PIVOT TALK BUSINESS
(1259)
1.1万回視聴
2026年2月22日

今、不動産価格が上がり続けている。 なぜ今 マンション価格が上がるのか? 人気のエリアはどこなのか? 不動産市場の動向に詳しい アットホームラボ データマーケティング部 部長の磐前淳子氏と紐解く。 <ゲスト> アットホームラボ |磐前淳子 アットホームに入社、営業職・企画職などに従事。2019年...
首都圏、特に東京23区の不動産価格は、歴史的な高騰を続けている。中古マンションの平均価格が8,000万円を超え、過去6年で2倍以上という異常な上昇を見せる一方で、新築戸建てとの価格差が縮まる現象も起きている。果たして、この高騰はどこまで続くのか。そして、私たちは今、家を買うべきなのか、あるいは借り続けるべきなのか。アットホームラボの専門家が、最新のデータをもとに不動産市場の深層を徹底解説する。

東京23区の中古マンション平均価格は現在8,184万円に達している。この数字は他の首都圏エリアと比べ圧倒的に高い水準にある。驚くべきは、2017年時点では3,677万円であったという事実である。わずか6年ほどの間に、平均価格が2.25倍以上に跳ね上がったことになる。2023年末からこの上昇ペースは顕著になり、今なお勢いは止まる気配がない。隣接する千葉や埼玉、神奈川県の主要都市の平均価格が3,000万円台から4,000万円台であることを考えると、東京23区の価格がいかに異常な高騰を続けているか理解できる。
さらに、東京23区における中古マンション価格は、前年同月比で35%もの増加を記録している。金額にして2,122万円の急騰であり、これは過去に例を見ないペースの上昇だ。背景には、新築マンション価格の上昇と供給不足があり、需要が中古市場に集中している現状がある。資産価値の高さや立地の良さから、中古マンションが投資対象としても注目を集め、価格を一層押し上げている要因となっている。
中古マンション価格、特に東京23区の異常な高騰には複数の要因が複合的に絡み合っている。一つは、新築マンションの供給不足と価格高騰が常態化し、実需層の目が中古物件に向かっている点である。しかし、最も大きな要因として挙げられるのは、富裕層や海外投資家による積極的な購入意欲だ。
円安が進む日本において、海外の富裕層から見れば日本の不動産は相対的に「割安」に映る。さらに、治安の良さや地政学的リスクの低さから、日本の都心不動産が安全な資産として選好されている。不動産会社の情報によると、都心部では購入者の半数以上が海外投資家であるケースも存在する。彼らは居住目的以上に資産形成や防衛の一環として購入しており、この動きが価格をさらに押し上げる強い牽引力となっている。
一方で、こうした状況は一般的な実需層、特に子育て世帯にとっては厳しい現実を突きつけている。東京23区でマンション購入が困難となる中、都心に近い神奈川・埼玉エリアや23区外の東京郊外といった3,000万円台の物件が現実的な選択肢となっている。エリアを妥協することで価格を半分以下に抑えることができるため、ライフスタイルの優先順位を見直す必要性が高まっているのだ。

東京23区をエリア別に見てみると、価格帯に大きな差があることが明らかになった。平均価格が最も高いのは港区で、約1億8,000万円という圧倒的な水準にある。次いで中央区が約1億6,000万円と高く、千代田区や渋谷区も1億円を超える。これらの都心5区が東京全体の中古マンション価格を牽引しているといえる。例えば、港区では湾岸エリアをはじめとする人気エリアがまんべんなく高価格を維持している。
価格上昇率で見ると、さらに驚くべき数字が並ぶ。千代田区は前年比で49.2%増と驚異的な伸びを記録している。品川区も44.3%増、港区も40%以上と、元々高額だったエリアがさらに急騰している。特に品川区の上昇は、高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発への期待感が大きく影響している。大規模なインフラ整備や街づくりは、その地域の不動産価値を直接的に押し上げる強力な要因となる。この急速な価格上昇は、これらの地域への期待値がいかに高いかを示唆している。
子育て支援の充実により、都心部での購入が難しいファミリー層は、同じ東京都内で支援を受けられつつ比較的価格の抑えられる23区外のエリアや周辺の23区にも注目している。これにより、将来的にはこれらのエリアも価格がさらに上昇する可能性を秘めていると言えるだろう。

中古マンション価格の異常な高騰が続く中で、新築戸建ての価格動向も注目すべき点である。東京23区における新築戸建ての平均価格は8,200万円に達しており、中古マンションの平均価格8,184万円とわずか16万円の差しかないという逆転現象が起きている。かつて「中古は割安」という認識があったが、現状はその常識が崩れ、もはや中古マンションに割安感は薄れてきたと言える。
新築戸建ては、子育てファミリー層から根強い人気がある。集合住宅と異なり、子どもの足音などを気にせず済むこと、敷地内駐車場があり買い物に便利なこと、そして一戸建てならではの「所有感」が得られることが大きな魅力だ。駅から多少距離がある(平均で徒歩15〜20分)傾向にあるが、その分静かで落ち着いた住環境を得られることを重視する層に支持されている。
新築戸建ての価格上昇は、コロナ禍における「巣ごもり需要」とウッドショックが重なった2021年頃から始まったが、中古マンションのような異常なペースの急騰ではない。首都圏全体の戸建て価格は比較的緩やかな上昇に留まっており、エリアによっては横ばいに近づいているところもある。そのため、マンションに比べると価格の安定感があり、選択肢として再評価されつつある。
東京23区における新築戸建ては、他の地域とは異なる独特の様相を呈している。23区の戸建ての平均土地面積は79.3平方メートルと、110平方メートルを超える郊外の土地と比較すると著しく狭い。しかし、建物面積は約98平方メートルと、郊外の戸建てとほぼ同じ居住空間を確保しているのだ。
この狭い土地で十分な居住空間を確保するための解決策が「3階建て」である。東京23区の新築分譲戸建ての半数以上が3階建てであり、これが都心でファミリー層の居住ニーズを満たすための標準的な手法となっている。例えば、2階にリビングを配置するなど、縦の空間を巧みに利用した間取りが多い。サービスルーム(S)と呼ばれる居室に準ずる空間を設けることで、書斎や趣味の部屋としても活用できるよう工夫されている。ただし、階段の上り下りや老後の生活動線を考慮すると、将来的な住み心地の変化も検討する必要があるだろう。

現在の不動産市場の状況から導き出される専門家の結論として、最も割高感があるのは「中古マンション」である。投資マネーの流入や資産価値への期待が過度に集中した結果、実用価値以上の価格にまで吊り上がっている可能性がある。一方、新築戸建ては比較的安定した価格で推移しており、郊外に出れば広大な土地と家を手に入れることも可能だ。これは、郊外を選んだ方がはるかに良いコストパフォーマンスを実現できることを示唆する。
ライフスタイルや働き方のトレンドの変化も考慮に入れるべきだ。コロナ禍ではリモートワークの普及に伴い、郊外への移住ブームが起きたが、最近では企業の出社回帰の動きが強まっている。5年後、10年後の自身の働き方や家族構成がどう変わるかを予測することは極めて難しい。利便性の高い都心を選ぶか、ゆとりのある郊外を選ぶか、あるいは、職住近接を優先しつつも住環境を妥協しない中間的なエリアを選択するのか、価値観とライフプランに基づいた多角的な検討が不可欠となる。
そして、賃貸も積極的に検討すべき選択肢として再評価されている。物件を購入すれば多額のローンを背負い、簡単に引っ越せないというリスクも伴う。一方、賃貸はライフステージの変化に柔軟に対応でき、転居も容易である。特に現在は中古マンションが割高であるため、購入のタイミングを慎重に見極めるためにも、賃貸で様子を見るという賢明な判断も考えられる。