PIVOT TALK SPORTS
ランキングで2025年を総括
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2025年11月25日

PIVOTデータ班が独自のプロ野球ランキングを作成。「投球数」「HR飛距離」「バットが折れた回数」など様々な視点から2025年のプロ野球を振り返る。 <ゲスト> 里崎智也|野球解説者 鳴門工業高から帝京大学を経て、98年のドラフト2位で千葉ロッテに入団。 第1回WBCでは正捕手として日本を世界一に...
データが語るプロ野球の真実:里崎智也が喝破する野球論
プロ野球界のデータ分析は、これまで見えてこなかった選手の深層的な能力やリーグ全体の傾向を明らかにする。元プロ野球選手の里崎智也氏とデータスタジアムの山内優太氏が、秘匿されたランキングデータを用いて、野球の新たな魅力を探究する。
このデータ主導の対話を通して、見出しの裏にある真実、そして里崎氏ならではの鋭い野球論が展開される。

Q. 2025年、NPBで最も多く球数を投げた投手は誰か?
年間を通してローテーションを守り、2500球以上を投じる投手はエース級の証とされる。1試合平均100球で25試合登板を達成するとこの数字を超えるため、体力と安定感が求められる指標だ。
里崎氏は伊藤大海と栗林を本命視し、その背景には彼らが年間を通して安定した登板数をこなし、一試合当たりの投球数が多い点を挙げた。
実際の結果は、1位が伊藤大海、2位が高橋宏斗、3位が栗林であった。里崎氏は見事上位3名を的中させ、特に伊藤は三振が少ないことで球数がかさむ傾向にあること、高橋宏斗もフォークの切れ味が例年ほどではなく球数を要したシーズンであったと分析する。
年俸ベースで見ると、モイネロが圧倒的に高いことも示され、単なる球数だけでなく投手の総合的な価値が問われることが浮き彫りとなった。

Q. 打者のバットを折ることで投手能力を測れるのか?
「バットが折れるのは打者の調子が良い証拠である」という里崎氏の持論は、野球ファンにとって衝撃的である。
球に負けて折られるのではなく、しっかり振り抜き押し込んだ結果として根元でバットが折れるのは、力が伝わっている状態を示唆する。
打者はタイミングが合わなければそもそも折れるまでいかないのだ。
投手別バット折り回数では、DeNAのケイが1位。今季から増やしたツーシームが、左打者の内角に食い込むことでバットを折るケースが多発したと分析される。一方、打者別歴代ランキングでは広島のファビアンが名を連ねた。
近年NPB全体でバットが折れる回数が増加傾向にあるが、これはバットが軽量化され密度が薄くなった物理的な要因も影響している可能性があると里崎氏は指摘した。

Q. 最強のストレートを持つ投手は、単に速いだけではないのか?
ストレートの奪空振り率は平均一桁台であるため、10%を超えれば優秀な部類に入る。楽天の西口投手は18.1%という高い数値を記録し1位となった。彼の平均球速は149.3km/hと際立って速いわけではないが、ホップ成分が強いボールの質で空振りを奪っている。
球速だけではなく、球質がストレートの優劣を左右する好例だ。
一方、ストレートの平均球速ランキングの上位3名は、1位ゲレーロ(ロッテ)、2位マチャド(オリックス)、3位齋藤(日本ハム)といずれもパ・リーグの投手であった。
特にゲレーロは平均156.4km/hと球界トップクラスのスピードを誇るが、それが必ずしも成績に直結しているわけではない現実も示され、速さだけではない投球術の重要性が浮き彫りとなった。

Q. 変化球で最も空振りを奪う「魔球」とは?また、セ・パ間で投球スタイルに違いはあるのか?
最も高い奪三振空振り率を誇る変化球は、フォークやスプリットといった縦に鋭く落ちる球種である。
楽天の早川投手のフォークは41.1%という驚異的な奪空振り率を記録した。普段あまり投球しない球種であるからこそ、ここぞという場面で用いることで打者の意表を突き、効果的に三振を奪うことができるのだ。
ゴロ割合ランキングを見ると、巨人の中川投手が69%で1位となり、ツーシームなど動くボールを主体とするセ・リーグ投手が上位を占めた。
これは神宮球場や東京ドームなど、球場が比較的狭いセ・リーグでは、長打を避けゴロを打たせる投球術が伝統的に発達したためと分析される。パワーピッチャーが多いパ・リーグとは対照的な傾向が見て取れる。
Q. 選球眼とコンタクト能力、現代の打者に求められる「駆け引き」とは何か?
ボールゾーンスイング率、すなわちボール球を振った割合が低い打者は優れた選球眼を持つ証である。
ソフトバンクの柳町選手がこのランキングで最も低い数値を記録し、卓越した選球眼でチームに貢献している。出塁能力が高い選手は、チームの攻撃において重要な役割を果たすため、このデータは特に重要となる。
コンタクト率、すなわちスイングした球がバットに当たる確率では、中日の岡林選手が90.6%で1位となった。
これは空振りの少なさを意味するが、同時に「空振りを恐れず長打を狙うタイプ」よりも、「コツコツと当てて出塁するタイプ」の打者が上位にランクインする傾向がある。
長打力はなくても、高いコンタクト能力で役割を全うする選手がいることがデータで示された。

Q. 「飛ぶボール」論争はナンセンス?ホームランの真の増加要因とは?
近年よく話題に上る「ボールが飛ぶ」という議論に対し、里崎氏は「ナンセンスだ」と一蹴する。過去の統一球問題の反省を踏まえ、NPBのボール検査は厳格であり、球団側が意図的にボールを操作する愚かな行為はしないと断言した。
彼によれば、本塁打数の増減は、テラス席の設置による球場の狭小化、そして強打者たちの調子の波によって説明されるべきだという。
本塁打の平均飛距離ランキングでは、中日の細川選手が122.5mで1位となり、ヤクルト村上選手も上位に食い込んだ。
球場が広大なバンテリンドームを本拠地とする細川選手のパワーは本物と称される。ホームランの変動を主観的な「飛ぶボール」のせいにするのではなく、データに基づいた客観的な視点を持つことこそ、現代野球を理解する鍵となるだろう。
Q. 現代プロ野球の得点力不足はなぜ起きているのか?
里崎氏は近年のプロ野球における得点力不足について、球界全体を揺るがす本質的な問題提起を行った。原因は「打率2割5分から2割8分を打つべき中間層の打者のレベルが低下していること」にあると厳しく指摘する。
トップ層の成績だけを見て判断するのではなく、より広い視点で打撃全体を評価する必要があるということだ。
さらに里崎氏は、ファンやメディアが「投手の球が速くなった」「ボールが飛ばない」など、打てない理由を安易に擁護する風潮が、打者の成長を阻害していると警鐘を鳴らした。
厳しい目線を向けることこそが、選手のハングリー精神を刺激し、球界全体のレベルアップに繋がると力説し、データと論理に基づいた分析の重要性を改めて示した。