マーケット超分析
最強の高配当株6選/毎月配当金がもらえる鉄板ポートフォリオ
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2025年11月8日

月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の11月回。後編では、高配当株投資家・児玉一希が選んだ厳選6銘柄を紹介。 <出演者> 大川智宏|智剣・OskarグループCEO兼主席ストラテジスト 野村総合研究所JPモルガン・アセットマネジメント、UBS証券などを経て独立。 計量分析に基づいた株式...
最強の高配当株6選/「毎月配当生活」を実現するプロ厳選のポートフォリオ
毎月安定した配当金を得る「毎月配当生活」。多くの投資家が憧れるこの夢のような投資手法には、しかし見落とされがちな落とし穴が存在する。単に利回りの高さだけで銘柄を選んでしまうと、予期せぬリスクに直面する可能性がある。
本稿では、最新の経済情勢を踏まえ、専門家が厳選した高配当株ポートフォリオ6選を解説する。インフレや景気不況にも対応できるディフェンシブ銘柄から、今後の成長が期待される注目の企業まで、その選定理由と投資のポイントを徹底的に分析する。賢い高配当株投資のために、プロの視点から学べる知見を提供したい。

Q. 毎月配当生活を実現するためのポートフォリオを構築する際、どのような点が重要となるか?
毎月配当生活を目指すポートフォリオでは、経済環境の変化に強い銘柄選定が不可欠だ。具体的には、インフレ進行時や物価上昇時に恩恵を受ける、あるいは景気後退時にも影響を受けにくい内需系のディフェンシブ株を組み合わせることがポイントとなる。
複数の企業の配当月を分散させ、年間にわたり継続的な収入を得られるように組むと、月ごとのキャッシュフローが安定するだろう。
Q. 高配当株を選ぶ際に、利回りだけで判断するリスクと、その他の注意点には何があるか?
高配当株を選ぶ際、利回りだけで判断すると大きなリスクを負う可能性がある。表面的な高利回りは、株価が下落した結果として生じている「見せかけ」の場合も少なくないからだ。投資判断においては、なぜその銘柄が高配当になっているのか、その背景にある業績や企業の実態を深く分析することが絶対条件となる。
特に、配当利回り6%を超える銘柄は危険水域と認識すべきだ。この水準を超える高利回りであるにもかかわらず、市場で買われていないということは、何かしらの問題や市場からの懸念があることを示している可能性が高い。そうした銘柄は株価パフォーマンスが著しく悪い傾向にあるため、投資対象としては極めて慎重になる必要がある。
高配当株投資においては、安定した配当(インカムゲイン)を重視するのか、株価値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うのか、目的を明確にすることも重要だ。JTのような企業は安定配当が見込める一方で、成長投資が見込めないため大きな株価上昇は期待しにくい。NVIDIAのように配当は低くとも成長投資で株価が飛躍的に伸びる企業もある。両方を同時に最大化するのは非常に難しい選択であることを理解すべきだ。
Q. インフレや景気不況に強く、安定性が期待できる高配当銘柄の具体例と、その選定理由は何があるか?
インフレや景気不況に強い銘柄として、イオンリート投資法人と三陽商会が挙げられる。

イオンリート投資法人(3292):イオングループの商業施設から安定した賃料収入を得ており、生活必需品を扱うスーパーが中核にあるためディフェンシブ性が高い。インフレ局面では物価上昇が売上増に繋がり、利益増の恩恵を受けやすい二重の強みを持つ。経営も安定的であり、物件売却によるキャピタルゲイン狙いなど、近年リート全体の経営姿勢が積極的になっている点も注目に値する。
三陽商会(8011):自己資本比率70%超と強固な財務基盤を持つ内需系アパレル企業である。景気変動の影響を受けにくく、安定性が高い。近年ではPBR1倍割れ対策として、利益ではなく純資産を基準に配当額を決めるDOE(株主資本配当率)を導入し、安定的な配当を目指す方針を掲げている。この株主還元強化の姿勢は、市場からの再評価に繋がり、株価を押し上げる可能性がある。
Q. 「累進配当」を掲げる企業をどのように評価すべきか?そのメリットと潜在的な注意点を教えてほしい。
累進配当とは、前年度の配当を下回ることなく、景気や業績が好調な年には増配を目指す方針を指す。投資家にとっては配当の安定性・成長性を期待できる大きなメリットがある。例えば三井物産(8031)は、金属やエネルギー資源事業の比率が高く、インフレによる資源価格高騰の恩恵を直接受けやすい銘柄として挙げられる。累進配当を掲げていることと、ウォーレン・バフェットのような著名投資家が大株主であることは、経営陣に対し増配や配当維持への無言の圧力をかけ、株主にとっては追い風となる。

しかし、累進配当は「企業の方針」であり、法的な「約束」ではない点には注意が必要だ。中期経営計画の期間内に限られたり、「不測の事態」の免責事項が含まれていたりすることが多いため、盲信は禁物である。あくまで企業が「配当維持・増配に努力する」という姿勢表明と捉えるべきであり、永続的な保証ではないことを理解しておく必要がある。
Q. 成長性と株主還元の両立が期待できる高配当銘柄には、他にどのようなものがあるか?
成長性と株主還元を両立できる銘柄として、泉州電業と前澤工業、INPEXが挙げられる。
泉州電業(9824):AI向けデータセンター、再生可能エネルギー発電所、工場投資といった、今後も需要拡大が見込める分野に不可欠な電線を扱う専門商社だ。リーマンショック以降、一度も減配していない実績があり、株主還元への強い意志がうかがえる。成長著しい分野のインフラを支えながら安定した配当を維持している点で、高い評価ができるだろう。
前澤工業(6486):上下水道設備の製造・整備を手掛ける企業で、取引先は官公庁や自治体が多く、極めて安定した需要が見込める。更新時期を迎えた日本の上下水道インフラ整備は国家的な課題であり、南海トラフ地震への備えもあって長期的な需要が期待される。景気に左右されない究極の安定銘柄と言え、変動は少ないが確実な需要が長期的に続くと見られている。
INPEX(1605):日本最大の原油・天然ガス開発企業であり、経済産業大臣が約2割の株式を保有する政府系銘柄でもある。原油価格や天然ガス価格が上昇すれば、その利益率約50%という驚異的な収益性が発揮され、インフレや円安も追い風となる。近年では累進配当も導入し株主還元を強化している。ただし、業績が原油価格や為替に大きく左右されるため、他の銘柄に比べてボラティリティが高く、ハイリスク・ハイリターンな側面がある点に留意が必要だ。
Q. 高配当株ポートフォリオを運用する上で、資金配分やリスク管理の心構えについて、プロの視点からアドバイスを教えてほしい。
高配当株ポートフォリオは、短期間での売買を目的とせず、1年から5年以上の長期保有を基本とするべきだ。配当を享受し、加えて株価値上がり益も狙うためには、それなりの時間が必要となる。その間に経済情勢や企業業績を注視し、定期的な見直しも重要だ。

銘柄ごとの資金配分は、単に均等に割り振るのではなく、投資家自身がその企業のビジネスモデルをどれだけ深く理解し、確信を持てているかによってメリハリをつけるべきだ。理解が深い銘柄には手厚く資金を投入し、まだ理解が浅い銘柄は少額から始めるなど、リスク許容度と知見に応じた調整が必要となる。
高配当株投資は、一見初心者にも優しそうに見えるが、実は「上級者向け」の投資手法である。なぜなら、高利回り銘柄は資源、金融、海運など特定の高リスク業種に偏りがちであり、景気変動リスクも高い。株価がなぜ割安に放置されているのかを分析するには、深い専門知識(ファンダメンタルズ分析)が不可欠だ。
そのため、自分が本当に理解できるビジネスモデルを持つ企業に投資することが最も重要である。ビジネスモデルへの理解が浅い場合、株価が急落した際に確信が持てず、結果として狼狽売りをしてしまう可能性が高まる。理解度こそが、市場の下落局面を乗り越えるための盤石な土台となるだろう。