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AIの消費者の心をつかむのは日本だ
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2024年9月4日

「日本は優れた成果を上げる準備が出来ている」と語るのは元Salesforceのエンジニアで現在はZEALSエンジニアのグレッグ・ベネット氏。日本文化に見出した勝機とは。
AI時代の日本の強み:おもてなしと体験価値の可能性
技術の急速な発展に伴い、生成AIの分野では欧米企業が大きな存在感を示しています。しかし、AIの活用と体験設計において、日本ならではの強みを発揮できる可能性があります。Zeosに所属するグレッグ・ベネットは、日本が持つ「おもてなし」の文化がAI時代においても大きな価値を生み出すと考えています。
Q. 日本はAIの分野で勝ち残れるのでしょうか?
確かに、ChatGPTを開発したのはアメリカ企業かもしれませんが、日本企業はそれを最も効果的に活用し、人間らしい温かみのあるインタラクションを実現できる可能性があります。
日本には、特に1970年代から80年代の製造業の発展に見られるように、既存の技術を洗練させて最高の体験を作り出す力があります。例えば、電子レンジは日本で発明されたものではないかもしれませんが、最適化された最高の電子レンジは日本で開発されました。また、三菱のように西洋では主に自動車メーカーとして知られていても、日本では最大のメガバンクの一つでもあるなど、既存のツールを活用して最高の体験を生み出す多様な側面を持っています。
日本企業は、消費者がお金を使いたくなるような魅力的な体験を作り出すのが非常に上手です。製品開発だけでなく、それをどう売り、消費者にどう提示し、どう魅了するかという点で、日本は優れた実績を持っています。
Q. 日本のマーケティングは本当に強いのでしょうか?
日本のマーケティングが西洋ほど優れていないという意見を耳にすることがありますが、実際には日本は最高のマーケティングを持っています。日本企業ほど効果的に消費者にお金を使わせる企業はないでしょう。
銀座で大福を買うと、非常に丁寧に包装してくれます。「過剰では?」と思う人もいるかもしれませんが、それは製品と顧客に対して最高の体験を提供するという姿勢の表れです。もちろん、リボンを完璧に結ぶために1時間待たせるほど極端になる必要はなく、アメリカのようにただビニール袋に入れて渡すだけというのも極端ですが、バランスが重要です。
経験の細部まで考え抜くこと、どのように開発するか、どのように収益を上げるか、社会にどう貢献するか、誰が使うのか、その最終的な体験の部分をどのように楽しみ、感謝するかを考えることは、音楽から生成AIまであらゆるものに適用できる考え方です。
Q. 生成AIにおける「日本版」とはどのようなものになるでしょうか?
Zeosでは現在、「おもてなし」の体験を最高の顧客体験にどう変換するかを検討しています。消費者として何が欲しいかわからない状態で、もっと知りたいけれど押し付けられたくないという瞬間があります。他者に迷惑をかけないという考え方は日本文化に根付いており、それは生成AIにも十分に応用できます。
AIが会話やコミュニケーションをする際に、ユーザーが押し付けられていると感じないようにすることが重要です。例えば、最近の一部AIチャットが過度にフレンドリーだったことで、不快に感じるユーザーもいました。これは必ずしも最も効果的な選択だったとは言えません。
日本のおもてなしの視点からは、相手の生活を乱したくない、ストレスを与えたくない、考えさせすぎたくない、必要以上に時間を取らせたくないという配慮があります。もっと時間を使いたければ対話を続けることもできますが、ユーザーに過度に干渉しないことが大切です。
Q. ユーザー視点で見ると、ZeosのAIと他のAIはどう違うのでしょうか?
AIを人間らしくすることが目標だと多くの技術者は考えていますが、会話はこれまで人間だけが持っていた能力でした。しかし、今や機械も会話ができるようになりました。だからといって機械が人間になったわけではなく、理性や感情を持っていません。
重要なのは、機械が以前は人間だけのものだった会話のルールや規範に従いつつも、それが人間ではないということを維持することです。Zeosでの取り組みは、AIを人間らしくすることではなく、ユーザーが快適に感じられるようにすることです。
おもてなしの核心原則は、ユーザーのニーズ、心配、恐れ、喜びを考え、それを強調しすぎるのではなく、心地よい点に持っていき、関係の親密さを調整する制御をユーザーに与えることです。例えば、初対面から極端にカジュアルな日本語で話すわけではなく、相手のスペースを侵害しないよう配慮することが大切です。
Q. プロンプトエンジニアリングの将来はどうなるでしょうか?
理想的には、将来のプロンプトエンジニアリングは自動化されるでしょう。人間がプロンプトを書く必要がなくなり、十分なプロンプトデータがあれば、理論的にはAI自身がプロンプトを書けるようになるかもしれません。
現在の状況は、映画の脚本家と監督の違いのようなものです。今は自分で「映画」を書き、監督し、AIは俳優のような役割ですが、AIがより優れたプロンプト作成能力を持つようになれば、監督の役割だけを担当すればよくなります。「ここはもう少し抑えて、あそこはもう少し強調して」というような指示を出すだけで済むようになるでしょう。
生成AIの未来に関しては、特定の体験や特定の分野でAIの力を最大限に活用できる個人、企業、組織が先頭に立つようになるでしょう。2008年頃のモバイルアプリで、人々が継続して使用したいと思うような「粘着性」の高いアプリが登場したように、生成AIを活用して廃棄物収集をより生産的、簡単、持続可能にするような実装を成功させた企業が、その業界でトップに立つことになるでしょう。
Q. 日本のPIVOT視聴者へのメッセージはありますか?
日本の皆さんには、日本が成功できるという自信を持ってほしいです。日本に来て働き始めてから最も驚いたのは、「競争できるかわからない」「日本は遅れている」という意見をよく聞くことです。
しかし、日本には世界が恩恵を受ける素晴らしい文化や価値観があります。例えば、ウォシュレットのような製品は、元々のアイデアは古くからあったかもしれませんが、日本はそれを完璧にしました。温かい水、消臭機能、音楽機能など、日本はあらゆる細部を考慮しました。
ウイスキーやコーヒーなど、他の場所で生まれたものでも、日本はそれを誰も想像できなかったレベルにまで高めることができます。これが生成AI分野でも日本が競争力を持てる理由です。日本の焦点は他社に勝つことではなく、このツールを特定の分野に適用して、想像以上に良くすることにあります。日本にはそうした資質が備わっています。