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米国株は今年も上がるのか?/2026年の為替予測:1ドル=140円
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2026年1月19日

米国株は今年も上がるのか?為替相場の行方は?エコノミスト・村上尚己が徹底解説。 <ゲスト> 村上尚己|アセットマネジメントOne シニアエコノミスト 東大卒。シンクタンク、外資証券や運用会社で国内外の経済分析に従事。2003年よりゴールドマン・サックス証券で日本経済予測担当。マネックス証券、 アラ...
AIブームはバブルか?米国株と日本経済の未来を専門家が読み解く
現在の市場は、AI技術の発展とそれに伴う株価上昇で大きな注目を集めている。これは過去のドットコムバブルのように実体経済から乖離した一時的な現象なのか、あるいは新たな経済成長の始まりなのか、多くの投資家やビジネスパーソンがその動向に熱視線を送っている。
本稿では、米国市場におけるAI株の動向から、円安が続く日本経済の深層、そして政治が市場に与える影響まで、金融の専門家による洞察をもとに、多角的に市場の現状と展望を解説する。変動する世界経済のなかで、どのような視点を持って行動すべきかを考察するものである。

Q. 現在のAI関連株高は「バブル」と見るべきか?ドットコムバブルと比較してどのような違いがあるか?
現在のAI関連株高は「バブルではない」と見ている。確かに株価は急上昇しているものの、ドットコムバブル期とは本質的な状況が異なっている。
ドットコムバブル期は、無軌道な資金利用や粉飾決算が横行し、利益を伴わない単なる期待だけで株価が異常に高騰した。しかし、現在のAI関連株の上昇は、多くの企業においてすでに生成AIが収益拡大やコスト削減に寄与し始めており、企業のEPS(一株当たり利益)が実際に上昇している状況にある。
すなわち、単なる夢や期待だけで株価が上昇しているわけではなく、実体的な利益成長が伴っている。これこそが、かつてのドットコムバブルと今日のAIブームを明確に分ける決定的な違いである。
そのため、現時点ではブームは継続し、過度なバブル崩壊のような事態に直面する可能性は低いと考える。
Q. AIが牽引する市場において、今後の投資先はどのように変化していくか?
これまで市場の牽引役はNVIDIAのようなAI開発や半導体を手がける企業であったが、今後は、生成AIを自社のビジネスに積極的に導入し、生産性向上や新たな価値創造を実現する企業へと投資の主戦場がシフトすると考える。
AI技術そのものを生み出す企業から、それを使いこなして企業価値を大きく高める企業へと成長の焦点が移る見通しである。

金融業をはじめ、あらゆる産業で仕事のやり方が劇的に変化し、経営者がいかにアグレッシブにAIを取り込み、ビジネスモデルや人員配置を変革できるかが問われるようになるだろう。
AI導入によって人件費を削減し、利益率を向上させる企業や、AIを活用して新しい事業を展開する企業が台頭し、企業間の競争格差がより明確化する。株式市場も、そうした「AI活用企業」を積極的に評価していく展開となろう。
Q. 米国株の長期的な見通しと、投資家が注意すべき点はあるか?
米国経済全体については引き続き楽観的な見方を維持している。S&P500は昨年15%程度上昇したが、今年も同等かそれ以上の上昇が期待できるであろう。
これはAI技術の普及による生産性向上に加え、米国社会が伝統的に株式市場を重視し、株価の上昇が国益に資するという認識が根付いていることに起因している。
しかし、長期的には米国株も10年に一度、3〜4割程度の調整(下落)局面を迎えることは十分にあり得る。
投資家が最も注意すべきは、このような調整局面で市場から退場を余儀なくされる事態を避けることである。過度なレバレッジを避け、余裕資金で投資を行い、いわゆるバイアンドホールド(買って保有し続ける)戦略を貫く姿勢が重要だ。アメリカは投資家の資産形成を促す政治的土壌が強いと見て取れる。
Q. なぜ「円安は悪」という見方に警鐘を鳴らすのか?日本経済が抱える真の課題とは何か?
多くの人が「円安は悪い」というイメージを持っているが、これには警鐘を鳴らす。近年の日本経済は、円安のおかげでかろうじて経済成長を維持し、企業収益を下支えしてきた現実がある。
もし円安がなければ、過去2〜3年間はゼロ成長かマイナス成長に陥っていた可能性が高い。つまり、円安は日本経済を救ってきた側面も持つポジティブな存在であるのだ。
日本経済が抱える真の課題は、円安それ自体ではなく、経済成長の恩恵が企業や政府に集中し、家計に十分に還元されていないことであり、その結果として個人消費が停滞していることである。

また、真に警戒すべきリスクは「円安は悪」という世論に流されて、経済の実態を無視した性急な利上げなど、政策を誤ることである。これは輸出企業を中心に日本経済に打撃を与え、せっかくの株高基調を終わらせかねないからである。
Q. 日本経済の成長を阻む要因は何か?家計にお金が回らない構造をどうすれば改善できるか?
日本経済の成長を阻む最大の要因は、個人消費の伸び悩みにある。コロナ禍以降、企業や政府の利益や税収が2割以上増加したのに対し、家計所得の伸びは1割にとどまり、物価上昇で実質的に相殺されてしまった。
この富の偏った分配構造が、経済の足を引っ張っている原因だ。
この状況を改善するには、家計に直接的にお金を回す政策が不可欠である。減税や給付金の実施を通じて、国民の可処分所得を増やし、内需を力強く刺激すべきだ。
政府は増えすぎた税収を取りすぎていると認識し、インフレに対応した税制改正(年収の壁撤廃など)を進める必要もある。経済成長を最優先課題とし、それを裏打ちする具体的な財政政策を打ち出すことで、日本経済は本来持っているポテンシャルを解放できるはずだ。
Q. ドル円相場の今後の見通しは?どのような状況で円高に転じる可能性があるか?
ドル円相場は、現在の150円台から、年内に140円台へ回帰する可能性が高いと見ている。米国の利下げは年内にあと1回程度と見込まれる一方で、日本銀行の利上げは年1~2回となる見通しであり、日米金利差は徐々に縮小していくであろう。
これ以上の円安が急激に進む可能性は低く、1ドル160円が心理的にも政策的にも上限として強く意識されている。
長期的な視点で見ると、現在の円は歴史的な安値水準であり、割安感は非常に強い。もし日本の経済成長が本格化し、インフレが定着し、金利が正常化するようであれば、それは通貨の信認を高め、自然と円高に作用する要因となるはずである。

そのためには、日本銀行が経済の実態を見ながら慎重に利上げを進めること、そして政府が「経済成長重視」という明確なメッセージを発信し続けることが不可欠である。
Q. 日本の政治・経済政策は、日本株や為替に今後どのような影響を与えるか?特に高市政権に期待されることは何か?
日本株市場の行方は、今後の高市政権の経済政策にかかっていると言えよう。特に「責任ある積極財政」をスローガンとする高市政権が、実際に家計の可処分所得を増やすような財政政策を断行できるかが試金石となる。
現在、市場の一部で言われる「高市トレード=円安・株高」は、短期的な思惑に過ぎない可能性が高い。
財政政策が成功し、日本経済が成長軌道に乗れば、通貨の信頼性が高まり、長期的にはむしろ円高要因となるはずだ。政治が日本銀行に対して、経済成長の妨げとならないよう、緩やかな利上げを求める強いメッセージを発することも重要である。
総選挙の結果、政治基盤が強化され、高市政権が「まともな政策」を実行できる環境が整えば、日本経済は活性化し、円安是正や日本株の本格的な評価にも繋がるであろう。2026年は、まさにその可能性が高まる転換点と位置づけられる。