ゲームだいがく
【脳科学の新常識】ゲームをすると頭が良くなるワケ
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2025年8月9日

ゲームが脳に与える様々な良い効果が、最近の研究で明らかになっている。ゲームで向上する具体的な能力や、アメリカで治療法として取り入れられている「シリアスゲーム」について、星友啓氏に聞いた。 <ゲスト> 星 友啓|スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長 哲学博士 <参考書籍> 『なぜゲームを...
ゲームをすると頭が良くなる?脳科学から見た最新研究
ゲームをすると頭が良くなる?そんな画期的な研究結果が注目されている。
ゲームに対するネガティブなイメージを覆す、脳科学の最新知見を専門家が解説する。

Q. ゲームをすることで記憶力や情報処理能力は本当に向上するの?
ゲームは記憶力と情報処理能力を向上させる効果があります。
例えばワーキングメモリーは学んだ情報を一定期間保持し必要な時に取り出す能力ですが、
ゲームをプレイする際、失敗した場面を覚えて次の挑戦で活かしたり、さまざまな情報を組み合わせて処理したりすることで、特に短期記憶の能力が高まります。
実際に脳の研究結果でも、ゲームをプレイした後は海馬(短期記憶を司る部位)の灰白質が拡大することが確認されています。
また、ワーキングメモリーを司る背外側前頭前葉の活性も、ゲームをプレイすると約2倍に増加することが示されています。
Q. ゲームのポジティブな効果は他にもある?
空間認識能力の向上も大きな効果の一つです。
例えばシューティングゲームでは、画面のさまざまな場所から飛んでくる弾を認識し、より広い視野の中で対象を捉える能力が鍛えられます。

研究によると、ゲーマーは非ゲーマーと比較して、空間認識能力が明らかに高いことが示されています。
また、注意力の向上や、脳の効率的な使用能力も確認されています。
興味深いのは、ゲーマーの脳の活性パターンです。ゲームを頻繁にプレイしない人は、ゲームをすると脳の広い範囲が過剰に活性化します。
一方、ゲーマーは必要な部分だけを効率的に活性化させることができるため、脳疲労が少なく、効率的に情報処理を行えるのです。
Q. 3Dのリアルな空間と、2Dのゲーム画面では、脳への影響に違いはある?
実は、大きな違いはありません。私たちが立体的に見えるものを認識する際も、脳内では2次元の情報から3次元を解釈しています。
つまり、モニター上の2次元映像から3次元を解釈する処理と、実際の3次元空間を認識する処理は、脳内では類似したプロセスで行われているのです。
ただし、幼少期(0〜5歳頃)は実際の3次元物体に触れるなどの経験が重要です。
この時期に基本的な空間認識を学んだ後であれば、ゲームによる空間認識能力の向上効果が期待できます。
Q. ゲームは高齢者にも効果がある?
効果はあります。60〜80代の方を対象にした研究では、ゲーム未経験の高齢者に12時間程度シューティングゲームをプレイしてもらったところ、
20代と同等のマルチタスク処理能力を獲得できたという結果が出ています。

このことから、ゲームは若い世代だけでなく、高齢者の脳の若さを維持する効果があると言えます。
いわゆる「ボケ防止」としての効果も科学的に確認されています。
Q. パズルゲームや将棋などのボードゲームと、アクションゲームでは効果に違いはある?
効果の種類に違いがあります。長く「ボードゲーム最強説」と言われてきましたが、
実際に研究してみると、シューティングゲームやアクションゲームの方が空間認識やワーキングメモリーの向上に効果的であることが分かっています。
「ボードゲーム最強説」が広まった背景には、因果関係の勘違いがありました。
将棋やチェスをプレイする人の学力が高い傾向がありましたが、実は「頭が良いからボードゲームを選んでプレイした」という逆の因果関係だったのです。
ボードゲームは論理的思考の訓練には良いですが、視覚情報処理や空間認識など、他の認知能力の向上にはアクションゲームの方が効果的です。
Q. 「シリアスゲーム」とは何?
シリアスゲームとは、エンターテイメント以外の目的を持ったゲームのことです。
「ゲーミフィケーション」が何かの目的のためにゲーム要素を取り入れることであるのに対し、シリアスゲームはゲーム自体に教育や治療などの真面目な目的があります。
最初のシリアスゲームは、パイロット訓練シミュレーションなどでした。
その後、医療分野でも発展し、手術後の心理的ケアや、精神的準備のためのゲームが開発されてきました。
現在、アメリカではFDA(食品医薬品局)が医療用シリアスゲームを治療法として認可しており、
処方箋としてゲームが処方され、保険適用で該当するシリアスゲームを購入できるようになっています。
Q. 具体的にどのような医療用ゲームがあるの?
代表的なものとして、ADHD(注意欠如・多動性障害)の治療を目的とした「EndeavorRX」があります。
これはFDAに最初に認可されたゲームで、医師の診断のもとフルバージョンを使用でき、医師が患者の状態をモニタリングしながら治療を進めることができます。

また、注目されているのが「Zengence」というゲーム。
このゲームは「DeepWell」という会社が開発したソフトウェアを搭載しており、視覚や聴覚に作用して生理的な信号を発生させ、
リラックス効果や高血圧の改善効果があるとされています。Zengeanceはストレス軽減に効果がありながらも、ゲーム性を損なわない面白さを持っています。
これまでのシリアスゲームは治療効果を重視するあまり面白さに欠けることが多かったのですが、
最新のゲームはエンターテイメント性と治療効果の両立を目指しています。
Q. ゲームをすると暴力的になるというのは本当?
これは科学的には否定されています。
ゲームに関するネガティブな効果として言われてきた「暴力的になる」という説は、実際に研究してみると因果関係がないことが分かっています。
Q. 子どものゲームプレイは悪影響がないの?
適切な方法でプレイすれば、むしろ良い影響があります。
特に、友達と一緒にプレイするコラボレーション型のゲームは、社会性や協調性も育むことができるため、最も良いプレイ方法と言われています。
例えば、現在子どもたちに人気の「マインクラフト」は、友達と一緒にプレイすることで非常に良い効果が期待できます。
Q. ゲームプレイで最も効果がある時間は?
脳への良い効果を得るための最適なプレイ時間は個人差がありますが、一般的には適度な時間が望ましいです。過度なプレイは効果が減少する可能性があります。
重要なのは、ゲームの種類や目的、年齢に応じて適切な時間を設定することです。
子どもの場合は、発達段階に応じた制限を設けることが大切です。