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【新型コロナのこれから】現場の対策の変化と「後遺症」の考え方
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2025年7月12日

再び新型コロナウイルスのパンデミックが起こる可能性はあるのか?また後遺症についてはどのように考えれば良いのか?感染症専門医の忽那賢志氏に、2025年現在の最新事情を聞いた。
新型コロナ「ほぼ終わった」は本当か?後遺症の治療法と今後の予測を感染症専門医が解説
2020年初頭から世界を震撼させた新型コロナウイルス。パンデミックから数年経った今、多くの人が「もう終わった」と考えがちです。
しかし実際はどうなのでしょうか?医療現場の状況はどうなっているのか、後遺症の研究は進んでいるのか、感染症専門医の忽那賢志先生に聞きました。

Q. 今後、日本が再びコロナ禍のようなパンデミック状況に襲われる可能性はありますか?
現在、WHOは様々なシナリオを考えていますが、最も可能性が高いのは「流行が徐々に落ち着き、重症化する人も減っていく」というシナリオです。
ただし、もう一つ考えておくべきシナリオは「全く新しい変異株が出現して大きな流行が起こる」というものです。
しかし、大きな流行が起きても重症化する人が増えなければ、当初のようなパニックにはならないでしょう。
現在、日本人の約7割が感染経験があり、ワクチン接種率も8〜9割に達しています。全く新しい変異株が出現しても、初回感染よりは重症化しにくいと予想されます。
感染者数は増える可能性がありますが、重症化する割合は当初よりずっと少ないと考えられます。
Q. 医療現場の現状はどうなっていますか?
入院患者数のデータを見ると、感染者数は減少傾向にありますが、入院患者数はそれほど減っていません。
第11波では入院患者数が増加傾向にあり、明らかに減っているとは言えない状況です。

この原因として考えられるのは、五類感染症になって以降、ワクチン接種や治療薬に自己負担がかかるようになったことです。
高齢者のワクチン接種率が下がり、治療薬の処方も減少している可能性があります。
抗ウイルス薬は決して安くないため、処方されずに重症化するケースもあるでしょう。
社会的には感染者数が減っている状況ですが、医療機関における負担はそれほど減っていません。
当初のようなパニックはなくなり、システムも整備されましたが、入院患者の診療という点では劇的に減ってはいません。
Q. なぜ当初のようなパニック状況にならなくなったのでしょうか?
感染対策の考え方がシンプルになったことが大きいです。当初は物の表面に付着したウイルスからの感染を心配して、ドアノブなどを頻繁に消毒していました。
しかし、環境からの感染はほとんどないことがわかってきました。
基本的には飛沫感染・エアロゾル感染が主であり、咳や会話で飛ぶウイルスによる感染が中心です。
当初は医療現場でもガウンなど重装備で診療していましたが、現在はマスク、アイガード、手袋という比較的シンプルな防護で対応しており、負担が減っています。
このように科学的知見が蓄積され、効率的な対策ができるようになったことが大きいです。
ただ、新しい知見を早く対策に活かすという点では課題が残りました。
Q. コロナの後遺症について、現在わかっていることを教えてください
コロナの後遺症(罹患後症状)は、発症から3ヶ月経過しても倦怠感や集中力低下などの症状が2ヶ月以上続く状態と定義されています。
オミクロン株以前は、感染者の5〜7人に1人が後遺症を経験すると言われていました。
頻度が高い症状は倦怠感や長引く咳ですが、社会的に大きな問題となるのは「ブレインフォグ」と呼ばれる集中力・記憶力の低下や、抑うつ状態などです。
症状の持続期間は個人差が大きく、半年で収まる人もいれば、2年経っても症状が残っている人もいます。
時間の経過とともに良くなっていく傾向はありますが、個々の患者がどのくらいで回復するかは予測が難しいのが現状です。
Q. 後遺症の原因はわかっていますか?
後遺症の治療法がまだないのは、病態がよくわかっていないためです。
体内にウイルスが少量残存している可能性、免疫反応が継続している可能性、腸内細菌のバランスが崩れている可能性など、複数のメカニズムが考えられています。
おそらく一つの原因ではなく、複合的な要因があるのでしょう。
コロナワクチンを接種していた人は後遺症が起こりにくいというデータがあります。
また、発症早期に抗ウイルス薬を使用した人も後遺症の頻度が少なくなるという結果が出ています。
Q. 後遺症の治療法に関する研究はどのような状況ですか?
現在、後遺症の治療法は確立されていません。
私自身は抗ウイルス薬の投与によって後遺症が減るかどうかを調査する研究を1年以上行っており、もうすぐ結果が出る段階です。

後遺症になってしまった人への治療法も研究されていますが、例えば後遺症の段階で抗ウイルス薬を使用する研究では、あまり良い結果が出ていません。
後遺症になってからの抗ウイルス薬はおそらく効果が低いと考えられています。
Q. ワクチンによる後遺症について、現状はどうなっていますか?
ワクチン接種後に後遺症のような症状を訴える方がいることは事実ですが、科学的にはまだ病態や頻度、因果関係がはっきりわかっていません。
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の例では、ワクチン接種と症状の関連性を調査した研究(名古屋スタディ)で、
ワクチンを接種した人と接種していない人の間で症状の出現頻度に差がなかったという結果が出ています。
新型コロナワクチンについても、接種した人と接種していない人の症状の差を調べる研究や、メカニズムを解明する研究が必要です。
現時点では時間的な前後関係はあっても、因果関係があるかどうかはわかっていません。
Q. これからどのようなことに気をつければよいでしょうか?
コロナは流行と沈静化を繰り返す感染症なので、「もう終わった」と考えるのではなく、流行状況に応じたメリハリのある対策が大切です。
流行期には電車内や人混みでマスクを着用するなどの対応が必要でしょう。

高齢者や基礎疾患のある方はワクチン接種を継続することが望ましいです。
健康な人も、感染しないに越したことはないので、流行期には感染対策を心がけるべきです。