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現地記者に聞く、大谷翔平MVP選出の理由
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2025年11月15日

大谷翔平選手が3年連続4回目のMVPに選出された。なぜ、満票選出になったのか? ワールドシリーズ優勝で果たした役割とは? 山本由伸選手がワールドシリーズMVPに選出された理由と合わせて、MLB記者の山田結軌氏に聞いた。 <目次> 00:00 大谷翔平 3年連続4回目のMVP 03:04 MVP満票...
「誰も到達できない」唯一無二の存在へ 大谷翔平が歩む“二刀流の完成形”
MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、今シーズンで3年連続、通算4度目のMVPを満票で受賞した。この歴史的快挙は、彼の野球人生における新たな章の幕開けを告げるものである。今回はMVPだけでなく、リーグ最高の打者に贈られるハンク・アーロン賞など、多くの栄誉を同時に獲得し、文字通りタイトルを総なめにした。

また、MLBアワードがラスベガスでグラミー賞のようなライブ形式のショーとして開催されるようになり、受賞式自体がエンターテイメントとして注目される中で、大谷選手が示す存在感は群を抜く。野球ジャーナリストの山田雄己氏への取材に基づき、大谷選手がいかにして唯一無二の地位を確立し、今後のキャリアでどこを目指しているのか、深掘りしていく。
Q. 大谷翔平選手が3年連続でMVPを満票受賞したことにはどのような意味があるか?
今シーズンの大谷選手は、MVPに加えてハンク・アーロン賞、最優秀指名打者賞(エドガー・マルティネス賞)、シルバースラッガー賞、メジャー全体のベストナインにあたるオールMLBチームなど、極めて多くのタイトルを同日に受賞した。スポーツ紙の記者たちが「何冠」という見出しで表現を試みるほど、その受賞ラッシュは異例の事態である。
数年前まで別々に発表されていたこれらの賞が、近年ラスベガスで開催される「MLBアワード」という一大イベントで一挙に発表されるようになったことで、各受賞者の偉業がより視覚的に、エンターテイメントとして際立つ形となった。その中で、大谷選手はMLBが最も求めているスタープレイヤー像を体現し、まさに受賞の中心人物として君臨しているのだ。
Q. 今シーズンの大谷選手の活躍を振り返り、過去のMVPシーズンとの違いや特筆すべき点は何か?
大谷選手は過去のMVP受賞シーズンでも40本台の本塁打を記録していたが、今シーズンは55本塁打というさらに高い数字をマークした。特に米国球界において「50本塁打」は一流スラッガーの証として別格の評価を受けている。そのインパクトは、ただタイトルを獲得するだけでなく、一歩抜きん出たスラッガーとしての地位を確固たるものにしたと言える。

昨年は打者に専念して驚異的な成績を残したが、今シーズンは右肘手術からの投手復帰も果たした。打撃成績自体は昨年より若干下がったものの、投手としてマウンドに上がったことが大きく、唯一無二の二刀流という貢献度が満票でのMVP選出につながった要因である。
Q. MVP獲得の背景には「唯一無二の二刀流」が挙げられるが、具体的な評価ポイントは何か?
大谷選手の二刀流は、メディアやファンにとってある程度「慣れ」として受け止められつつある側面もあったが、今シーズンの受賞ではその「異常性」と「唯一無二性」が改めて適切に評価された。結局のところ、「大谷選手以外に誰もできない」という圧倒的な事実が、満票という結果を生んだ最大の理由に挙げられるだろう。
野球の長い歴史の中でも、メジャーリーグの厳しいレベルと体への負担、怪我のリスクを考慮すると、ドラフトで二刀流として注目された選手でさえも、最終的には打者か投手のどちらかに専念することが常識とされてきた。しかし、大谷選手は二刀流として毎年トップレベルの結果を出し続けており、この点で彼は歴史上の異例中の異例である。

今回の受賞で大谷選手は通算4度目のMVPとなり、バリー・ボンズの7回に次ぐ歴代単独2位となった。ボンズ氏には過去に薬物使用疑惑が付きまとっているため、大谷選手のクリーンな功績の価値は計り知れない。今後も怪我なく二刀流を継続できれば、毎年MVPの候補となり、ボンズの最多記録を塗り替える可能性は極めて現実的だと言える。
Q. 復活の道のりで特に印象的だったエピソードは何か?
右肘手術後の投手復帰は、本人が語るように当初は左肩の不安があったが、徐々にケアを効率化し、その不安を克服していった。特筆すべきは、手術後初の実戦形式での投球練習での様子だ。マウンドに立つ大谷選手はボールの球筋やスピードよりも「とにかく楽しそうだった」「野球少年のようだった」という印象が強烈で、心底野球を楽しむ彼の姿が輝いていたという。
さらに驚くべきは、その練習をドジャースのチームメイトだけでなく、対戦相手であるメッツの選手までもが、純粋な興味から見学に訪れたという事実だ。これは、大谷選手が敵味方の垣根を超えて、誰もがその一挙手一投足に注目する存在であること、そして彼の明るい人柄と野球への情熱が周囲を惹きつけてやまない証拠でもある。
Q. ポストシーズンでの投打の「無双ぶり」は、どのように評価されたか?
ポストシーズンでの大谷選手の二刀流は「完全復活」と呼ぶにふさわしい活躍を見せた。特にナリーグ優勝決定シリーズ第4戦では、投手として6回無失点10奪三振という完璧な内容を見せ、打者としては先頭打者ホームランを含む3本塁打を放つなど、まるでビデオゲームのような「無双状態」でチームを勝利に導いた。その圧倒的なパフォーマンスは、まさに「手がつけられない」存在感を放ったのだ。
さらにワールドシリーズ第3戦では、延長18回の激闘の中、4打数4安打2本塁打、そして申告敬遠4つを含む計9出塁という、野球史上でも類を見ない「異次元の」記録を打ち立てた。これは、相手チームがいかに大谷選手との勝負を避け、その打撃の脅威を最大限に警戒していたかの表れである。
同じドジャースの山本由伸投手がワールドシリーズMVPを獲得したことについて、大谷選手は同僚を祝福しつつも、内面では「内心悔しがっているはずだ」と山田氏は分析している。そのアスリートとしての尽きない向上心と負けん気の強さが、来シーズンのさらなる活躍の大きな原動力になるだろう。
Q. 大谷選手は「二刀流の完成」を目標にしているというが、これは何を意味するのか?
山田氏の言葉にある「二刀流の完成」とは、来シーズン(2026年)を指し、右肘手術後でリハビリを兼ねた登板だった今シーズンとは異なり、開幕から投打ともに何の制限もなくプレーできる状態を意味している。これは大谷選手の二刀流が、真の意味で完成形を迎える最初のシーズンとなるため、その真価が問われる年となろう。
一般的に、野球選手が経験、技術、メンタルがすべて揃う「心技体」のピークを迎えるのは30代前後とされている。大谷選手もこの時期に差し掛かり、体力的な衰えを睡眠管理などの科学的なアプローチで補いながら、さらに技術と経験を磨き上げ、進化し続けている。
大谷選手の究極的な目標は、MVPのような個人記録ではなく、チームのワールドシリーズ制覇だ。そして、健康な状態でシーズンを戦い抜くことが、チームへの最大の貢献につながると信じている。その結果として、個人のタイトルや世界最高の選手という評価が後からついてくるという姿勢は、彼が単なる個人競技者ではないことを示している。
ワールドシリーズ連覇達成からわずか2日後には、「もう3連覇に切り替えている」と発言した。この燃え尽きることのない、まさに「終わりのない向上心」こそが、大谷選手の驚異的な進化を支え続けている根源なのだ。彼が「ある程度の現状維持で満足する」ことが決してないからこそ、誰も達成できない二刀流という高みを常に目指し、さらにその完全体へ歩みを進めていると言える。
Q. 来シーズンに向けた期待と、WBC出場への影響はどのようなものか?
来シーズン開幕前にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。ドジャースは高額契約選手、特に投手の怪我のリスクを懸念し、過去にWBCへの派遣に消極的な姿勢を見せてきた球団である。そのため、大谷選手や山本選手のような投手陣がもし出場できたとしても、球団の意向に沿った球数制限やイニング数、登板間隔などに厳しい制約が課される可能性が非常に高い。

打者としての大谷選手も、盗塁の制限など、怪我のリスクを回避するための条件が付くことも考えられる。球団にとって選手は莫大な投資の対象であり、その健康保護が最優先事項となるのは当然の流れだろう。
来シーズンに向けた期待は計り知れない。大谷選手には今年を上回る成績での5度目のMVP受賞と、ドジャースのワールドシリーズ3連覇を牽引する中心的な役割が期待される。一方、山本由伸選手には日本人投手として誰も成し遂げていないサイ・ヤング賞の獲得に期待がかかる。無理な登板間隔ではない中で、通常のシーズンでも圧倒的なパフォーマンスを見せつける「無双」の姿を見たいところである。