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金価格は最高値更新へ/2026年に5000ドル突破
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2025年11月14日

再び金の最高値更新が迫っている。2026年には5000ドルを突破する可能性も。金の第一人者の豊島逸夫氏に話を聞いた。 <ゲスト> 豊島逸夫 | 国際金融アナリスト 金の第一人者として知られ、金の運用歴は50年超。 三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行でディーラーとして活躍。 その後ワール...
金価格の行方:専門家が語る「出遅れ」回避の秘策と未来予測
近年の金価格高騰は世界中の投資家の注目を集める。金融市場の不確実性が高まる中、「有事の金」という言葉が飛び交うが、金投資に乗り遅れたと感じる者も少なくない。国際金融アナリスト豊島逸夫氏の知見をもとに、金価格の今後の動向や、投資家が「出遅れた」と焦らず冷静に向き合うための考え方を紐解く。金が持つ真の価値と、ポートフォリオにおけるその役割について解説しよう。

Q. 金投資に「出遅れ」の概念はあるのか?
金投資において「出遅れた」と焦るのは禁物である。金価格の変動は激しいが、豊島氏は長期的な上昇トレンドはまだ始まったばかりであり、投資は決して遅れていないと強調する。やり方次第では、十分に資産形成が可能だ。大切なのは、短絡的な投機ではなく、金の持つ本質的な価値を理解することにある。
「有事の金」という言葉の真の意味は、単なる戦争や金融危機だけでなく、「家庭内の有事」に備える資産としての側面を持つ。豊島氏がスイス銀行勤務時代に目の当たりにしたエピソードは、その価値を雄弁に物語る。スイスでは、子の誕生日に金貨と写真をアルバムに収め、結婚時に親が子に渡す習慣がある。これにより、もしもの時、例えば離婚や失業といった家庭の困難から子どもを守るため、その金貨を役立てる。これは紙幣では決して果たしえない、心の拠り所となる実物資産の温かい物語である。
Q. 金価格高騰の主要な背景は何だろうか?
金価格が高騰している背景には、大きく分けて三つの理由がある。第一に、「地政学的リスクの高まり」が挙げられる。ウクライナ戦争、中東情勢、台湾有事といった世界各地の緊張は、国家が発行する紙幣や国債の信用不安を引き起こしている。こうした状況下では、特定の国に帰属しない金が「逃避資産」として選ばれる傾向が顕著である。
金の価値を支える要因の一つが、その圧倒的な希少性だ。有史以来採掘された金をすべて集めても、50メートルプール4杯分にしかならない。さらに、残された採掘可能な埋蔵量はプール1杯分程度と推定されており、その大半がコストの合わない海底に存在するという。1トンの金鉱石からわずか1グラムの金しか得られないほど抽出が困難である点も、供給が限定される理由である。この供給量の絶対的な希少性が、有事においても金が価値を保ち続ける強力な理由となっている。豊島氏が9.11同時多発テロ時にワールドトレードセンターの地下から6トンもの金塊が無傷で回収されたエピソードを語ったことは、物理的な破壊にも耐えうる金の堅牢性と不変の価値を象徴的に示すものである。

Q. 世界の中央銀行が金を購入する真意は何か?
金価格高騰の第二の理由は、「世界中の中央銀行による金購入」の加速である。特に中国やロシアといった国々は、自国の外貨準備において米ドルへの過度な依存をリスクと捉え、ドル資産を売却して金に転換する「脱ドル」の動きを強めている。これは、金がドルやユーロのように特定の国家によって発行される通貨とは異なり、「発行体のない通貨」としての特性を持つため、カントリーリスクから資産を守る上で極めて有利な点に注目しているためだ。
中央銀行の金購入は、市場に長期的な影響を与える。一度金を購入した中央銀行は、数十年単位での売却をほとんど行わない。これにより、市場から金が継続的に吸収され、金の価格に対して強力な下支えが提供される。この結果、金価格の下値は段階的に切り上がり、大幅な暴落が起こりにくい構造が形成される。興味深いことに、日銀を退職した元行員ですら、退職金で円ではなく金を買い求めるケースがある。これは、日銀内部で「通貨の番人」として働いたプロが、円(紙幣)の脆さを肌で感じ、金の実物資産としての堅固な価値を信頼している表れと解釈できる。
Q. 金と株式、異なる値動きの原則とは?
理論上、金と株式の価格は逆の動きをするとされる。株式市場が好調な時期には金は相対的に低調となり、株式市場が不安な時期には安全資産としての金が買われるためだ。しかし現在、株式市場も金市場も共に上昇する異例の状況が観察されている。これはAIバブルへの期待といった市場の「勢い」と、世界経済の将来に対する不安感の両方が同時に存在することに起因すると豊島氏は分析する。このような両者の同時高騰は短期的な現象であり、長期的には続くものではないとの見方を示した。
金の大きな特徴は、配当や金利といった「生み出すもの」がない点である。このため、株式投資で用いられるPER(株価収益率)のような評価指標が存在せず、割高・割安を判断することができない。金はひたすら値上がり益、つまりキャピタルゲインを狙う投資対象である。それでも多くの人が金を選ぶ最大の理由は、「紙くずにならないから」という点に集約される。特にバブル崩壊で株式の暴落を経験した投資家にとって、その資産価値が失われない金の絶対的な安定感は何よりの魅力となっている。

Q. 金はポートフォリオでどのような役割を果たすべきか?
資産運用ポートフォリオにおいて、金はあくまで「脇役」としての役割を担うべきである。経済活動を促進し、企業成長を通じてリターンをもたらす「株式」こそが主役だと豊島氏は語る。金は、主役である株式市場が不安定になった際に、ポートフォリオ全体の値下がりを和らげる「保険」のような存在だ。つまり、リスクヘッジの観点から活用するのが賢明な利用法といえる。そのため、自身の全財産を金に投資するような極端な戦略は推奨しない。
個人の金投資における最適な戦略は、豊島氏のようなプロでさえ実践する「積立投資」に尽きる。価格の短期的な高騰や下落に一喜一憂せず、毎月一定額をコツコツと買い続ける方法である。この「ドルコスト平均法」とも呼ばれる方法は、高値掴みのリスクを分散し、平均購入単価を抑える効果がある。派手な裏技や一攫千金を狙うものではないが、長期的な視点で見れば最も堅実で有効な資産形成手段と言えよう。焦らず地道に継続することこそが、金投資成功への道となる。