TIME IS
資産80億円/元手50万円から増やした投資法/末期がんの医師が娘に伝える【個人投資家・たーちゃん】
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2025年7月23日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、元手50万円から資産80億円に増やした個人投資家・医師のたーちゃん氏に独自の投資法を聞く。 <ゲスト> たーちゃん|個人投資家/麻酔科医 <目次> 00:00 ダイジェスト 00:37 ...
50万円を80億円に増やした投資医が明かす資産運用法!末期がんを乗り越え、娘たちへ最後の贈り物とは
2013年から10年かけて資産を数倍に増やし、直近では80億円規模まで膨らませた個人投資家のたーちゃん。医師としての本業を持ちながら、独自の「シクリカルバリュー投資」で富を築いた彼が、末期がんという命の期限を意識し、娘たちへの遺産として投資哲学を本にした。その秘訣を探る。

Q. 自己紹介をお願いします
広島大学医学部を卒業し、現在49歳で現役の麻酔科医として働いています。大学生の時に貯めたアルバイト代50万円を元手に株式投資を始めました。資産は著書を出版した時点で50億円を突破し、現在では80億円程度になっています。自分で考案した「シクリカルバリュー投資」という手法で資産を増やし続けています。
Q. なぜ書籍を出版することになったのですか?
実は本を書くつもりは全くありませんでした。しかし2022年に直腸がんのステージ4が見つかり、肝臓転移や再発を経験。子供たちが大学生になるまで生きられないかもしれないと思うようになりました。自分が生きている間に何か形に残るものを残したいという気持ちが強くなり、それまで断っていた出版の話を受けることにしたのです。
子供たちには大学生になったら投資の手法を教えるつもりでしたが、そこまで待てない可能性が出てきました。お金が全てではありませんが、人生の選択肢を増やしてくれるものです。子供たちには私の投資手法を学んで、人生を豊かにする手段として活用してほしいと思い、本を書きました。
Q. あなたの投資手法を教えてください
私の投資手法は「シクリカルバリュー投資」です。これは一般的なバリュー投資の中でも、景気循環(サイクル)に合わせて儲けを出す方法です。シクリカル株とは景気サイクルに敏感に反応する株のことで、外部環境に大きく左右される特徴があります。

企業単体の努力ではどうにもならない赤字が出ることもありますが、景気が良くなると多くの企業が儲かります。この景気の谷と山を利用して投資する方法が、うまくやれば非常に期待値が高いと考えています。
Q. バリュー投資にはどのような種類があるのですか?
バリュー投資は大きく分けて3種類あります:
1. 資産バリュー投資 - 会社が保有する資産に対して株価が割安なものに投資する方法
2. 収益バリュー投資 - 安定して少しずつ伸びている業績の株をそこそこの割安な値段で買う方法
3. シクリカルバリュー投資 - 業績が低迷している時に株を買い、業績が良くなった時に売る方法
これに対して全く異なる投資法として「グロース投資」があります。これは急成長している株を追いかけ、多少割高でも構わないという考え方です。
Q. シクリカルバリュー投資について詳しく教えてください
投資手法を分類するなら、縦軸をバリュエーション(割高か割安か)、横軸を成長性(成長しているかしていないか)としたマトリックスで考えるとわかりやすいです。
グロース投資は右上(高成長・高バリュエーション)に位置し、資産バリュー投資は左下(低成長・低バリュエーション)に位置します。収益バリュー投資はそのマトリックスの真ん中あたりにあります。
一方、シクリカル株はこのマトリックス内をぐるぐる回ります。シクリカルバリュー投資の最大のポイントは、「成長性が高いのにバリュエーションが低い」状態を狙うことです。これが最も期待値が高い状態です。そして適切にバリュエーションされて業績の限界が見えてきた段階で売るのが理想的です。
Q. 実際にどれくらいの利益を上げましたか?
資産バリュー投資、収益バリュー投資、シクリカルバリュー投資の比率でいうと、金額ベースで1対1対8の割合になっています。特にシクリカルバリュー投資で大きな利益を上げました。
私の初めての成功は金鉱株でした。金鉱企業が赤字の時に株を買い、金の価格が上がって大きな利益を出した時に売り抜けました。これは典型的なシクリカル投資です。また、アイフルという消費者金融や、コロナショック時の石油株など、常にシクリカルな銘柄で利益を上げてきました。
Q. 資産バリュー株投資について詳しく教えてください
資産バリュー株は文字通り、保有資産の価値に対して株価が割安な銘柄です。多くの場合、大昔に買った土地や株式などの資産を保有しています。これらの資産は簿価では非常に低く評価されていますが、売却時に特別利益として大きな利益が出ることがあります。
メリットは株価が下落することがほとんどないことです。一方、デメリットはいつ株価が上がるかわからず、長期間横ばいのままということもあります。
資産バリューの銘柄例としては「大東リミテッド」があります。昔からアパレル業を営み、自社ビルを2軒持っていました。これらを売却することで自社時価総額の何倍もの利益を出すことができました。さらに、アクティビスト(物言う株主)が配当を要求し、会社がそれに応じた瞬間に株価が急騰しました。
Q. 資産バリュー株はどうやって探せばいいですか?
基本的には以下の条件でスクリーニングすると良いでしょう:
PBR(株価純資産倍率)0.5以下
自己資本比率60%以上
PER(株価収益率)は12以下が望ましい
営業年数が古いほど「お宝」が眠っている確率が高い
また、有価証券報告書を読んで、保有不動産や株式の一覧をチェックすることが重要です。例えば、東京の一等地の土地が簿価では非常に安く計上されていることがあります。
ショートカットとしては、インターネットで「資産バリュー株」などと検索すると、誰かがまとめているリストが見つかることもあります。それを出発点として自分で調査するのが効率的です。
Q. 収益バリュー株投資について教えてください
収益バリュー株投資は、利益に対して株価が割安な銘柄に投資する方法です。PERが低く、業績が安定または伸びている株式に投資します。業績が伸びているのに稼ぐ力が低く見積もられている銘柄を探すのがポイントです。
メリットは資産バリュー株よりも株価上昇のタイミングが分かりやすいことです。業績が上がれば株価も上がりやすいからです。デメリットは、株価が上がるまで時間がかかることもあり、売り時が難しいことです。業績悪化後に売ると大きな損失になることもあります。
私が成功した例としては「かつや」(とんかつチェーン)があります。姫路市の病院で働いていた時に近くにあったかつやが上場した際、リーマンショック時に時価総額が20億円程度まで下がったタイミングで購入しました。
店舗の面積あたりの売上や人件費などを計算して、同業他社と比較して優位性を確認した上で投資しました。その後、親会社のアークランドサービスと合併する直前には時価総額が800億円程度まで成長し、40倍になりました(ただし私は10倍で売却しました)。
Q. 収益バリュー株の探し方は?
基本的には以下の条件でスクリーニングすると良いでしょう:

PER 15以下(10以下だと更に良い)
営業利益率10%以上
PBR 1.5以下が望ましい
ROA 7%以上
時価総額は小さい方が良い(300億円以下)
注意点として、売上成長率が年率20%を超える企業は避けた方が良いと考えています。成長が速すぎると無理が生じるケースが多いからです。企業が健全に成長できるスピードは20%くらいだと思います。
特に小売業などの場合は、出店余地(全国展開の余地があるか)を確認することも重要です。全国展開が完了すると成長の余地がなくなってしまうからです。
Q. 株の売り時のルールはありますか?
大きく分けて3つのパターンで考えています:

1. シナリオが崩れた時 - 株を買う時は必ずシナリオを考えているはずです。「この会社がこうなれば株価はこう上がる」という予測が外れた場合は、早めに売却すべきです。
2. もっと良い株が見つかった時 - より期待値の高い銘柄が見つかった場合は、現在の保有株を売却して乗り換えるのも一つの選択肢です。
3. 短期間で上がりすぎた時 - 難しい判断ですが、特に出来高が急増した場合や、掲示板などでの話題性が急に高まった場合は売り時かもしれません。
長期投資と言っても、最低でも3年は必要だと考えています。本当の意味で企業の成長を享受するなら5年から10年のスパンで考えるべきです。多くの投資家は焦って儲けようとしすぎている印象があります。
Q. 忙しいビジネスパーソンでもこれらの投資手法はできますか?
もちろんできます。私自身も忙しい医師として働きながら投資を行ってきました。私ができたということは、他の人もできるはずです。麻酔科を選んだ理由の一つとして、時間のオンオフをつけやすい職種だったということもありますが、基本的にどんな職業の方でも実践可能な手法だと思います。