マネー新常識
【検証】老後2000万円は本当に必要?【井戸美枝】
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2025年6月16日

三田友梨佳と後藤達也がタッグを組み投資だけでなく「教育」「老後」などライフスタイルに密接する正しいお金の知識を専門家が提唱する「新常識」を基に学んでいく。今回のテーマは「老後資金」。老後2000万円問題は本当に必要なのか?1級FPの井戸美枝氏が明日から使える計算式などを伝授 <ゲスト> 井戸美枝(...
「老後2000万円必要説」は本当?自分らしい人生後半の過ごし方とお金の関係
2019年に金融庁が発表した「老後2000万円必要説」は多くの不安を引き起こしました。しかし、この数字はあくまで一つの目安に過ぎません。真に重要なのは、自分自身の生活スタイルや価値観に合わせた「自分軸」のマネープランを考えることです。

Q. 老後2000万円問題、結局どうなの?
老後2000万円という数字が独り歩きして、多くの人が必要額として捉えていますが、実際はどうなのでしょうか。
この数字は2017年の総務省の家計調査をもとに算出されたもので、月々の収支の差額が約5万円、それが30年続くと単純計算で約2000万円になるという考え方です。しかし、この計算には様々な前提条件があります。例えば住宅ローンが完済していることや、モデル世帯(40年勤めた会社員の夫と専業主婦の妻)を想定しているなど、現代の多様な働き方や家族形態に必ずしも当てはまるものではありません。
さらに、最新の2023年のデータでは、この差額は3万8000円程度になっています。また、この差額の中には交際費などの工夫次第で調整可能な支出も含まれています。

データはあくまでも目安であり、自分の状況に合わせて考える必要があります。共働き世帯と一人が働いて二人分の生活を支える世帯では、必要な貯蓄額も大きく異なります。
Q. 老後資金を計算する方法はある?
老後資金を計算するには、まず以下のようなステップで考えると良いでしょう:

1. 毎月の支出を計算する(現役時代より7割程度に抑えるのが目安)
2. 年間の特別な支出も考慮する
3. 受け取る年金額を確認する(税金等を考慮して0.8倍程度に計算)
4. (支出 - 年金収入) × 想定する老後期間 = 必要な貯蓄額
ただし、これはフローの計算です。それに加えて、医療費や介護費用などのために約1000万円程度のストック(貯蓄)を確保しておくことが望ましいと言われています。
医療費については、75歳から平均寿命まで(女性なら92歳頃まで)の期間、2割負担で計算すると約338万円。介護費用は生命保険文化センターの調査によると約580万円が平均とされています。これらを合わせると約1000万円という数字になります。
また、意外と見落としがちな支出として、住居費(リフォーム費用や家電の買い替え)があります。家電製品の耐用年数を考慮した計画も必要です。
Q. 年金を増やすコツはある?
公的年金は死ぬまで受け取れる貴重な収入源です。まずは公的年金を増やす方法を考え、それだけでは足りない部分をiDeCoやNISAなどで補完するのが基本的な考え方です。
年金を増やす具体的な方法として、受給開始年齢を遅らせる「繰下げ受給」があります。65歳以降に受給を遅らせると、1カ月につき0.7%ずつ年金額が増加します。例えば、65歳時点で月15万円の年金を受け取る予定だった人が、75歳まで繰り下げると月27万8000円になります。
ただし、損得勘定では、65歳から受け取った場合と72歳から受け取った場合の生涯受給総額はほぼ同じとされています。専門家の意見としては、70〜72歳が税金面なども考慮したバランスの良い受給開始年齢と言われています。
また、2023年に成立した年金制度改革関連法では、より多くの人が厚生年金に加入できるよう制度が変わります。いわゆる「106万円の壁」の撤廃や、小規模事業所の従業員も厚生年金に加入できるようになるなど、年金制度は少しずつ改善されています。
Q. 豊かな老後を過ごすために意識すべきことは?
豊かな老後を過ごすためには、「自分軸」で人生を考えることが重要です。これは、他人の基準や世間の常識に振り回されず、自分らしい生き方やお金の使い方を考えるということです。
まず大切なのは自分の現状を知ることです。以下のチェックリストで自分の傾向を確認してみましょう:
クレジットカードの請求額を見てびっくりしたことがある
お金に関する本を読んだり話を聞いたりするのは好きではない
家計簿をつけたことがあるが挫折した
スマホ決済やクレジットカードをなんとなく使っている
ネットショッピングが好き
これらに当てはまる項目が多いほど、お金の管理に課題がある可能性があります。特に「なんとなく支払う」習慣は家計管理の妨げになります。

固定費は主にクレジットカード払いに、変動費は即時決済(現金やデビットカード)にするなど、支払い方法を整理すると家計が把握しやすくなります。
また、老後の生活は現役時代より活動量が減り、シルバー割引なども活用できるため、思ったより生活費は少なくて済む場合が多いです。ただし、趣味や旅行などにお金をかけたい場合は、その分の準備が必要です。
最後に、若いうちから老後のことを意識することが大切です。時間があるということは、お金を増やしたり、稼ぐ能力を身につけたりするうえで大きな強みになります。