PIVOT TALK FOOTBALL
リバプールに学ぶ世界最先端のビジネス戦略(日本語吹き替え)
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2025年8月22日

リバプールはピッチ外でも好成績を残しており、クラブの市場価値は世界4位となった。スタジアムを熱狂の渦に巻き込むファンとの一体感はどのように生まれるのか。ファンを試合により近づける施策とは。リバプールの躍進を支えるビジネス戦略をリバプールFC CCOのベン・ラティ氏に聞いた。 <ゲスト> ベン・ラテ...
リバプールFCのビジネス戦略 - 単なるスポンサーシップを超えた価値創造
サッカークラブの価値ランキングで上位に位置するリバプール。その商業的成功の秘訣とは何か。リバプールFCのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)であるベン・ラティ氏が、クラブの経営哲学や革新的なスポンサーシップの取り組みについて語った。

Q. リバプールFCはクラブ価値ランキングで上位に位置していますが、この成功についてどう考えていますか?
リバプールFCは持続可能な形でのクラブ運営を信念として貫いてきました。クラブで得た収益は全て施設の充実やチーム強化などに再投資しています。私の役目は優秀なスタッフたちと一緒に可能な限り多くの収益を生み出し、それをピッチでの成功につなげることです。この戦略により、世界のサッカー界において素晴らしい成長を遂げることができました。

Q. 商業面での成功要因はどこにあるのでしょうか?
私たちは「コントロール可能な収益」の拡大に力を注いでいます。これは自分たちで直接影響を与えられる収益のことで、主にスポンサー収入と試合による収入を指します。放送権収入もありますが、これはリーグ内での順位次第で変動するため、商業部門としては自らコントロールできる収益に集中しています。
ピッチ外での成功がピッチ上での成功につながり、逆にピッチでの成功が商業面を押し上げるという好循環を生み出しています。これは運ではなく、クラブ全体の努力の成果です。関わる全員がこのサイクルにおける自らの役割を理解し、この成長機動を維持することに全力を注いでいます。
Q. リバプールFCのスポンサーシップの特徴的な点は何ですか?
私たちのスポンサーシップは単にお金をもらうだけではなく、パートナー企業と一緒にビジネスを創造することに重点を置いています。この数年でパートナー企業の選定に関して大きな方針転換を行い、財務的な価値を超えた付加価値をもたらしてくれるパートナーを選んでいます。
例えば、エクスペディアはファンの旅行を大いにサポートし、女子チームにはアウェイ遠征を提供しています。UPSはヨーロッパに配送センターを設立し、イギリス国外のファンにより早く確実なサービスを提供しています。日本航空は私たちのグローバル航空パートナーとして、日本へのプレシーズンツアーの移動をサポートしてくれました。
私たちが求めているのはクラブに付加価値をもたらすパートナーです。それが相乗効果を生む素晴らしい関係につながり、大きな成功を作るパートナーシップの秘訣となります。
Q. GooglePixelとのパートナーシップで話題になった事例について教えてください
GooglePixelとの提携は「ファンを試合により近づける」という目的で始まりました。その一例が、ファン・ファンダイクが試合中にGooglePixelのスマートフォンを使って自撮りをした瞬間です。これは強制したものではなく、私たちのメディアチームと選手たちの信頼関係によって生まれました。

メディアチームは練習場に常駐し、毎日選手と行動を共にすることで信頼関係を築いています。選手たちはスタジアムのどこにメディアチームがいるか、ホームでもアウェイでも常に把握しています。こうした努力が実を結び、ファンダイクは試合中にメディアチームを見つけて自らスマートフォンを手に取り、ファンを喜ばせる瞬間を生み出しました。
このような瞬間が生まれるのは、スタッフのプロ意識と専門知識、そしてクラブ全体の信頼関係があってこそです。私たちは一つのクラブ、一つのチームとして運営しています。
Q. エクスペディアとの女子チーム支援の取り組みについて教えてください
私たちは「一つのクラブ、二つのチーム」という考え方を大切にしています。女子サッカーは急成長しており、私たちもその成長に力を注いでいます。
エクスペディアとの取り組みは、女子チームのサポート強化から始まりました。データと調査によると、アウェイゲームの観客数を増やす上での障壁の一つが移動手段でした。そこで旅行パートナーであるエクスペディアに、女子チームのファンのためのアウェイ遠征サポートを提案しました。彼らは非常に興味を持ち、喜んでサポートしてくれました。
この取り組みにより、女子チームのアウェイゲームにより多くのファンが来てくれるようになり、大きな成功を収めています。チームもそのサポートを実感できていると思います。私たちは今後も、ファンの移動手段のサポートにおいてエクスペディアと何ができるか一緒に考えています。
Q. パートナーと一緒にビジネスを創造するという哲学はどこから来ているのですか?
これは各部門の協力の成果です。パートナーシップチームとアクティベーションチームが毎日、パートナー企業のためにどのように価値を高められるか考えています。パートナー企業側にもリバプール担当チームがあり、こうした優秀な人材が一堂に会して素晴らしいアイデアを生み出しています。
私たちはパートナーに対して非常に柔軟です。契約や権利の取り決めはありますが、パートナーシップが始まればそれはある程度どうでも良くなります。なぜなら、私たちがパートナーにどう価値を提供できるかが全てだからです。
この数年で、スポンサーシップやパートナーシップの世界で、いかに具体的で目に見える価値を提供できるかという考え方に変えてきました。かつては契約にないことはやらないという時代もありましたが、今の私たちのアプローチは全く違います。パートナーへのサービス提供においてサッカーだけでなく世界のスポーツエンターテイメント業界をリードしていると自負しています。それはパートナーの更新率や延長率、そして業界での評判に現れています。
Q. リバプールの「This Means More」というキャンペーンについて教えてください
「This Means More」は数年前に行ったキャンペーンで、私たちが他のクラブとどう違うのか、何が特別なのかを表現しようとする試みでした。私たちのファンは他のクラブのファンより忠実だと信じていますし、パートナーも他のクラブのパートナーより熱心です。
象徴的なアンフィールド・スタジアムがあり、他のクラブには歌がありますが、私たちには「You'll Never Walk Alone」があります。このクラブには何か特別なものがあると信じています。
それはクラブが持つ価値観、運営方法、そして都市、市民、文化が象徴するものによって突き動かされており、それがクラブにも反映されているのです。
Q. 「The Red Way」という持続可能性への取り組みについて教えてください
「The Red Way」は、クラブ全体の持続可能性活動を一つの傘の下にまとめたキャンペーンです。これはすでにサッカー界を代表するサステナビリティプログラムとして知られており、「人、地球、コミュニティ」という3つの分野に焦点を当てています。
私たちが特に誇りに思うのは、世界で最も持続可能なサッカークラブとしてスポーツ界でも評価されていることです。今の課題は、世界で最も持続可能な取り組みを行う優れたスポーツ団体になることです。
ヨーロッパサッカーにおける私たちの役割を考えれば、私たちが先導すべきだと信じています。これはファンが共感し、誇りに思えることだと思います。そしてパートナーも共感してくれています。
Q. 講談社とのパートナーシップについて教えてください
パートナーと話し合う際に私たちが望み、期待することは、パートナーが主要な海外市場で活動したいという意欲があることを理解することです。しかし、私たちはリバプールのクラブであり、プログラムはリバプールで始めなければなりません。それを成功させてから、その成功を世界に広げるのです。
講談社はその良い例です。彼らはリバプールで「クリエイティブワークス」プログラムを行い、資金を提供しました。これは地域で本来受けるべき、あるいは受けたかった教育へのアクセスがなかった人々のためのものです。講談社が創造的なスキルを開発するためのプログラムに何期にもわたって資金を提供してくれました。

このプログラムは非常に成功し、最近ではニューヨークでも展開しました。今後、世界中にどう広げるかを検討中です。野間社長に初めて会った時から、彼がクラブの価値観を理解していることは明らかでした。私たちも彼の組織を理解しました。私たちも彼らも地域社会に貢献したかった。それが財団と講談社の協力によって実現しました。
Q. 今後のビジネス展望について教えてください
ピッチの外でも組織として私たちの役割は、持続可能なクラブ運営を確実にすることです。実際、あらゆる業務でデータを活用しています。パートナーシップ事業では、提携の進捗状況や成果、パートナーと実施するキャンペーンの効果を把握するためにデータが欠かせません。マーケティングチームもデータ分析を徹底的に活用しています。
SNSを運営する際も、どのコンテンツが効果的か、なぜ効果的なのか、アプリやウェブサイト、SNSでユーザーがどれくらい滞在しているかを常に分析しています。つまり、私たちのあらゆる活動を常に検証し、組織としての次の一手は必ず過去のデータに基づいて決定しているのです。
私たちはクラブのコントロール可能な収益を増やすことを必死に追求しています。この高循環の考え方は、収益が増えたりピッチで成功したりすると両方が相乗効果で上昇するということです。しかし、それが一時的に起こらなくても、コントロール可能な収益を増やし続けることがピッチでの成功を続けるために必要な資金を提供します。