マーケット超分析
日本株は3月からさらに上がる/AI相場再び/日経平均6万8000円へ
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2026年2月26日

月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の2月回。前編では、今後の相場を展望する。 <出演者> 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。日経ヴェリタス「人気アナリスト」テクニカル部門で1位に輝くこと21回。 ...
日本株は3月からさらに上がる/AI相場再び/日経平均6万8000円へ
来る3月、日本の株式市場に歴史的な転換点が訪れようとしている。世界的なAI需要の高まりと、日本の「高圧経済」路線継続への期待が相まって、株式市場は新たな局面に突入すると考えられる。
この好転を支える具体的なメカニズムとは何か。そして、その裏に潜むリスク要因と、投資家が今、注視すべきはどのような銘柄だろうか。本稿では、大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏と、世界の超富裕層の資産運用を統括するUBSスミトラストウェルスマネジメントの最高投資責任者、青木大樹氏による分析を基に、3月からの日本株の行方を徹底的に解明していく。
相場は日経平均6万8000円台への到達が視野に入るとの声もある中、私たちはこの変革期をどう乗りこなすべきだろうか。その答えをQ&A形式で詳しく見ていこう。

Q. 3月以降の株式市場は、なぜ「相当良くなる」と見通されるのか?
3月以降の株式市場好転の最大の要因は、AIサーバー需要の劇的な拡大が牽引する世界的な製造業の急改善にある。米国のスーパーマイクロコンピューターなどAIサーバー関連企業の月次売上が好調を維持しており、NVIDIAのAIサーバー向け新製品「Blackwell Ultra」の効果が早くも市場に現れている可能性が高い。ブラックウェル ウルトラが出荷開始された12月のデータを見るに、ウォーニングを出し不振が予想された同社の決算が実際には倍増となり、市場の不安は杞憂であったことがわかる。これに伴い、NVIDIAの好決算も期待され、停滞していたAIハードウェア関連株の再評価を促し、相場全体を牽引すると見られている。

台湾の同業企業の月販も同様に好調であり、その影響は米国のみならず、日本の工場生産や輸出データにも明確に現れている。世界中の製造業の景況感が1月以降、急改善しており、AI関連投資が世界経済を刺激している状況だ。これは短期的なブームではなく、経済の基盤に根差した動きであり、株式市場の長期的な成長を後押しする強い刺激材料となると言えよう。
Q. 自民党の衆議院解散総選挙での圧勝が、なぜマーケットの好循環を長期化させるのか?
今回の自民党の圧勝は、熱狂的な支持によるものというよりも、野党の票が割れたことによる「構造的な勝利」と分析される。この結果は政権に奢りではなく「重い責任」を認識させ、中長期的な視点での政策運営、特に財政規律を重視した「高圧経済」路線を堅持させる方向に働く可能性が高い。具体的には、市場の物不足状態が続き、企業の研究開発(R&D)投資や設備投資が促進されることで、日本の全要素生産性が向上し、潜在成長率が引き上げられる。
名目GDPと株価は強い連動性があり、名目GDPの成長ペース加速は株価の先行的な上昇を意味する。高市首相による財政拡張政策の継続は、需要サイドを刺激し、物価と経済活動の両面から好循環を生み出す基盤を固める。この安定した政治環境と経済政策の方向性が、投資家の信頼感を醸成し、中長期的な日本株市場の活性化につながるだろう。
Q. 日経平均6万8000円到達は現実的なのか?どのようなメカニズムで達成されると期待されるのか?
日経平均6万8000円到達という見通しは、高圧経済がもたらす一連の経済メカニズムと、日本が直面する大きな好材料を考慮すると、現実味を帯びる。物不足の経済環境が企業のR&Dや設備投資を加速させ、これにより生産性が向上し、日本の潜在成長率が高まる。潜在成長率の向上が名目GDPの成長を押し上げ、株価はこれに先行して反応するため、6万8000円という水準は十分に視野に入ると予測される。
過去50年間の歴史を見ても、イノベーション主導の成長期には常に電気・情報通信セクターが市場を牽引してきた。現在のAI相場もこのパターンに合致しており、持続的な上昇が期待される。加えて、青木氏も企業のコーポレートガバナンス改革の進展や、依然として買い余力のある国内外の投資家の存在を指摘しており、これら全てが日経平均の更なる上値を形成する要因となるだろう。
Q. 株価上昇の「ブレーキ」となる可能性のあるリスク要因と、その見通しは?
株価上昇の主なブレーキ要因は日銀の性急な利上げと、為替介入、そして地政学リスクの三つである。まず日銀の利上げに関しては、企業の設備投資を冷やし、高圧経済の進行を妨げる可能性をはらむ。しかし、高市首相が上田総裁に利上げへの難色を示していること、食品の値上げ品目数の減少やエネルギー補助金などにより物価上昇が落ち着く兆しが見られることから、日銀が利上げを急ぐ必要性は低下している。また、かつてハト派だった上田総裁が、円安対応から一時的にタカ派に傾いていた可能性もあり、政治的な後押しを得てハト派スタンスに戻れば、利上げリスクは後退する見通しだ。

次に為替介入だが、米国が日本の介入を容認しているため、政府・日銀は円安が一定水準を超えた場合、躊躇なく介入に踏み切る可能性が高い。介入は、輸出企業の業績悪化につながる円高を引き起こし、日経平均の一時的な調整要因となり得る。特に自動車や銀行株には逆風だが、これも押し目買いの好機と捉えるべきで、長期的には相場を歪める要因を是正し、健全な成長へと導くと考えられる。
最後に地政学リスクとして、オリンピック前後に紛争が多発する「オリンピック・アノマリー」が挙げられる。現在の中東情勢は懸念材料だが、米国が関与する武力行使は短期で決着し、市場も一時的な下落後に「アク抜け」として早期に回復する傾向があるため、影響は限定的だろう。
Q. 足元の株式市場の「不安定さ」や、ビットコイン下落の背景にあるのは何だろうか?
最近の株式市場の神経質な動きやビットコインの下落は、一見すると大きな不安要素のように見える。プライベートクレジットファンドの問題、すなわち生成AIの普及によりシステム開発請負会社などのSaaS企業が不振に陥る懸念から、同ファンドが融資している非上場企業への不安が高まっている。これが引き金となり、資金の引き出し停止といった問題が表面化しているのである。しかし、このような状況の背後には、米国の季節的な資金需給の逼迫があると考えられる。
米国では毎年2月から3月にかけて、税還付前の時期にあたり、全体的に資金が枯渇しやすい。そのため、投資家は保有資産の売却を進める傾向があり、市場は悪いニュースに過敏に反応し、全体的に不安定な状況に陥りやすい。この時期の不安定さは「短期的な資金繰りの問題」であり、まもなく2月下旬から開始される総額40兆円規模の米国の税還付によって市場に資金が再流入することで、需給は劇的に改善される見込みだ。つまり、足元の不安定さは一過性のものであり、今こそ冷静な投資判断が求められる局面である。
Q. AIブームの本格化が期待される中、投資家はどのような銘柄に注目すべきなのか?
3月からの好相場では、米国の税還付に伴う資金流入により、市場の物色傾向がバリュー株からグロース株へとシフトすると予測される。AIブームの恩恵を最大限に享受するためには、AIを直接開発する企業だけでなく、AIを支えるインフラに焦点を当てる「ピック&ショベル」戦略が有効だ。具体的には、「電力」「電線」「光ケーブル」といった分野で積極的な設備投資を行っている日本企業が特に注目される。

AIデータセンターの運用には莫大な電力が必要となるため、電力供給に関わる発電・送電設備や、データ伝送を担う電線・光ファイバー関連企業が、その競争力の高さから今後の成長株として非常に有望視される。例えば、すでに大規模な設備投資計画を発表している古河電工、住友電工、フジクラといった企業群だ。彼らは将来の需要を見越し、自社の稼げる領域への先行投資を進めていると捉えることができる。
また、日立製作所のように、従来の事業形態からインフラソリューション提供企業へと変貌を遂げた企業も、AI関連の恩恵を受ける可能性が高い。3月に高市首相が日本企業を率いて米国でAIデータセンターへの5.2兆円規模の投資をアピールすることも、これら関連銘柄の再評価に繋がるだろう。投資家は、企業の慎重な見通しに惑わされることなく、むしろ設備投資の積極性や成長期待が見込める企業を精査する目が求められる局面と言える。