PIVOT DOCUMENTARY
ゼロから始めるスモールビジネス#1【竹内由恵】
(991)
1.4万回視聴
2025年9月17日

コーヒービジネスへの参入を決意したフリーアナウンサー竹内由恵。ビジネス経験ゼロからの起業ストーリーを追う密着ドキュメント <出演者> ・竹内由恵(フリーアナウンサー/renag coffee代表) 慶應義塾大学卒業後2008年にテレビ朝日に入社。『ミュージックステーション』や『スーパーJチャンネル...
竹内由恵のコーヒー焙煎への挑戦——アナウンサーから焙煎士への転身
テレビ朝日の人気アナウンサーから、静岡・浜松への移住、そしてコーヒー焙煎ビジネスへの挑戦。竹内由恵が語る新たなキャリアと情熱の源泉。

Q. 浜松に移住した理由は?東京との違いをどう感じていますか?
5年以上浜松に住んでいて、今ではこちらの生活にすっかり馴染んでいます。移住したのは結婚がきっかけでした。当時テレビ朝日のアナウンサーをしていましたが、浜松に移り住むことになったため、仕事を辞めざるを得ませんでした。

東京との違いは多々あります。まず車がないと生活できないこと。東京ではほとんど運転せず、電車やタクシーを利用していましたが、浜松では毎日運転しています。
時間の流れ方も違いますね。東京にいると人が多くて、周りの人が気になって「もっとおしゃれしなきゃ」「こうあるべきだ」と感じがちです。でも静岡では全くそれを感じずに生きられる。自分が何をしたいのか、好きなことと素直に向き合える場所だと思います。
Q. テレビ朝日を辞めることになった経緯は?
結婚して浜松に住むことになったため、テレビ朝日を辞めざるを得ませんでした。時系列としては、浜松への移住が決まったから辞めたというのが正確です。
もし浜松に来ることがなければ、テレビ朝日に残っていたでしょうね。報道ステーションを担当して1年で辞めることになったので、担当して間もない状態でした。当時は東京オリンピックも控えていたので(結果的にはコロナで延期になりましたが)、普通に考えればオリンピック終了後に退社するかなという感じでした。
ただ、新しい環境でも家族を作りたいという気持ちが強く、キャリアのことはあまり考えていませんでした。
Q. 浜松での生活はどのような感じですか?
朝は3時か4時に起きて、子供が起きる6時半までの3時間で色々なことをします。料理や仕事、コーヒー事業の準備などをこの時間帯に済ませます。子供を9時頃に保育園に送り、その後仕事に行って、6時のお迎えには間に合うようにしています。
東京だと通勤だけで往復4時間くらいかかるので、その点浜松での生活は時間を有効に使えています。
Q. フリーのアナウンサーになってみて、どんな思いがありましたか?
フリーになった当初は「いろんなバラエティに出るぞ」という感じで燃えていましたが、はっきりとした目標がありませんでした。局のアナウンサー時代にそういう経験は一通りしていたので、新鮮味も薄かったと思います。
フリーのアナウンサーとして活動していくうちに、モヤモヤした気持ちが生まれてきました。自分がどこに向かっているのか分からなくなったんです。「タレントとして何が目標ですか?」と聞かれても、「なるべく多くのバラエティに出たいです」としか答えられない。その答えに自分自身がしっくりこなかったんです。
また、タレントやフリーアナウンサーの仕事は需要があってこそ。いくら自分が頑張っても、それが形にできない、ただ待っているだけという状況が苦しく感じました。30代、40代になっても受け身のままでいいのか、自問自答する時期が長く続きました。
Q. コーヒー焙煎ビジネスを始めようと思ったきっかけは?
浜松に来た時から、アナウンサーの仕事を離れて次は何をしたいか考えていました。自分には特に趣味がない人間なのですが、唯一好きなのがコーヒーでした。毎日こだわって飲んでいましたし、大学時代からカフェを開くという夢もありました。

コーヒーの中でも焙煎(バイセン)に興味を持ったのは、自分が味に影響を及ぼせる形での関わり方だと思ったからです。カフェのバイトもしましたが、お客さんを待つのが苦手で、自分には店員の仕事は向いていないと感じました。バリスタも同様にお客さんに提供する仕事なので、コーヒー業界の中で焙煎が最も魅力的に思えました。
アナウンサーとしての仕事は自分の人柄やキャラクターで売っていく部分が大きかったですが、もっと技術を磨ける分野で頑張りたいという思いもありました。
Q. コーヒーとの出会いや特別だと感じた瞬間は?
2000年代頃からスペシャルティコーヒーが日本でもムーブメントになっていて、その頃丸山コーヒーさんで紅茶のような香りがとても良いコーヒーに出会いました。それから自分でもフレンチプレスを買って、豆を挽いて飲むようになりました。毎日仕事に行く前に飲むのが日課でした。
コンビニのコーヒーも美味しいですが、スペシャルティコーヒーは格別な美味しさがあります。他では味わえないような素晴らしい香りと、口に入れた時の風味が本当に素晴らしいんです。豆によっても味わいが違うので、そこからどんどん深みにはまっていきました。
Q. 焙煎機が届いた時の気持ちは?
ついにこの日が来たという感じでした。ずっと思い描いていた光景なので、焙煎機が輝いて見えました。これまでもSNSなどで焙煎機を店舗に導入するシーンを見て憧れていたので、それが自分の番になったことに感動しました。
この焙煎機はプロバットというメーカーのもので、車で言えばフェラーリのような存在です。信頼されている焙煎機なので、中古でも値段があまり下がりません。もし将来もっと大きくしたり誰かに売ったりする時も、価値があまり下がらないというのが決め手でした。
この焙煎機の仕様感も含めて世の中に唯一のものだと思うので、すごく愛着があります。
Q. 焙煎の作業はどのような気持ちでやっていますか?
焙煎している時はとても無心になります。周りが見えなくなるほど集中するのが楽しいです。作業に没頭して、最後に「これはおいしくなるかな?家に帰って飲むのが楽しみだな」と思うまでの一連の流れがワクワクします。
焙煎中はパソコンで豆の温度を確認します。理想的な温度グラフがあって、それに合わせて火加減を調整します。「7分経過したら豆の色はこれくらい、温度はこれくらい」という理想と照らし合わせながら作業しています。
Q. コーヒー事業の今後の展望は?
今は自己資金で全て運営しています。豆の仕入れもアナウンサーの仕事で稼いだお金を当てながら進めています。私の中ではとにかくこれを成功させるという気持ちが強いです。

具体的な目標としては、3年くらいで年商1億円を目指しています。最初はオンラインで販売するところから始めますが、将来的には数店舗構えて、できれば猿田彦珈琲のように広げていけたらと思っています。
夢は大きく持っていますが、まだビジネス面で分からないことが多いのが現状です。AIなども活用しながら、一つ一つ学んでいこうと思っています。
Q. アナウンサーの仕事とコーヒー事業はどう両立させていく予定ですか?
アナウンサーの仕事も続けたいと思っています。基本的には週3日程度アナウンサーの仕事をして、残りの日をコーヒー事業に充てるようなバランスを取りたいです。
フリーになってから、自分の方向性に悩む時期がありました。タレントの仕事は待ちの姿勢になりがちで、それが自分にとってきつく感じることもありました。もっと自分の行動が直接形になるような、自分が動いてそれが明確に形になる実感を得られる働き方がしたいと思ったのが、このビジネスを始めるきっかけでした。
Q. コーヒー事業を本格的に始めるにあたっての課題は?
まだまだ課題がたくさんあります。本格的に始められることに喜びはありますが、「これからどうしよう」という思いの方が大きいです。分からないことだらけで、あまり相談できる人もいないので全部自分の判断になります。どこかで大失敗するかもしれないという不安もあります。
初期投資も1000万円近くかかっていて、完全にゼロベース、赤字の状態からのスタートなので不安はあります。私にできるのかという疑問もありますが、チャットGPTなどのAIを活用しながら、Excelなども作成しています。AIがある現代だからこそ、ゼロからでも挑戦しやすいと感じています。
しかし、浜松に住んでいて良かったのは、本格的な焙煎士の方と出会えたことです。その方から教えてもらえるのは、静岡に住んでいる強みだと思っています。
Q. この新しい挑戦にどんな思いで臨んでいますか?
本当に色々な人に助けてもらってここまで来ました。コーヒー業界の方々からも応援していただき、教えてもらいながら準備を進めてきました。だからこそ絶対に良いものを作りたいという思いがあります。
最終的に消費者の方に届いた時に「タレントが作ったものだからあまり期待してなかったけど、思ったより本格的だね」と思ってもらえるように頑張りたいです。
20代の頃は現場に行って、ハードワークして周りの人から可愛がってもらうという働き方でしたが、子育てをしながらではその時間の確保が難しくなりました。過去の実績だけでは仕事は徐々に減っていく一方なので、自分から何かを生み出していくしかないと感じています。今はその限界地点にいるので、新しいことを始める決断をしました。