PIVOT TALK FOOTBALL
ヴィッセル神戸に学ぶ、常勝チームのつくり方
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2025年1月11日

Jリーグ連覇を飾ったヴィッセル神戸。その背景にはどんな戦略とチーム・組織づくりがあったのか?Jリーグをさらに盛り上げるために、何がカギを握るのか?どうすれば面白いチームや監督が増えるのか?ヴィッセル神戸の永井秀樹スポーツダイレクターとレオザが語る。 <ゲスト> 永井秀樹|ヴィッセル神戸スポーツダイ...
日本サッカーの未来を語る:トップの戦略と哲学
「オーナーがいて、オーナーがチーム作りを任せる責任者がいて、その人が現場を任せる責任者がいる。上がダメだとそのまま下が悪くなってくる」—Leothefootball
「常に理想のサッカーを追求しながら結果を出していくことが最終的な目標」—永井秀樹

Q. 元プロ選手の経験がない人間がサッカーを語ることについてどう思いますか?
プロの経験者が集まる会話の中でも「素人に言われたくない」というフレーズをよく聞きます。確かにプロ経験や代表経験があることは素晴らしいことですが、それが逆に足かせになることもあります。経験があればあるほど考えられる範囲が狭くなる場合があります。
例えば、もし明日ブラジル代表と一発勝負をするとなった時、経験者はブラジル人選手の素晴らしさを知っているため、考えられる戦術が限られてしまいます。一方、ブラジル代表の強さを知らない人は、全く違った考え方ができるかもしれません。
むしろLeothefootballのような存在は日本サッカーに必要だと思います。面白い観点でサッカーを見て考えられていることが伝わってきます。

Q. 神戸の優勝の要因は何だったと思いますか?
まず圧倒的な選手の素晴らしさが挙げられます。また三谷オーナーを中心に長い年月をかけて種をまき、水をやり、肥料を与えて、やっとその花が咲いたという印象です。クラブ力の勝利だと感じています。
神戸は自然体で戦術を実行しています。戦術というと、ボードを使って複雑な指示を出すイメージがありますが、神戸のサッカーは人の基本的な強さを活かし、美味しいものをそのまま美味しく出せる、塩だけで最高に美味しい料理のようなサッカーに見えます。
詳細を見ると、裏のスペースがあれば絶対に裏を狙い、クロスが出せる時は必ずクロスを出し、ロングスローが使える時は使うという、ゴールまでの手数が最も少ない形を選手たちがボールを奪った瞬間に目指しています。そして大迫選手のような選手が瞬間的に降りてきてワンタッチでフリックするなど、単純なだけでなく、時々角度を変えた直進も出せる点が素晴らしいです。
Q. 神戸の選手補強について、どのような考え方で進めていますか?
最初に獲得したのはセンターバックのトゥーレル選手でした。当時は失点が多く順位も下の方だったため、守備の強化が必要だと考えました。そこから始まり、元々素晴らしい選手が揃っている中で、足りない部分を埋めていくことを意識しています。シーズンによってはパワーアップできる選手、例えば宮城選手のような獲得も考えながら進めています。
私の立場はチームを強化するだけでなく、経営的な観点から黒字化するという宿題も抱えています。そのバランスを見ながら仕事をしています。2年連続優勝すると、選手たちへの報酬を上げざるを得ないので非常に大変です。
選手として経験があるので選手の気持ちも理解できますし、経済的な観点からすると赤字を減らす必要もあります。このバランスを取りながら、チームが勝ち続け、上昇軌道を描くことが最も重要だと考えています。
Q. 神戸とバルセロナのサッカーの関連性についてどう考えていますか?
当時、世界を圧巻したバルセロナの中心選手だったアンドレス・イニエスタが加入したことで「バルサカー」という言葉が広まりました。しかし、バルセロナのサッカーをそのままコピーして実践するのは簡単ではありません。文化や環境が全く異なるからです。
「バルサカー」というイメージが少し誤解を生んでいたかもしれません。本当に成功しているのはアカデミー(育成組織)の整備・強化・充実です。その意味では、神戸が取り組んだ「バルサカー」は半分以上成功していると思います。今後もアカデミーから特別な選手を輩出していきたいと考えています。
トップチームのサッカースタイルはその時の戦力によって変わってきます。理想のサッカーを追求しながら結果を出していくことが最終的な目標です。

Q. オーナーと現場の関係性について、どのように考えていますか?
ヨーロッパ、特にマドリードのアンチェロッティ監督がチャンピオンズリーグ優勝後に語ったことが印象的です。「私ではなく、チームを作ったのはオーナーだ。私は雇われていていつでも変わる立場。唯一変わらないのはオーナーであり、このチームはオーナーのものである」という趣旨の発言をしていました。
また、ある外国人監督と話した時に、彼らのライセンス講習の最初の講義はチームオーナーやスポンサーとの距離感や向き合い方についてだと聞きました。それが最初の講義なのです。サッカークラブがどのように成り立ち、経営され、各役割が何かを最初に学ぶのです。
残念ながら日本のSQライセンスの講義にはそういった内容は含まれていません。サッカークラブの構造を理解せず、ライセンスを取得した人間からすると「口出しされて困っている」という認識になりがちです。組織の構造をまず理解し、それぞれの立場をリスペクトした上で、与えられた権限の中で仕事をすることが重要です。

Q. 日本サッカーをさらに発展させるために必要なことは何ですか?
クライアントがいて、その需要に応えることが仕事の基本です。サッカーにおいては、監督にとってのクライアントはオーナーであり、選手にとっては監督です。このあたりの理解が進むと、各自が求められている役割が明確になります。
また、世界クラブワールドカップで頂点まで行けるかどうかが重要です。
SQライセンス(プロライセンス)については、学ぶ時間は必要ですが、「これがなければできない」という制度には違和感があります。学びの機会は大切ですが、ライセンスの有無だけで監督の能力を判断するのは適切ではないと考えます。
面白い監督を育てるには、周囲がその人物を慕い、支持することが必要です。メディアなどを通じて発信していくことも大切でしょう。
Q. チーム内の不満を抱える選手へのケアはどうしていますか?
不満分子には「自分なんて」というタイプと「なぜ自分を起用しないのか」というタイプがあります。「なぜ自分を起用しないのか」というタイプは、まだ競争にポジティブな気持ちで向かっているので良いと思います。
新しい選手を獲得しようとする時によく聞かれるのは「お話は嬉しいですが、私が言っても出場できません。誰々選手がいるので無理ではないですか」という現実的な話です。逆に斎藤光輝選手や宮城大成選手のように「競争に勝ちます」というマインドを持った選手もいます。
チーム内で試合に出る出ないという状況はありますが、「自分が出たらもっとやれます」というマインドで臨めるかどうかが大切です。不満を抱える選手には対話を心がけていますが、誰かの批判につながらないように注意しています。
監督は全体のマネジメントに忙しく、個々の選手のケアに時間を割けないこともあります。理想的には、それをサポートするコーチングスタッフがケアを担当するのが良いでしょう。
Q. アストンヴィラとの提携で得られた効果は何ですか?
アストンヴィラで最も衝撃を受けたのはフィジカルトレーニングに費やす時間です。Jリーグではフィジカル面に割く時間はほとんどありませんが、プレミアリーグの高いレベルでは練習前に40分程度のジムトレーニングを行い、週に3〜4回は追加でトレーニングを実施しています。
また、セットプレイコーチも素晴らしい効果をもたらしました。日本のコーチも勉強していますが、彼らと比べるとまだまだ差があると感じます。