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子どもの学力&考える力を伸ばす。ニュースに触れる新習慣
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2025年12月13日

【Sponsored by 日本経済新聞社】 ビジネスパーソンが知っておきたい新たな常識=新常識を紐解く「&新常識」。今回は「時代を生き抜く力を養う 親子の新・情報収集習慣」をテーマに、慶應義塾大学教授の中室牧子さん、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一さんに話を聞いた。...
「考える力」と情報収集習慣:現代を生き抜く子どもを育てる親の新常識
情報が氾濫し、AIが進化する現代社会において、子どもたちの情報収集能力と「考える力」をどう育むべきか、多くの親が頭を悩ませている。
慶應義塾大学教授の中室牧子氏と国際大学グローバルコミュニケーションセンター准教授の山口真一氏が、データや研究に基づき、親と子の情報収集に関する新常識を解説した。
本稿では、複雑な情報社会を生き抜く子どもたちに必要な思考力と、それを育むための親子の新たな習慣について、専門家の知見をQ&A形式で深く掘り下げる。

Q. 子どもの「考える力」を育む上で、最も重要な視点は何か?
現代の子どもたちはSNSやAIを通じて、容易に情報にアクセスできるため、知識量そのものは多い。
しかし、情報が多すぎると、それを吟味し、深く考える時間が失われがちである。
重要なのは、疑問を持ったらすぐに調べるのではなく、まず「なぜこうなったのだろう?」と仮説を立て、物事の裏側にあるメカニズムを考えさせる習慣をつけることだ。
思考プロセスなしに情報を得るだけでは、知識として定着しにくいことがMITの研究でも示されている。
ChatGPTに書かせた文章は、後日内容の80%以上を忘れてしまうという結果はその象徴的な例だ。
自分が何を知りたいのかを深く突き詰めて考えた上で、AIや検索エンジンを壁打ちのように活用することが、考える力を育む上で効果的なのだ。

Q. デジタル時代において、なぜ多様な情報源に触れることが重要なのか?
インターネット上では、人間が「自分と考えの近い意見を好む」という「ホモフィリー」の性質が強く働く。
その結果、アルゴリズムによって自分の興味に近い情報ばかりが表示され、あたかも世論であるかのように感じてしまう「フィルターバブル」現象に陥りがちだ。
これは視野を狭め、意見の極端化を招く危険性がある。
この問題に対抗するためには、意図的に多様な情報源に触れ、客観性を担保する意識が必要である。
例えば新聞のようなマスメディアは、「一覧性」があり、自分の興味の範囲外にある情報や予期せぬテーマに自然と触れる機会を提供する。
この「意図しない出会い」こそが、偏りなく物事を捉える力を養う上で欠かせない。
子ども自身も、フェイク情報やネットリスクに関心を持っていることが研究で分かっており、親がその意識に寄り添うことが重要だ。
Q. 親の情報収集習慣は子供にどのような影響を与えるのか?
親のメディア利用の仕方は、子どもにとって最も身近な「ロールモデル」となる。
例えば、親が長時間SNSを利用していれば、子どもも同じようにSNSに費やす時間が長くなる傾向にあることが、複数の研究で指摘されている。
子どもは親の行動や言動、習慣を模倣しながら成長するため、親が情報にどう向き合っているかは子どもの情報リテラシー形成に強く影響を及ぼすのだ。
さらに、メディアは社会規範や個人の意識にまで影響を及ぼす力を持つ。
インドの村にケーブルテレビが導入されたことで、女性の就学率向上や家庭内での意思決定参加につながった事例は、メディアが人々の行動変容を促す可能性を示唆している。
家庭内で、親の主観に偏らず、エビデンスに基づいた客観的な情報源(マスメディアなど)に触れる習慣を作ることは、子どもの規範意識を育み、健全な社会との向き合い方を学ぶ機会となるだろう。

Q. 子どもがSNSを利用する際、親はどのように向き合うべきか?
ほとんどのSNSは利用規約上13歳以上が対象となっているため、まずこのルールを守ることが前提だ。
しかし、子どもがいずれSNSに触れることは避けられない現実でもある。
SNSの利用を開始する時期や方法について、親が一方的に禁止したり、ルールを押し付けたりするのではなく、「親子で話し合い、一緒にルールを決める」プロセスが極めて重要である。
総務省の研究によれば、家庭内でのルール作りとフィルタリングサービスの併用が、子どものネットトラブル遭遇率を低減する効果がある。
特に、親が主体的に決めたルールよりも、子どもが参加し、納得して決めたルールの方が、子ども自身に守られやすいことが明らかになっている。
フェイク情報、誹謗中傷のリスク、インターネット空間の偏りなど、デジタル社会の特性について繰り返し対話することで、子どもの主体性とリテラシーを高める機会とすべきだ。
Q. 幼少期から「読む力」を育むことの意義は何か?
学力テストなどで測られる「学力」とは、突き詰めると「物事を考える力」、すなわち認知能力である。
この認知能力を育む上で、最も費用対効果が高く、長期的な効果が期待できる教育活動は「読書」だとされる。
塾のような短期的な介入とは異なり、読書によって培われた「読む力」や「考える力」、そして習慣は、子どもの人生を通して持続する「一生の財産」となる。
親が読み聞かせを通じて「どうして主人公はこんなことを考えたのだろう?」「この本の言いたかったことは何か?」といったオープンエンドの質問を投げかけることで、子どもは能動的に考え始める。
デンマークの研究では、親が要約させたり、問いかけたりする読み聞かせのコツを知っていると、子どもの学力が大幅に向上することが示された。
親は子どもの能力が伸びることを信じ、そのためのノウハウを知り、適切な働きかけをすることが、子どもの学力向上と認知能力発達に決定的な影響を与えるのだ。

Q. 家庭で子どものニュースリテラシーを高め、情報収集習慣を築くには具体的にどうすればよいか?
ニュースに関心を持たせる第一歩は、子ども自身の興味と関連付け、「自分ごと化」させることだ。
例えば、スポーツ好きの子にはスポーツに関するニュースから入り、「もし監督だったらどうする?」と問いかける。こうして、身近な事柄から社会や経済への関心を広げていく。
習慣化には「繰り返し」が不可欠であり、経済学の研究では小さなインセンティブ(ご褒美など)を用いて行動を繰り返すことで、それがやがて内発的な習慣に変わることが示されている。
夕食時にニュース番組をつけっぱなしにしておき、家族でニュース内容について議論することも有効だ。多様な意見に触れることで、子どもの思考力や議論する力が自然と養われる。
日経電子版のようなデジタルメディアも、家族での情報収集をサポートする機能を持つ。
生成AI「アスク日経」でニュースの疑問を調べ、親が嚙み砕いて説明したり、「マイニュース機能」で子どもの興味キーワードを登録して関連記事を集めたりする。
さらに、中高生は「記事保存機能」で自分の興味の変遷を記録することで、将来の自己分析にも活用できる。これらの機能を家族向けの「ファミリープラン」で活用し、それぞれの情報収集を最適化することもできるだろう。