的なものになっている現状に対応したものだ。この制度の本質は「先着順」であり、早く準備して予約した学生、つまり志望度の高い学生に絞って面接を行うことで、採用コストの削減と効率化を図っているのである。
Q. 企業の採用基準はどのように変化しているのか?文系学生の価値は低下しているのだろうか?
エネオスが事務系の新卒採用を見送ったように、現在、企業の採用は理系偏重へと明確に舵を切っている。AIやITの導入により、大手企業で必要な文系人材の総数が相対的に減少傾向にあるためだ。総合商社やデベロッパーといった上位学生が憧れる業界でも、採用に占める理系の割合は3〜4割に達している。

特に「コミュ力の高い理系」は、今の就活市場における“最高級のダイヤモンド”と言える存在である。技術的な知識に加えて、円滑な対人折衝能力を持ち、かつ僻地勤務や厳しい現場にも不満を言わずにコミットする傾向があるため、企業から絶大な需要がある。かつて「ものづくりは理系、販売は文系」という括りがあったが、コミュ力のある理系ならば両方をこなせると企業側が気付き始めたことも、この変化を加速させている。
一方で、AIに代替されやすい「ただ管理・処理するだけの人材」は真っ先に淘汰される危機に瀕している。エネオスの文系採用見送りは、その予兆とも言える動きだろう。企業は冷静に採用を戦略化し、「誰を採り、誰を採らないか」を試行錯誤している最中である。
Q. 三菱商事が一般職採用を再開した背景とそのポジションの実態はどのようなものだろうか?
三菱商事は2027年度入社社員から、新卒の一般職採用を8年ぶりに再開した。その名称は「バックオフィス職」とされ、単なる事務職とは異なる高度な専門性が求められる職種である。新規事業創出に向けたリサーチやAI活用など、バックオフィス業務も高度化している現状がある。
再開の背景には、2018年4月に始まった派遣社員の「5年ルール(無期転換ルール)」の影響が大きい。ノウハウを蓄積した派遣社員が契約満了で毎年大量退職するリスクが生じたため、高度な事務処理やAI活用が可能な「プロのバックオフィス正社員」を安定的に確保する必要に迫られたのだ。
総合商社のトレーディング業務には、莫大な量の書類作業が伴い、その根幹を一般職が担う。十人規模の派遣社員を統括し、責任を負う役割を果たす。このバックオフィス職は、親世代がイメージする一般職とは大きく異なり、高学歴で語学力もコミュ力も高い上位学生が受験する。年収1000万円超えも可能だが、採用人数は限定的であり、倍率は異次元の高さになるだろう。転勤を嫌がる学生が増えたことで、この転勤がない高待遇なバックオフィス職の人気はさらに高まっている。
Q. 現代の就職活動で内定を勝ち取るために、学生が最も意識すべき点は何だろうか?
内定獲得の鍵は「本気度の可視化」である。企業は練習受験組や記念受験組を排除し、志望度の高い、つまり本気度の高い学生を求めている。この本気度は、言葉だけでは伝わらない。
「なぜその業界か、なぜその会社か」という問いに対し、AIでは生成不可能な「自分自身の原体験」と、それに裏打ちされた「行動量」をセットで示す必要がある。例えば、「サッカーをしたい」と口にするだけで、実際にボールを蹴った経験がない人間をチームに入れたいと思うだろうか?本当に志望しているなら、既に関連する活動を起こしているはずだと企業は考える。
理系学生ならば研究が、文系学生で営業志望なら長期インターンシップでの営業経験、マーケティング志望なら関連する企画活動など、志望業界・企業と自身を接続させる具体的な行動を示すことが不可欠となる。
Q. 学生はいつから、どのような準備を始めるべきだろうか?
形式的に就活が始まるのは大学2年生の3月から、サマーインターンのエントリーが解禁される時期である。しかし、内定を勝ち取るためのアピール材料を考えれば、大学1・2年生のうちから戦略的に動く必要がある。

大学生にとって、この4年間はまさに自身の市場価値を最大化するための投資枠だ。安易に遊び呆けて40年間ブラック企業で搾取される人生を選ぶか、徹底的に時間を投資して40年間高年収とホワイトな労働環境を手に入れるか、その選択が大学時代に委ねられていると言える。
また、保護者の方々も自身の30年前の就活の常識を捨て、現代の長期化と買い手市場の現実、そして大手企業と中小企業の圧倒的な賃金格差を正しく理解し、子供に危機感と目的意識を持たせることが極めて重要だ。各時期でやるべきことを子が実践しているかを観察し、方向性が誤っている場合は、手遅れになる前にプロの支援を検討することも賢明な選択肢である。