MANAGEMENT SKILL SET
部下が上司を評価?リクルートのマネジメント育成術【蝦名秀俊】
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2024年10月23日

「人材育成」「チームビルディング」などマネジメントの在り方に変化が生まれつつある今、新時代のマネジメントに必要なスキルセットをプロフェッショナルから学ぶ。今回はリクルート人事統括室VPの蝦名秀俊氏がマネジメント育成における秘伝のタレを明かす <ゲスト> 蝦名秀俊(リクルート CoE 人事統括室V...
【リクルート式マネジメント完全解説】 マネージャーは「係」である?注目の強みフォーカス型育成法とは
「マネジメントの難易度が上がった」と感じる人事担当者が増えている現代。リクルートが培ってきた独自のマネジメント手法が注目を集めています。今回はリクルートの人事責任者である蝦名秀俊氏と坡山里帆氏に、マネージャーの定義や育成方法、令和時代に必要なマネジメントスキルについて聞きました。リクルートならではの「強みフォーカス」の考え方や、マネージャーが陥りがちな失敗例など、どこにも載っていない秘伝のノウハウを紹介します。

Q. 最近のマネジメントの難易度はどう変化していますか?
リクルートの調査によると、3年前と比較してマネジメントの難易度が「高くなった」と回答した人事担当者は約35%にのぼります。わずか3年でこれほど変化した背景には、コロナ禍による働き方の柔軟化があります。テレワークの普及などで働き方がフレキシブルになり、マネージャーの役割や求められるスキルも変化しています。
人事部門が抱える課題のトップ3は「育成」「モチベーション」「マネジメントスキル」。これらはどの企業でも共通の悩みになっています。
Q. リクルートにおけるマネージャーの定義とは?
マネージャーの定義自体は昔から変わっていません。「チームを率いて、一人一人の個人の良さを活かし、組織のパフォーマンスや価値を最大化させる役割」です。
しかし重要なのは、リクルートではマネージャーを「係」と捉えている点です。これは現社長の北村氏が「社長も係だ」とよく言っているもので、組織内に浸透している考え方です。役職や肩書きではなく、チームの中での「役割」として捉えることで、プレッシャーを減らし、メンバーの力を最大限に引き出すことに集中できます。
Q. リクルートのマネージャー育成方法を具体的に教えてください
リクルートでは一般的な研修だけでなく、「アップワードサーベイ」という独自の評価システムを導入しています。これは部下が上司を半年に一度評価するもので、「仕事の支援」「理解」「内省」「コンディショニングの支援」などの項目でフィードバックします。
このサーベイの特徴は、コメントはそのままマネージャーに伝わりますが、誰が言ったかは分からない仕組みになっている点です。これにより率直なフィードバックが可能になります。
マネージャーはこのフィードバックをもとに、自分の強みや弱みを把握し、改善計画を立てます。リクルートでは、マネージャー向けの追加研修も全て「手上げ制」です。自ら学びたいと思う人だけが参加できる仕組みで、自発的な成長を促しています。
Q. フィードバックでショックを受けることはないのですか?
実際に、サーベイの結果にショックを受けることは少なくありません。蝦名氏自身も先週のサーベイで、自分が高いと思っていた「単力(意思決定力)」のスコアが平均以下だったといいます。
しかし、リクルートでは「フィードバックは贈り物」という考え方が浸透しています。ネガティブなフィードバックも期待の裏返しであり、成長のためのギフトだと捉えます。
重要なのは「人」と「こと」を分けて考えること。人格を否定しているわけではなく、行動や結果に対してフィードバックしていると理解することで、感情的にならずに受け止められます。
Q. 「人」と「こと」を分けるコツはありますか?
「人」と「こと」を分けるためには、まず感情的に話さないことが大切です。また、部下の変化を常に観察し、背景を理解することも重要です。
リクルートでは週次の1on1ミーティングを重視しています。日報だけでは業務内容(こと)が中心になりがちですが、直接会話することで表情や声のトーンなど非言語的な情報(人)も捉えられます。
また、全員に同じアプローチをするのではなく、個人の特性に合わせたコミュニケーション方法を選ぶことも大切です。特に1対1の対話では、第三者がいないことで本音が引き出しやすくなります。
Q. 令和時代のマネジメントの心得を教えてください
現代は非常に流動的で不確実性が高い時代です。そんな中で最も大切なのは「強みにフォーカスする」ことです。欠点を直そうとするのではなく、一人ひとりの強みを見つけ、活かすことに注力します。
また、メンバー同士が互いを理解し合うことも重要です。マネージャーが全てを指示しなくても、メンバー同士が互いの特性を理解していれば、自然と補い合えるようになります。
リクルートでは近年、人材構成も大きく変化しています。かつては新卒入社者が中心でしたが、現在はキャリア採用が8割、2021年以降の入社者が50%を占めるなど多様化しています。様々なバックグラウンドを持つ人材の強みを活かすマネジメントが求められています。
Q. マネージャーが陥りがちな失敗例を教えてください
リクルートでは、マネージャーが陥りやすい5つの失敗例を挙げています:
1. 算数が苦手な人に算数をやれと言う:苦手なことを無理にやらせるのではなく、仕事のゴールと本人の強みや好奇心をベースに目標設定するべきです。また、苦手なことは得意な人とチームを組むという方法もあります。
2. 強みを活かそうとするが突き抜けない:強みを活かす際も、どのレベルで成果を出すべきかを明確にする必要があります。また、本人が自分の強みを認識していないこともあるため、具体的な活かし方を示すことが大切です。
3. 育成テーマに尻込みする:外発的な動機(「マネージャーになってほしい」など)ではなく、本人の内発的な動機(好奇心や興味)に基づいた育成を心がけます。
4. 外的動機に縛られ内的動機を見失う:「みんなマネージャーになっているから自分も」という考えではなく、本人が本当に大切にしたいことは何かを考え直すことが重要です。
5. 上長がメンバーの言葉を真に受ける:「飽きたので移動したい」などの発言の背景にある本当の理由を探ることが大切です。表面的な言葉だけでなく、「なぜそう思うのか」を深掘りして、本人の価値観や目指したいことを理解することが必要です。
Q. リクルートの面接はどのような特徴がありますか?
リクルートの面接では、面接官自身が自己開示するという特徴があります。「同じ状況だったら私はこう思うけど、なぜそう思ったの?」というように、自分の価値観も示しながら相手の考えを引き出します。
この手法は「リストゥーラン(Listen to Learn)」という考え方に基づいています。純粋に相手のことを知りたいという姿勢で、深い部分まで理解しようとします。
表面上はノーアジェンダ(議題なし)に見えますが、実は相手の価値観や考え方を知るという明確な目的があります。これは60年かけて積み上げてきたリクルートの「秘伝のタレ」と言えるでしょう。
Q. マネージャーとして学んだ重要な経験はありますか?
蝦名氏は自身の経験から2つの重要な学びを挙げています。
1つ目は、自分がメンバーだった時に2年間ほど成果が出せない時期があり、上司が最後まで自分への期待を下げずに見守ってくれたこと。この経験が後に自分がマネージャーになった時の教訓になりました。
2つ目は、自分自身が困難に直面した時に、メンバーに助けを求めた経験です。これにより「強みを組み合わせてどうパフォーマンスを出すか」という本当の意味でのチーム力に気づくことができました。
マネージャーは完璧である必要はなく、時には失敗し、メンバーに助けを求めることで、より強いチームを作ることができるのです。
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リクルートのマネジメント手法の核心は、「強みにフォーカスする」「人とことを分ける」「フィードバックは贈り物」「リストゥーラン(聴いて学ぶ)」という考え方にあります。これらは単なるテクニックではなく、人生を豊かにするための手段であり、マネージャーだけでなく誰もが活用できる普遍的な価値があります。