EXTREME SCIENCE
大地震は科学で予測できるのか?
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2024年12月6日

今回のゲストは地震学が専門の遠田晋次・東北大学教授。 そもそも地震とは何なのか。そして能登半島地震はなぜ起きたのか。地震のメカニズムを徹底解説。 <ゲスト> 遠田晋次|地震学者 東北大学災害科学国際研究所 教授。博士(理学)。内陸大地震の長期予測やハザード評価に関する研究を行う。 著書に「連鎖する...
日本の大地は常に動いている—地震学者が語る「複雑系としての地震」
日本列島には約2000の活断層が存在し、毎月2万回以上の地震が観測されている。そんな中、私たちが地震について理解すべきことは何か?東北大学の遠田晋次が語る地震の科学と、その「複雑系」としての性質から、防災への理解まで。

Q. 地震の研究はどのように進められているのか?
日本は世界の地震の約10分の1が集中する「地震国」であり、研究も世界をリードしている。特に1995年の阪神・淡路大震災後、観測体制は世界一のレベルになった。大森房吉の「大森公式」(余震の数が時間とともに減衰していく法則)など、日本の地震学者の発見は世界的に使われている。
地震学は複雑系の科学であり、地下の状況が見えないため単純な物理学や化学のように予測することが難しい。観測やデータが詳細になればなるほど、現象の複雑さが明らかになる。
最近の地震研究では、GPSなどの位置情報技術や衛星観測を活用して、地表の動きを約20km間隔で継続的に監視している。また、AIによる地震波の自動解析なども進んでいる。

Q. 能登半島地震は予測できたのか?
能登半島地震の本震の3年前から、その周辺では群発地震と呼ばれる小さな地震が頻発していた。この期間に約8000回の地震が観測され、通常時の年間20回程度と比べて異常な状態だった。
科学者たちは、近くにある大きな断層への「飛び火」や影響を懸念していた。しかし、現在の科学では「いつ起こるか」までの予測はできない。小さな地震が増えれば中規模や大きな地震の確率も上がるが、正確な時期の予測は不可能だった。
Q. なぜ地震予知は難しいのか?
地震活動は単純なシステムでも予測が難しい。実験では、岩石ブロックを紙やすりの上に置き、一定の速度で引っ張ると、不規則な間隔でずれが生じる。この単純なモデルでさえ、動く間隔や動く量にはばらつきがある。
実際の地球では、日本列島に約2000の活断層があり、それぞれが数千年から数万年に一度動く。単一の断層でも動きが予測困難なのに、複数の断層が相互に影響し合う複雑な系では、さらに予測は困難になる。
「科学としては地震予知は現時点ではほぼ不可能に近い」というのが専門家の見解だ。しかし、どこに活断層があるかという情報は提供できる。

Q. 首都直下型地震とはどのようなものか?
関東平野は太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの3つが重なる特殊な場所で、「地震の素」が集中している。首都直下型地震は一つの特定の地震ではなく、様々なタイプや深さの地震を総称したものだ。
政府が「今後30年で70%の確率」と発表している首都直下型地震は、過去の地震発生頻度から統計的に算出されたもので、特定の断層の歪みから予測されたものではない。関東平野の地下構造は非常に複雑で、地震発生のメカニズムも完全には解明されていない。
Q. 地震の揺れはどのように変わるのか?
地震波は震源から離れるほど弱くなるが、地表付近の柔らかい地層によって揺れが増幅されることがある。人間は平野などの平らで水のある場所に住む傾向があるが、そういった場所は柔らかい堆積物が溜まっており、地震波を増幅させる。
また、建物の高さによって揺れ方も変わる。例えば、2011年の東日本大震災では、大阪の高層ビルが震源から800km離れていたにもかかわらず、建物の固有振動数と地震波が共鳴して約10分間揺れ続け、上層階では約3mの揺れが観測された。
日本の一般的な木造家屋は1秒周期の揺れと共鳴しやすく、このような揺れが強い地震で家屋倒壊が多くなる。

Q. 地震と火山活動には関係があるのか?
地震と火山活動は密接に関連している。例えば、1707年の富士山噴火の49日前には南海トラフで巨大地震が発生していた。地震が火山噴火を誘発することもあれば、火山活動が地震を引き起こすこともある。
2000年の三宅島の火山活動では、マグマの動きによって周辺の断層が刺激され、大きな地震が発生した。また、九州の阿蘇山や姶良カルデラでは過去27万年間に4回の大規模噴火があり、最近では9万年前に九州を壊滅させるような噴火があった。
Q. 地震は社会にどのような影響を与えるのか?
地震と社会の発展には関連性がある。1923年の関東大震災後、日本は軍国主義に向かったという見方もある。一方で、関東大震災によって関東平野沿いの歪みが解放され、その後の安定期が高度経済成長と重なったという見方もできる。
また、第二次世界大戦末期の1944年東南海地震、1946年南海地震の混乱期を経て、その後の安定期に日本が高度経済成長を遂げたことも、地震と社会の関係を示している。
地震学の今後の課題は、地下の実際の状況をより詳細に知ることと、地震の連鎖や相互作用のネットワークを理解することだ。これにより、地震の起こり方の理解を深めることができる。