マネー新常識
正しい金融教育で何が変わる?【J-FLEC(金融経済教育推進機構)理事長 安藤聡】
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2025年1月20日

三田友梨佳と後藤達也がタッグを組み投資だけでなく「教育資金」「老後資金」など日々の生活にまつわる正しいお金の知識を専門家が提唱する「新常識」を基に学んでいくトーク番組。金融庁所管の認可法人J-FLEC初代理事長の安藤氏に日本における金融経済教育の課題を問う <ゲスト> 安藤聡(J-FLEC 金融経...
金融リテラシーを高めれば、人生はもっと豊かに!専門家が語る「お金の知識」の重要性
日本人の金融リテラシーは国際的に見ても低いと言われています。そんな状況を変えるべく立ち上がった新組織「金融経済教育推進機構(Jフレック)」。今回は、その理事長である安藤聡氏に、なぜ今、金融教育が必要なのか、それによって私たちの生活はどう変わるのかを聞きました。「お金の知識をあなたの力に」をキャッチフレーズに掲げる安藤氏の言葉から、金融リテラシーの重要性が見えてきます。

Q. 正しい金融経済教育で何が変わりますか?
金融経済教育を受けることで、端的に言えば生活が豊かになります。結婚するかしないか、家を買うか賃貸で暮らすか、旅行は国内にとどめるか海外に行くかなど、常に判断して生活設計をしていくことが大切です。余裕資金ができたら資産形成に取り組む。預貯金もあれば投資もあります。投資にはさまざまなリスクリターンの商品が揃っています。このように考えていくと、金融経済教育は一人ひとりの人生を豊かに暮らすための手段だと言えます。
人生の三大資金は「教育資金」「住宅資金」「老後の資金」です。若いうちからこれらを考えるのは難しいかもしれませんが、10年後を意識すると生活パターンが変わってくるでしょう。

Q. 近年、金融教育の必要性は高まっていますか?
最近の10年間で、教育費、住宅費、老後資金のすべてが重たくなっています。特に東京都心部では、良い中学校に入るための塾の費用が上がり、大学の学費も上昇傾向にあります。住宅価格も上昇しているニュースが多く見られます。
また「人生100年時代」と言われるようになり、仮に60歳で定年を迎えたとしても、その後30年、40年生きることもあります。素晴らしいことですが、その分、生涯で使うお金も増えるため、金融リテラシーを高める必要性は10年前、20年前と比べて格段に上がっています。

Q. 金融経済教育を受けることで社会はどう変わりますか?
金融経済教育を受けることで金融リテラシー(知識と判断力)が高まれば、個人の金融活動が変わります。それにより、その人にとっての「ファイナンシャル・ウェルビーイング」(最近流行りの言葉です)の達成が近づきます。一人ひとりがそうなれば、社会全体も豊かになります。
また、経済に対する意識が広がると、単に自分の資産形成が良くなるだけでなく、経済ニュースが頭に入りやすくなります。さまざまな関心が広がり、以前はぼんやり見ていたニュースも「この政治は大事だ」「このテクノロジーの変化は重要だ」といった理解につながります。それ自体が楽しく、日々の仕事にも生きてくるでしょう。
金融リテラシーの高い人が日本国民の中で増えていけば、日本経済全体の力も強まっていくと期待しています。

Q. 金融経済教育推進機構(Jフレック)とはどのような組織ですか?
Jフレックは金融経済教育を推進する中核組織として活動しています。現在、金融経済教育を受けたことがある人は日本ではわずか7%ですが、これをアメリカ並みの20%まで高めることを目標にしています。期限は2028年度末です。
Jフレック本体には75名のスタッフがいて、戦略立案やコーディネートを担当しています。また「Jフレック認定アドバイザー」という方々が実際の教育現場で活動しており、2023年10月時点で全国に637名、最近の集計では900名ほどになっています。
これらのアドバイザーは、資格や相談業務・講義の経験年数などを考慮して認定されており、研修も受講しています。学校や企業、地域コミュニティからの依頼に応じて、適した分野を得意とするアドバイザーを派遣するオーダーメイド方式で運営しています。
Q. Jフレックのサービスはどのように利用できますか?
学校や企業、地域コミュニティからの依頼に応じて講師を派遣しています。利用条件は非常にハードルが低く、10人以上の参加者がいて、1回の講義が45分以上であることだけです。45分未満では十分な内容を説明できないためです。
利用は全て無料で、講師派遣の費用はJフレックが負担します。講師はボランティアではなく、適切な報酬が支払われます。依頼は利用希望日の45日以上前に連絡することが条件です。
地方在住の方でも、近隣県からの講師派遣や、オンラインでの対応も可能です。PTAや公民館での集まりなど、地域コミュニティでの利用も歓迎しています。例えば「公民館で囲碁の集まりがあり、NISAについて説明してほしい」といった依頼にも対応します。
Q. 企業が金融教育を取り入れる理由は何ですか?
最近の企業経営者は「人的資本経営」を重視しています。特に終身雇用が崩れ、転職が当たり前になりつつある中で、従業員へのアプローチが大きなテーマになっています。
学生が就職先を選ぶ基準も変化しています。数十年前は業界を選び、その中で人気ランキングの高い企業を志望するのが一般的でした。しかし現在は、就職後のキャリアアップのために企業がどのような研修を提供してくれるかが重視されています。
その中でも「資産形成」は最近の学生にとって大きなテーマです。企業がこうした期待に応えられなければ「従業員を大切にしない会社」というレッテルを貼られ、人材が転職してしまいます。特に中堅・中小企業は人手不足で苦労しているため、こうした問題に真剣に取り組む経営者が増えています。
Q. Jフレックの運営資金はどこから来ていますか?
Jフレックの初年度予算は18億8000万円です。一般的に想像されるかもしれませんが、政府からの資金は実はかなり少なく、多くは業界団体からのサポートです。
業界団体からの資金が多いと「業界に有利な情報発信しかできないのでは」という懸念もありますが、Jフレックでは営業活動と社会貢献活動をきちんと区別しています。共同イベントを開催する際はプログラムを全てチェックし、商品紹介や金融機関の斡旋といった要素が感じられれば修正を求めます。
もし想定と異なる活動が行われた場合は、その業界団体や金融機関とは一切連携しないという厳しい姿勢で臨んでいます。金融業界のセミナーに対して「業界が儲けるためではないか」という印象を持つ人が多いことは理解していますが、実際に参加すればそうした要素がないことを実感できるでしょう。
Q. AI時代にお金の勉強は必要ですか?
AIは生産性向上や市場ニーズの把握、精度の高いデータ分析などに活用できます。しかし、自分のこととして考えなければならない金融経済教育、金融リテラシーはAIが発達しても当面は必要だと考えています。
数十年後には「あなたにはこの商品が合っています」とAIが回答してくれる時代が来るかもしれませんが、それが本当に自分に合ったものかチェックするのは自己責任です。AIが推奨したからといって、それが最適だとは限りません。
AIは便利なツールです。例えばチャットGPTは資産形成の相談に乗ってくれて、良い回答を提供してくれる確率も今後上がっていくでしょう。ただし、AIは模倣的な回答や質問に沿った回答は得意ですが、時代が大きく変化している時や全く新しいチャレンジをする際の想定外の答えは出してくれません。
重要なのは多様なチャネルを持つことです。Jフレックのような授業、SNS、マスメディア、書籍など、様々な情報源から知識を得て、多角的な視点を持つことが大切です。