TIME IS
3万冊読んだプロが厳選/ビジネス書の名著【土井英司】
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2024年10月3日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、ビジネス書を3万冊読んだ出版コンサルタントの土井英司さんに、ジャンル別の名著を聞く。 <ゲスト> 土井英司 出版コンサルタント / 書評家 <参考書籍> 土井英司『人生で読んでおいた方が...
ビジネス書の達人に聞く!年間1000冊読む秘訣と「高い本」の価値
ビジネス書を年間1000冊、これまでに3万冊以上読破してきた出版コンサルタント・書評家の土井英司氏。世界1400万部のベストセラー「人生がときめく片付けの魔法」をプロデュースしたことでも知られる土井氏に、効果的な読書法からおすすめのビジネス書まで聞いた。本の選び方から読み方、時間術まで、ビジネスパーソンに役立つ知識が満載だ。

Q. 自己紹介をお願いします
エリエスブックコンサルティングという会社を経営しています。主な事業は出版のコンサルティングで、本を書きたい人に出版社を紹介したり、売れる販売戦略を提案したりしています。また、ビジネス書評家としてビジネスブックマラソンというメルマガも書いており、読者は約5万人います。
代表的な仕事としては、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」をプロデュースしました。この本は現在、世界で1400万部売れています。
プライベートでは長崎県大村市に住んでおり、長崎県の文化観光事業アドバイザーと長崎大学のアドバイザリーボードを務めています。
Q. これまでに本を何冊読みましたか?
大体3万冊以上読んできています。1日平均3冊ほど読み、年間では1000冊程度になります。若い頃は小説や漫画も読みましたが、現在はビジネス書が中心です。特に20代前半からはずっとビジネス書を読み続けています。
小説も面白いですが、自分の人生こそが最大のエンターテイメントだと考えています。その人生をより面白くするためにビジネス書や自己啓発書を読むと、人生そのものがワクワクしてきます。これが一番のエンターテイメントではないかと思っており、ビジネス書からそのヒントを得ようとしています。
Q. 土井さんにとって本とは何ですか?
本は早く成長するためのツールだと思っています。人間の賢さとは、他人の知恵や時間を借りてこられることだと考えます。他人の資本を使わずに成功した事業家はいないでしょう。お金を借りたり出資してもらったりするように、知恵や時間も借りてくるべきです。先人たちが学んだことを学ぶことで、いち早く成長することができます。
Q. 読書の効用は何でしょうか?
一つは時間と経験を買うことができるということです。皆さんが獲得した知見を自分たちが一から勉強し直す必要はありません。特に失敗に関しては明確に分析されていることが多いので、同じ失敗をしないだけでも大きな時間の節約になります。
また、本を読むことで良い思考が身につきます。いい思考が身につけば、未解決の問題や見たことのない問題に直面しても解決していける力がつくと思います。
Q. 世の中には音声や動画コンテンツが溢れ便利になっていますが、紙の本を読む意味はありますか?
人間は動画などだと受け身になりがちですが、本に関しては自分が能動的にならないと進められません。そのため、マインドが自然と能動的になります。能動的になると自分で考えるようになるという点が重要です。考える力や姿勢を持つことが本を読む良いところだと思います。
Q. オーディオブックで本を聞くのはありですか?
あります。オーディオの良いところは、人間の耳が疲れない器官だということです。人間の耳は寝ている間も機能しており、24時間動いていても疲れない器官です。一方、目は疲れてしまいます。
疲れない器官である耳を使って学ぶのはとても大事です。特に都市に住んでいると移動時間が馬鹿にならず、現在のイヤホンは非常に優れているため、シームレスに音が聞けて学習できます。隙間時間の活用にはとても良いと思います。
Q. 本の選び方のポイントを教えてください
立ち読みの時にチェックするのはまずプロフィールです。プロフィールで本当に結果を出している人なのか、単にプロジェクトに参加しただけなのか、中心人物として成功の要因や失敗の要因を身をもって体験しているかどうかを確認します。
最も良いのは創業者か中興の祖です。創業者は0から立ち上げているので、自分が原因を作って成功しています。中興の祖は会社が傾いてきた時に入ってきて立て直す人なので、どう改善したら良くなったかという学習をしています。
また、「一流の変態」、つまり一つのことを非常に掘り下げていける変態性を持っている人の本からも学びが多いです。
学びは俯瞰することも大切なので、コンサルタントや学者から学ぶのも重要です。これにより、一つの会社のケーススタディだけでなく、様々な会社や業界をまたいだ広い学びが得られます。
ただし、著者が専門外を書いている本は絶対に避けた方が良いです。編集者が「このテーマは今売れる」と著者に依頼して、専門外で書かされていることが少なくありません。専門外かどうかはプロフィールと照らし合わせて確認しましょう。
Q. 速読術を習得したいです
速読術があるとしたら、それはフォーカスする力だと思います。フォーカスするとものすごく早く読めます。私がギリシャに留学していた時、英語の文献を読んでA4用紙40枚のレポートを英語で書く試験がありました。翌日までに提出しなければならず、200〜300ページの英語文献を15分で読めてしまったことがあります。なぜそれができたかというと、目的にフォーカスしたからです。
この本から何を得たいのかを事前に自分の中に強くインプットして意識してから読むと、そこだけが見えてきて読むスピードが非常に速くなります。ビジネスマンの速読術は「目的にフォーカスすること」が答えです。それ以外では、速読できないような歯ごたえのある本を読むことをお勧めします。
Q. 本の内容が頭にきちんと入る読み方はありますか?
「道具が汚れるのを恐れる人は成功しない」と言われます。本は汚すべきです。「売りたいからもったいない」と言う人がいますが、それは読むべき本ではなかったということです。自分の知になって置いておきたく、何度も読み返したい本が買うべき本であり、それには線を引くべきです。
また、固有名詞や数字に注目することも重要です。重要な数字や固有名詞を調べると、さらに付随情報が出てきて知識が深まります。本を読んだだけの人ができない、その先に行けるようになります。
Q. 世の中には時間術の本がたくさんあります。土井さんの一押し本を教えてください
若い時に読んだ本ですが、今でも売られている「なぜか仕事がうまくいく人の習慣」(ケリー・グリーソン著、PHP研究所)がお勧めです。この本では、ビジネスマンの時間の大半が探し物に使われていると指摘しています。
同じように、この本では「初めて触れたり読んだりした時に取りかかること」を勧めています。例えばメールや書類が来た時に、後でやろうと思うともう一度読むことになり、非常に無駄が発生します。メールを読んだらすぐに処理する、書類が届いたらすぐに処理するという習慣がとても大切です。
Q. ビジネスパーソンが学ぶべきジャンルの名著を教えてください
会計・ファイナンス分野では、最も分かりやすい本は「財務三表一体理解法」です。損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3つがどう繋がっているのかをイメージできる本です。また「財務諸表分析」(桜井幸夫著)も、税理士の方に紹介しても感謝される本です。この本で紹介されている財務指標を勉強したおかげで株投資などに生かせます。
戦略本では「良い戦略、悪い戦略」(リチャード・ルメルト著)、楠木建の「ストーリーとしての競争戦略」、「イノベーションのジレンマ」が名著です。「ストーリーとしての競争戦略」では、戦略はプロセスの中で優位性を保っていくものであり、Amazonなどの戦略ストーリーが載っています。「イノベーションのジレンマ」では、人間は儲かっていると捨てられないことを教えてくれますが、そこに企業家にとってのチャンスがあります。
マーケティング分野では、コトラー&ケラーの「マーケティングマネジメント」を勧めます。理論だけでなく事例が常に刷新されているため学ぶことが多いです。また、P&Gの中興の祖であるA.G.ラフリーの「ゲームの変革者」や、USJを立て直した森岡毅の「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」も良い本です。
営業では「私はどうして販売外交に成功したか」(フランク・ベトガー著)が素晴らしい本です。また最近では「影響力の科学」が営業を科学的に論じた良書です。
マネジメントではドラッカーの「マネジメント エッセンシャル版」と、松下幸之助の「指導者の条件」が良いでしょう。「指導者の条件」では、松下幸之助が経営幹部向けに厳しいことを言っており、戦国武将がどう決断していったかをケーススタディにしながら教えを解くという内容です。
Q. 2000円以上の本を買って外したくないので、おすすめの本を教えてください
まず1冊目に紹介したいのは「影響力の武器」(ロバート・チャルディーニ著)です。この中に出てくる6つの心理原則を使いこなすと、人を説得する技術をマスターできます。
次に「進化思考」という本があります。これはアイデアやイノベーションを生み出すための法則が書かれています。
また「誰のためのデザイン」(ドナルド・ノーマン著)も良書です。これは認知心理学のジャンルで、どういうデザインになっていると人間はどのように道具を使うのかを研究した学問です。商品開発やデザインをする人は絶対に読むべき本です。
その他にも「ザ・コピーライティング」(ジョン・ケイプルズ著)、「カンパニー」、「両利きの経営」、「財務諸表分析」もお勧めします。
Q. 無料のコンテンツがネット上に溢れているので、わざわざ本を買わなくても無料のテキストや動画で学べば十分な気もします
本当に優秀な人は自分のコンテンツを無料で出さないと思います。無料で出している人は、フォロワーが欲しいとかインプレッションを稼ぎたいという目的があります。そうすると大衆受けすることを言うようになり、特にSNSではその傾向が強いです。大衆受けするコンテンツばかり見ていると、耳に痛い話を聞けなくなります。でもビジネスパーソンは耳に痛い話を叩き込んで自分を変革していく必要があり、それができるのは本だけではないでしょうか。
また、インターネットでコンテンツを見ていると最先端の情報を見ていると思いがちですが、実態はテレビを見ているお年寄りと変わりません。無料コンテンツはスポンサーにとって都合の良い情報だけを受け取ることになります。そこで間違った情報が流れてくることもあります。スポンサーにとって都合の良い情報ばかり流れてくるので、お金を払って読むことに意味があるのです。
できる人は難しくて高い本を読みます。なぜなら、みんなが知らないからです。株でも何でも、みんなが知らないものが良いのです。そもそもみんなに知られていることはビジネスにおいては価値がなくなってしまいます。なので高い本や難しい本を読むことに意味があるのです。