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沖縄ファミマがセブンに勝つ理由
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2024年10月22日

独自進化を遂げ、沖縄で300店舗以上を展開する沖縄ファミマ。強さの秘密、沖縄市場の可能性、安全保障との関係を沖縄ファミリーマート社長の糸数剛一氏に聞いた。 <ゲスト> 糸数剛一|沖縄ファミリーマート 社長 早稲田大学政治経済学部卒業後、沖縄銀行入行。その後、自身で事業を興し、1988年に沖縄ファミ...
「沖縄でセブンを凌ぐ理由 ― 地域に根ざすファミリーマートの戦略とは」

Q.コンビニ激戦区となった沖縄で、ファミリーマートがセブンイレブンに勝てる理由は何ですか?
沖縄県は近年、全国有数のコンビニ激戦区となっている。以前は全国47都道府県中、人口当たりのコンビニ店舗数が下位だった沖縄県だが、セブンイレブンが進出した5年前から状況が一変。現在は人口当たりの店舗数で全国3位まで上昇し、今後3〜5年以内には全国1位になると予想されている。
この激戦区で、沖縄ファミリーマートはなぜ強さを維持できているのだろうか?
Q.沖縄ファミリーマートが強い理由の1つ目は何ですか?
先行者利益が大きい。沖縄ファミリーマートは県内で長年営業を続け、すでに県民に親近感と馴染みを構築している。セブンイレブンは全国チェーンとして沖縄県だけが未出店エリアだったため、20年以上前から調査は行っていたが、出店は比較的最近になってから。沖縄ファミリーマートはその間に地域での基盤を固めることができた。
Q.沖縄ファミリーマートが強い理由の2つ目は何ですか?
最適な立地戦略を徹底している。沖縄ファミリーマートは各エリアで最も条件の良い立地を徹底して確保してきた。物件ごとに平均5年程度かけて最適な場所を選定し、「次点で良い」という妥協をほとんどしなかった。これにより、人通りや車の交通量が多い好立地に多くの店舗を構えることができた。セブンイレブンが後から進出した際には、すでに良い立地の多くがファミリーマートによって押さえられていた。
Q.沖縄ファミリーマートが強い理由の3つ目は何ですか?
地域密着型の商品開発を行っている。沖縄ファミリーマートは地元の嗜好に合わせた商品を多数開発し、県民から支持を得ている。例えば、骨付きフライドチキンは沖縄から始まった商品だ。沖縄はアメリカ統治時代の影響でフライドチキンを「おかず」として食べる文化があり、これを活かした商品開発を行った。また、沖縄天ぷらやぜんざい(沖縄の場合は氷ぜんざい)など、地元で人気の高い食品をファミリーマート版にアレンジして提供している。
Q.沖縄ファミリーマートはどのように地域密着を実現していますか?
単に商品だけでなく、人事面でも地域密着を実現している。地元の人材に決定権を持たせることで、より地域に合った展開ができる。例えば、タコライスやゴーヤチャンプルなど沖縄の定番料理を商品化する際、東京本部のバイヤーが考える味と地元の人が好む味は異なることが多い。地元の人間が商品開発に携わることで、沖縄の人々の嗜好に合った商品を提供できている。
また、社員のほとんどが地元の人材であることで、「自分の友人や親戚が働いている会社」という親近感が地域に広がり、これも見えないところでの地域密着につながっている。
Q.沖縄ファミリーマートの1日の売上は全国と比較してどうですか?
沖縄ファミリーマートの1日の売上(日販)は非常に高く、全国的に見ても上位に入る。東京の一部エリアを除けば、都道府県別では恐らく1位になるほど高い売上を誇っている。これは地域密着型の商品開発と最適な立地戦略の成果だろう。
Q.沖縄ファミリーマートは離島展開にも力を入れていますが、経営的に厳しくないのですか?
宮古島や石垣島、久米島などの離島にも店舗を展開しているが、特に宮古島と石垣島については当初は大赤字だった。離島では物流コストが本島よりもさらにかかり、工場も作らなければならないため、かなりの売上がなければ黒字化は難しい。
しかし、地元住民からの強い要望があり、また調査の結果、特に石垣島ではファミリーマートの商品が地元の嗜好に合うと判断し出店を決めた。結果的に予想通りの支持を得て、現在は黒字展開ができている。
Q.沖縄のコンビニ競争は今後どうなると予想されますか?
すでに沖縄本島では良い立地には複数のコンビニが隣接または向かい合わせで出店する状況になっており、台湾のようにコンビニが密集するエリアが増えている。セブンイレブンが5年前に進出して以降、出店ペースは加速しており、今後もこの傾向は続くだろう。
各社ともにまだ出店余地はあるが、限られた好立地をめぐる競争はさらに激しくなる。そのため、立地だけでなく、常に新しい商品やサービスを提供し、顧客に「驚き」と「鮮度」を提供し続けることが重要になる。
Q.沖縄ファミリーマートは目的地として選ばれる店づくりを目指しているそうですが、具体的にはどういうことですか?
単なる利便性だけでなく、「沖縄に行ったらファミリーマートであの商品を買いたい」と思われるような特別な体験を提供することを目指している。地元の商品だけでなく、世界中から集めた魅力的な商品や、沖縄ならではのサービスを開発することで、顧客にとっての「目的地」となることを目標としている。
沖縄は元々外国の文化や商品に対する抵抗感が少なく、アメリカ統治時代の影響で「外国のもの」に親しみがある文化がある。この特性を活かし、沖縄ならではの商品ラインナップを構築している。
Q.沖縄経済の特徴は何ですか?
沖縄経済はサービス業と観光業が中心となっている。観光業は特に近年大きく伸びており、経済の重要な柱となっている。
ただし、少子高齢化の流れは沖縄でも始まっており、以前ほど若年層が多い状況ではなくなってきている。そのため、今後はアジアなど外部市場に目を向けていく必要がある。特に、沖縄はアジアに近いという地理的優位性があり、日本本土の製造業と連携して沖縄で製造し、アジア市場に輸出するという可能性がある。沖縄から2時間圏内に20億人以上の市場があり、この地理的優位性を活かした経済発展が期待されている。
Q.沖縄の百貨店はどのような戦略で差別化していますか?
リウボウ百貨店を例にすると、「オンリーリウボウ」を合言葉に、他では手に入らない商品を提供することで差別化を図っている。従来の地方百貨店は東京の大型百貨店の縮小版のような品揃えが多く、現代ではネットでも同じものが購入できるため、わざわざ店舗に足を運ぶ理由が薄れている。
そこで、地域のものだけでなく、世界中のニッチで魅力的な商品を集める「ニッチグローバル」戦略を採用。例えば、イタリアの中小企業の高品質な商品など、大量生産はできないが品質の高いものを厳選して取り扱っている。
同時に、地域の商品も単にそのまま販売するのではなく、デザインや味を洗練させてバージョンアップすることで、地元の人にも観光客にも魅力的な商品に仕上げている。
Q.沖縄からアジアへのビジネス展開にはどのような可能性がありますか?
沖縄はテストマーケティングの場としての可能性がある。アジアの企業、特に中小企業は日本市場に強い関心を持っているが、直接日本本土に進出するのはハードルが高い。そこで沖縄をテストマーケティングの場として活用し、実績を作ることで本土進出の足がかりにすることができる。
例えば、台湾の企業がリウボウ百貨店で商品を展開し、好評を得たことで、その実績をもとに東京の大手百貨店でも同じ商品を販売できたケースがある。沖縄には年間700万人の日本人観光客が訪れるため、彼らの反応を見ることで日本市場での可能性を探ることができる。
また逆に、日本からアジアに進出する際にも、沖縄で試験的に販売し、アジアからの観光客の反応を見ることができる。このように、沖縄は双方向のテストマーケティングの場としての役割を果たすことができる。
Q.海外に住む沖縄系の人々とのネットワークはビジネスにどう活かせますか?
ペルーなど南米やハワイ、アメリカ本土などには多くの沖縄にルーツを持つ人々(ウチナーンチュ)が住んでおり、彼らは沖縄に対して強い思いを持っている。このネットワークはまだ経済的に十分活用されていないが、大きな可能性を秘めている。
海外在住のウチナーンチュの多くは、沖縄との経済的なつながりを強化したいという希望を持っており、これを活かした経済活動を展開することで、沖縄経済の活性化につながる可能性がある。特に若い世代のウチナーンチュはビジネス面での連携を望んでおり、このネットワークを活用することが今後の課題となっている。
Q.沖縄の経営者は安全保障をどのように意識していますか?
特に石垣島など台湾に近い地域では、台湾有事などを意識した経営判断が必要になっている。例えば、沖縄ファミリーマートは石垣島に20店舗以上を展開しているが、有事の際にどのように対応するかを検討している。
特に課題となるのは、有事の際の食料や医薬品の確保だ。石垣島は本島からの輸送に依存しているが、有事の際には民間船は出航できず、ほとんどの物資が届かなくなる。そのため、大型の備蓄倉庫の整備が必要だと考えている。
これは台湾有事だけでなく、頻繁に発生する台風対策としても有効だ。しかし、現状では行政主導の対策が不十分で、経済界も巻き込んだ形での備蓄計画などが必要だと感じている。