政策超分析
トランプ政権「ディール」の真意
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2025年3月18日

杉村太蔵氏をレギュラーコメンテーターに迎え、政局よりも重要な「政策」に焦点を当て、どこよりも深く徹底分析する番組
トランプ政権2ヶ月目:「強い大統領」の真実とは - 元駐米大使が語る驚くべき内幕
トランプ大統領が2期目の就任から2ヶ月が経過した。第1期とは明らかに異なる「強いトランプ」の実像とは?前代未聞のゼレンスキー大統領との対立、そして日米関係の行方について、安倍・菅政権時代に駐米大使を務めた杉山晋輔氏が独自の視点で分析する。

Q: トランプ大統領の2期目の特徴を一言で表すと?
トランプ大統領は「強い」の一言に尽きる。単に支持率が高いとか権力基盤が強固というだけでなく、「人が言うことを聞く」という意味での強さだ。保守の共和党と革新の民主党に大きく分かれるアメリカ政治において、選挙では数字上は僅差であっても、ホワイトハウス、上院、下院の全てで共和党が多数派となる「トリプルレッド」を達成した。
特徴的なのは、就任初日から100本以上の大統領令を矢継ぎ早に発したことだ。これは歴代大統領でも例がない。通常、新大統領は「ハネムーン期間」と呼ばれる最初の100日程度は閣僚人事や政府組織の整備に時間をかけ、様子を見ながら政策を進める。しかしトランプ大統領は「様子を見る」という概念がない。

Q: なぜ今回のトランプ大統領は第1期と比べてより「強く」見えるのか?
第1期と第2期では大きな違いがある。第1期のトランプ大統領は政治の世界では初心者だった。不動産業界での成功者、テレビの人気司会者ではあったが、政治経験はゼロ。通常、大統領になる人は上院議員や州知事などの経験を経て選ばれるが、トランプ氏は2016年の大統領選が初めての選挙だった。
対して今回は、ホワイトハウスでの4年間の経験があり、その後の4年間、再選に向けて準備を重ねてきた。敗北を喫したからこそ、「必ず雪辱を果たす」という強い決意と周到な準備があった。第1期は手探りだったが、今回は明確なビジョンと実行計画を持って就任している。
Q: 石破総理との日米首脳会談はどう評価できるか?
2月に行われた石破総理とトランプ大統領の会談は、現状では最高の結果だったと評価できる。双方の首脳間の「ケミストリー」が非常に良好で、通常であれば冒頭の3~5分程度しかカメラが入らない場面で、約30分もメディアに公開された。
内容面でも、尖閣諸島への安全保障条約適用や北朝鮮問題、中国との関係、より広い国際情勢について過不足なく言及された共同声明が発表された。特に最初から尖閣諸島について明確な言及があったことは大きな成果だ。
この成功の背景には、トランプ大統領の日本への好感があるとみられる。東アジアにおけるアメリカの同盟国の中でも、日本は特に「頼りになる」存在として認識されている。
Q: トランプ大統領とゼレンスキー大統領の対立はなぜ起きたのか?
2月28日のゼレンスキー大統領との会談は前代未聞の事態となった。当初約40分間は順調に進んでいたが、途中からこじれ、最終的にトランプ大統領が「今すぐ部屋から出て行け」と激怒する場面となった。
きっかけは、JDバンス副大統領の発言に対し、ゼレンスキー大統領が「あなたが言っている外交とは何か」と反論したこと。また、「アメリカも将来、不安に思うことになるだろう」という発言がアメリカのプライドを傷つけた可能性がある。
首脳会談でこうした対立が表面化することは極めて異例だ。通常、仮に意見の相違があっても、カメラの前では互いに尊重し合う姿勢を見せるのが外交の常識である。
Q: トランプ大統領のウクライナ政策の本音は?
トランプ大統領の本音は「とにかく戦争で人が殺し合うのはやめろ」ということだ。プーチン大統領の侵略か、ゼレンスキー大統領の対応かといった責任論よりも、「この瞬間に何千人もの人が死んでいる状況をすぐに終わらせたい」という考えが根底にある。
この姿勢がアメリカ国民の多くの共感と支持を得ている。トランプ大統領の言い方や交渉手法は乱暴だが、戦争終結という目標自体は多くの人が賛同する。
また、トランプ大統領はヨーロッパに対して「自分たちの安全保障は自分たちで考えろ」と主張している。これまでNATOはアメリカが主導してきたが、ロシアの侵攻を止められなかった現実がある。「ヨーロッパは自ら防衛予算を増やすべきだ」というトランプ大統領の主張は、実はアメリカ国内では広く支持されている。
Q: 中国との関係はどう変化するのか?
アメリカの対外政策の最重要課題は対中政策だ。トランプ大統領の真の標的は習近平国家主席と言えるかもしれない。
しかし、トランプ流の外交がヨーロッパなどから反発を受け、アメリカの孤立につながる懸念もある。世界が「脱アメリカ」の流れになった場合、中国が国連などの場で「まともなこと」を言い始めると、世界の支持を集める可能性もある。
Q: 通訳の役割についてどう考えるか?
首脳会談における通訳の役割は非常に重要だ。単に言葉を機械的に訳すだけでなく、言葉の背景にある雰囲気や意図、ニュアンスを正確に伝える必要がある。
石破総理とトランプ大統領の会談では、安倍政権時代からトランプ氏の通訳を務めてきた高尾氏が起用された。一方、ゼレンスキー大統領は英語で直接会話を試み、結果的に誤解を招いた可能性がある。
言葉のニュアンスや文化的背景を含めて正確に伝える通訳は、国際外交の成功に不可欠な要素だと言える。
Q: トランプ大統領の「人間性」はどのようなものか?
メディアでは強硬な発言や挑発的な姿勢が強調されがちだが、個人的に接すると非常にチャーミングな一面があるという。「独善的」と思われがちだが、実際には優しく、心が温かく、人の話をよく聞く面もある。
杉山氏は大使時代にトランプ大統領と直接会話する機会があり、「また話を聞かせてくれ」と親しく声をかけられた経験を持つ。大統領と大使が直接携帯電話で連絡を取り合うことはないが、大統領がそうした姿勢を見せることで、側近や閣僚との連絡が取りやすくなるという効果があった。
トランプ大統領と日本の関係は、安倍政権時代から良好で、石破政権になっても引き続き良好な関係が維持されている。