TIME IS
年代別「お金の知識」/情報弱者は一生カモ【正直FP 菱田雅生】
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2024年10月10日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、正直FPの菱田雅生さんに、20代〜70代以上までの年代別「知っておくべきお金の知識」を聞く。 <ゲスト> 菱田雅生 正直FP <参考書籍> 菱田雅生『一生迷わないお金の選択』 https...
金融商品を売らない「正直FP」に聞く、知らないと損をするお金の知識
お金の知識を身につけないと、損していることにさえ気づかず、情報弱者として騙されてしまう可能性がある。金融・保険商品を一切売らない「正直FP」の菱田雅生氏に、各年代で知っておくべきお金の知識について聞いた。

Q. 「正直FP」を名乗る理由は?
証券マン時代の自分を反省し、お客様に対して正直に向き合いたいという思いから名乗っている。FPと名乗りながらも、その肩書きを金融商品や保険商品を売るためのツールとして使っている人が残念ながら多い。
相談を受けた女性が知り合いのFPに勧められた保険を見せてもらったところ、その方の家族構成や資産状況からしていらないと思われる保険だった。おそらく手数料稼ぎのために入らされてしまったのではないかと感じた。
金融商品や保険商品を売っているFP全員がそうだというわけではないが、自分の営業成績しか考えていない人もいることを知っておいた方がいい。彼らもノルマに追われ、生活のためにやっているのだと思うが、そういう意味では、売る側も買わされる側も両方が被害者なのかもしれない。
Q. 全ての世代が知っておくべきお金の知識は?
全ての世代が知っておくべき知識は、公的な保険である社会保険と、資産運用や投資についての知識。社会保険と投資の知識があれば、必要以上の保険に入らなくて済むし、資産を守りながら増やしていくこともできる。
Q. 20代で知っておくべきお金の知識は?
特に投資が重要だ。ここでの投資は2種類ある。
1つ目は資産形成のための積立投資。NISAやiDeCoは早くから始めるべきだ。毎月1万円の積立投資でも40年続ければ2000万円を超える可能性が十分にある。
2つ目は稼ぐ力を高めるための自己投資。稼ぐ力を高められれば給与収入を増やせる可能性があり、資産形成にも大きなプラスになる。20代だからこそ自己投資に力を入れるといい。
NISA(2024年から新NISA)は非課税枠が大幅に拡充された。長期分散積立という資産形成の王道と言える投資法は誰もが実践すべきで、続けることで資産形成ができる。やめる理由は全くない。
例えば、約35年前の平成バブルのピーク時、日経平均は38,915円だった。バブル崩壊後に下がり、リーマンショック時には7,000円台まで下落。2024年2月22日に平成バブルのピークを超え、3月には4万円を超えた。この約35年間、毎月日経平均株価に積立投資していたら、平均購入単価は15,000円強になる。つまり、株価が下がって戻っただけで、2〜3倍にお金が増えている。これは長期積立の効果だ。
Q. 不動産投資はおすすめ?
ワンルームマンション投資やアパート経営などの実物不動産投資は、知識のない初心者にはあまりおすすめしない。注意すべき点が多いからだ。
物件選びが重要なのはもちろん、信頼できる業者選びが肝心。物件選びや業者選びに失敗すると大損する可能性もある。
初心者が不動産投資をしたいなら、まずは証券取引所に上場している不動産投資法人であるリート(REIT)を買ってみるか、複数のリートに分散投資しているリートファンドから始めるといい。1〜2万円という少額から不動産を間接的に所有できる。
リートやリートファンドならいつでも換金でき、立地条件のいい都心のオフィスビル、マンション、商業施設、物流センターなどを間接的に所有し、そこから得られる家賃収入を分配金として受け取れる。株式の配当利回りよりもリートやリートファンドの利回りの方が高い場合もあり、安定的に得られる可能性がある。
Q. 30代で知っておくべきお金の知識は?
30代になると、20代よりもライフスタイルや家族構成が多様になる。まずは住宅をどうするか、買うのか買わないのか、買うのであれば住宅ローンの知識が重要だ。上手に組んで上手に返していくことが大切。そうしないと、夢のマイホームが後々返済に追われて苦しくなり、悪夢のマイホームになる可能性もある。
また、子供がいるのであれば教育についてどういう教育方針でいくのか、教育資金はどのくらい必要で、どう準備するのか、どのくらいお金をかけるのかなども早くから話し合って計画を立てることが大切だ。
20代でNISAやiDeCoを始められなかった人も、30代からでも遅くない。とにかくすぐに始めることだ。ふるさと納税で特産品をもらって喜んでいる場合ではない。ふるさと納税はそれでいいが、それよりもiDeCoなどで月々1万円を積立投資すれば年間12万円が全額所得控除になる。最低税率でも年間1万8,000円のキャッシュバックを受けられるようなものなので、やらないのはもったいない。とにかく始めるべきだ。
20代・30代の若いうちはリスクが取りやすいので、極端な話、株式100%のポートフォリオでもいい。様々な資産に分散することも重要だが、若いからこそ株式を多めにして、とにかく早く始めて長く続けることが大切だ。
Q. マイホームは賃貸と持ち家、どちらがいい?
これは昔から永遠のテーマと言われる質問だ。個人的な意見としては条件付きで持ち家かと思う。その条件は3つある。
1. 今後も長期的に不動産価格が上昇する
2. 今後も長期的に物価が上昇する
3. 資産として子供たちに残したい
この3つの条件を満たすなら持ち家の方がいいだろう。
Q. 住宅ローンは変動金利と固定金利、どちらがおすすめ?
特に最近は日銀の利上げにより住宅ローン金利も上がる雰囲気が出てきているので、よく質問を受ける。個人的な意見としては条件付きで変動金利だと思う。
条件とは、リスクを取ってでも有利さにかけたい人、金利動向を常に見られる人は使ってもいいということ。特に今は低いところだと変動金利は0.3%を切るところもある。固定金利の代表格フラット35は最近上がってきて1.8%台になっている。
この金利差、0.3%と1.8%は相当大きい。利息負担は単純計算でも6倍くらいある。有利になる可能性を考えると変動金利の方が有利になるかもしれない。
ただし、今後も日銀による利上げは続きそうで、金利上昇によっては返済額がどんどん増えていく可能性もある。常に金利動向をチェックできない人、リスクを取りたくない人は安全第一の固定金利がいい。
Q. 子供の学費は学資保険で準備するのがいい?
30年近くFPとして活動しているが、30年近く全く勧めていない。理由は不利だからだ。
保険に貯蓄性を求めると、保険は保障機能がついているため、普通の金融商品に比べてどうしても不利になる。学資保険は利回りで他の金融商品と比べるとどうしても低くなる。
保障の必要性、例えば学資保険なら、父親が亡くなった時に以後の保険料は不要になるとか、育英年金が出るタイプなど、そういう保障がどうしても欲しいという理由で入るのは構わないが、将来の学資を貯めるために入るのなら他の金融商品の方がいい。
Q. がん保険は必要?
基本的にはいらないと思っている。理由は2つある。
1つ目は、これは生命保険、損害保険、全ての保険に共通することだが、確率論上は加入者が損をする。つまり、多くの人は払う保険料と受け取る保険金を比べると、大半の方が払う保険料の方が多くなる。大半の人が受け取る保険金の方が多かったら保険会社は潰れてしまう。基本的にはそういう仕組みで、確率論では不利である。
2つ目は、公的医療保険の保障があるため、自己負担が高額になる可能性が低い。がんだからといって何百万、何千万のお金が必ず必要になるわけではないので、公的医療保険(健康保険)の保障で自己負担が軽くなる面も考えると、貯蓄である程度対応できる可能性は高い。
ただし、どうしもがんになるのが不安だというのであれば、入ることを止めはしない。特にがんになった場合の精神的なショックを和らげるために一時金で100万円などを受け取りたい、あるいはがんになって治療する時に貯蓄を取り崩したくない(その貯蓄は老後のために取っておきたい)ということであれば、入っていてもいい。
ただし繰り返すが、確率論上は損をする可能性の方が高いということは頭に置いておくべき。たくさんの保険料を払えば払うほど得かというと、基本的にはそうではないことを理解しておいてほしい。
Q. 人生100年時代にお金の不安を抱えている人へメッセージ
世の中、知らないと損をすることがたくさんある。知らないで損している人は損していることすら知らない。一言でいえば、情報弱者は騙られてしまうということだ。
少しずつでもいいのでお金の知識を身につけていくといい。自分なりの判断基準ができれば、お金の不安は確実に減っていくはずだし、騙されることもなくなっていくだろう。
これから先どうなるのだろうと不安に思うのではなく、今どうするかということにフォーカスして行動していくことで未来は変わっていく。私から学ばなくてもいいので、とにかく正しい知識、正しい情報に出会って自分の価値観で判断して行動してほしい。