TIME IS
マッキンゼー流「仕事が速い人」の基本スキル【大嶋祥誉】
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2024年9月10日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、エグゼクティブコーチの大嶋祥誉さんに、マッキンゼー流「仕事が速い人」の基本スキルを聞く。 <ゲスト> 大嶋祥誉 エグゼクティブコーチ / 人材開発コンサルタント <参考書籍> 大嶋祥誉『...
マッキンゼー仕事術の極意:効率的な仕事の進め方とは?
仕事の生産性向上は多くの人の課題だ。マッキンゼー出身のエグゼクティブコーチ・大嶋祥誉氏に、仕事を速く効率的に進める方法について聞いた。仕事が速い人の共通点から問題解決の思考法まで、実践的なアドバイスを紹介する。

Q. 仕事が速い人にはどんな共通点がある?
仕事が速い人には3つの共通点がある。
1つ目は「すぐ行動する」こと。考えすぎず、素早く仮説を立てて実践し、修正しながらゴールに近づいていく姿勢がある。
2つ目は「コミュニケーションスキルが高い」こと。要点をまとめてロジカルに伝える力に長けており、周囲から素早く適切な情報を得て、一人で仕事をするよりも何倍ものスピードで進められる。
3つ目は「シンプルに考える」こと。使用する道具、仕事の管理方法、生活スタイルに至るまで極めてシンプルにし、全てをシンプルにすることで仕事に集中して成果を上げている。
Q. 集中力がなくてすぐ気が散る
現代はスマホによって集中することが難しい時代になっている。決めることが多すぎて判断に集中できない状態が続いている。データによると、大人は1日に約3万5000件もの判断をしているという。
人は選択肢が多いと前に進めなくなることが分かっている。選択肢が多いと「1つに決めたら損するのでは」という思考になり、結果として決めること自体ができなくなる。
アメリカの実験では、ジャムを24個用意したグループAと6個用意したグループBでは、選択肢が少ないグループBの方が多く購入した。24個あると選ぶのに疲れてしまい、結局購入しなかったのだ。
そのため判断する量を限りなく減らすことが重要だ。例えば:
朝一のメールチェックをしない
隙間時間にスマホを見ない
朝食やランチのメニュー、着る服をあらかじめ決めておく
スティーブ・ジョブズは服装を黒で統一し、朝の服選びという判断をなくしていた。このように情報過多にならず、判断を減らすことが大切だ。
コンサル業界には「80%ルール」があり、情報を100%集めても80%で集めた場合と判断はあまり変わらないことが分かっている。80%の情報で確証が得られたら決断するのが基本だ。
Q. 仕事が速い人はどのように集中する?
集中にも違いがある。1つ目は集中の内容だ。作業をこなすために頑張る集中ではなく、思考と行動のために集中する。無駄な仕事と必要な仕事を見極め、必要な仕事だけに短期集中することが重要だ。
2つ目は集中の質の違いだ。質の高い集中は努力が必要ない「ゾーン」と呼ばれる状態。この質の高い集中のためには、まず休むことが大切だ。疲れていると質の高い集中には入れない。
また体を動かすこと、特に有酸素運動が効果的だ。モヤモヤがすっきりして集中力がアップすることが科学的にも証明されている。
休みつつ働くのがグローバルスタンダードなので、休むことが非常に重要だ。瞑想をしている人も多く、例えばTM瞑想などがある。瞑想にはいろいろな種類があるので、自分に合ったものを試すとよい。瞑想によってモヤモヤがはっきりしたり、疲れが取れたりし、ゼロリセットできるため、その後の仕事に自然と集中できてパフォーマンスも向上する。
Q. 仕事が遅い人に足りなくて、仕事が速い人にあるものは?
バリューにこだわる姿勢だ。大切なのはバリューの大きさであり、労働時間の長さは関係ない。
Q. 仕事ができない人の共通点は?
仕事ができない人は目的やアウトプットがあいまいなため、仕事の段取りや優先順位をつけることが苦手だ。成果を出す人は取り組む前に最も力を入れるべき仕事を明確にし、それ以外は捨てている。
Q. 仕事の優先順位はどうやってつければよい?
緊急度と重要度のマトリックスのフレームワークを活用するとよい。抱えている仕事をマトリックスに落とし込み、重要で緊急、重要ではないが緊急、緊急ではないが重要、重要でも緊急でもない、の順に処理していく。
最も鍵となるのは「緊急ではないが重要な仕事」だ。仕事が遅い人は緊急度に注目しがちで、中長期的に見て仕事のスキルを上げるために重要な仕事を後回しにしてしまう。その結果、ますます仕事が遅くなるという悪循環に陥る。
自分に問いかけてみるとよい:
今日集中すべき最も重要なことは何か?
今日1日が終わるまでに何をやっておけば満足度が高まるか?
あと6ヶ月しか生きられないとしたら何をやっておきたいか?
このような問いかけにより、緊急ではないが重要な仕事の優先度が高まる。
Q. 重要でも緊急でもない仕事は捨てなくてもよい?
その場合は、人に任せることができるかどうかを考えるとよい。
Q. 優先順位をつけて取り組んでも量が多くて時間が足りない
上司から指示を受けて仕事に着手する場合には、上司が仕事を任せた意図や背景、期待するクオリティといったアウトプットのイメージを必ず確認しよう。いつまでに仕上げればよいのか期日も把握しておく。途中報告のタイミングも設定する。
これらを怠ると、労力が無駄になり、仕事が非効率になる恐れがある。
Q. 上司に色々確認しないといけない
普段から上司と良いコミュニケーションを取っておくことが大切だ。まず上司から上手に時間をもらうスキルを身につければ、期待するアウトプットのイメージが分かるだけでなく、途中で相談もできるようになる。仕事が速い人はこれが非常に上手にできている。
Q. 他にも仕事を効率よく進める方法は?
仕事を断ることを覚えよう。ただし、職場できっぱり断れない場合もある。その場合は代替案を示す、あるいは条件を交渉するなどうまく折り合いをつけるとよい。
Q. 自分でやった方が早いと考えて仕事を抱え込んでしまう
何でも自分でやろうとすると時間がかかる。得意でないことは人に頼み、自分の得意分野で力を発揮して自分とチームの生産性を高めるために、不得意分野は周りの人にお願いするとよい。
思い切って人に任せる勇気を持つことも大切だ。人に任せるという「我慢の時間」を持つことで、部下や後輩は成長し、チームが活気づきパフォーマンスも上がる。部下や後輩が分野によっては自分よりもはるかに高いスキルを発揮する可能性もある。
全員で力を発揮し、節約した時間をさらに自分のスキルアップに活用すれば、仕事の質とスピードがどんどん向上する。
Q. 物事を俯瞰的・長期的に見ないといけない
他人軸ではなく自分軸で動くことが大切だ。自分の人生に戦略を持つことが重要で、戦略とは実は「しないこと」を明確にする意味がある。「しないことリスト」を作り、何をするか以上に何をしないかを明確にするのが最も重要な戦略だ。
Q. 毎日同じことで悩んでいて時間を取られてしまう
悩むべきではない。それは非常に無駄なことだ。実は悩んでいるのは悩みに集中しているだけで、悩んで解決することは一切ない。悩みの再生産をしないことが重要だ。
悩むことと考えることは違う。一流のコンサルタントは自分でどうにかできないものについては悩まない。どうしたら問題を解決して目標を達成できるかを考えてひたすら行動する。
Q. マッキンゼー流の問題解決の基本は?
問題解決プロセスの第一歩は「ゼロ発想」だ。まず前提を疑うこと、言い換えると「そもそも」に立ち返ること。そもそも何が問題なのかを考えてみる。
例えば、ある事業が2年連続で赤字でどこに問題があるのか、どうすれば解決するのかと相談を受けた場合、問題を探り解決方法を考えるのではなく、何が真の問題なのか、そもそもそのビジネスを今後本当に続けるべきなのかというところから考えるのがゼロ発想だ。
ゼロ発想を身につけるには、まず「鳥の目」を持つこと、つまり俯瞰視点を習慣にする。そして前提条件、何が前提となっているのかを考察する。自分視点、相手視点、さらに別の角度からの視点など、様々な視点で物事を考察してみるとよい。
Q. 自分視点からなかなか離れられず発想が深まらない
この場合、ロジカルシンキング(論理的思考法)が役立つ。何が原因であり、その結果どうなっているのかを細かく突き詰めて考える。なぜそれが起きているのか、どこに問題があるのか、何が問題になるのかといった視点で深掘りしていく。
発想を深める手段として、クリティカルシンキング(批判的思考)を試すとよい。「どうしてなのか」「本当なのか」と前提条件も疑ってみる。真の問題は何か、もっといい対策はないのかといった視点で考える。
Q. 他にも問題解決の思考法は?
マッキンゼーで有名な「空・雨・傘」の思考フレームワークが使える。
「空」とは今どんな状況なのかという事実を示す。「雨」はその状況が具体的に何を意味しているのか、何が読み取れるのかという解釈。「傘」は事実と解釈を踏まえた上で実際に行うべき行動、つまり解決策だ。事実、解釈、解決策を揃えることが問題解決の条件になる。
例えば、食品メーカーのスイーツ新規担当を任され、50代男性の売上シェアが低いという課題があったとする。「空」として情報を分析した結果、50代男性は健康志向が高いのでスイーツを控えているという事実が分かったが、スイーツを食べたいというニーズもある。ここから読み取れる「雨」は、健康に良いスイーツの需要がありそうということ。結果、「傘」として糖分を控えたスイーツの開発ができるのではないかという仮説が浮かび上がる。
Q. 仮説思考はいろいろなシーンで使えそう
例えば本を読む時も使える。仕事ができる人はたいてい読書家だ。仕事の情報収集を目的とした大量かつ短時間で読む方法だ。仮説ありきで仮説を検証するための情報を探していくのが基本になる。
Q. 提案書や企画書を作る時に使えるフレームワークは?
マッキンゼーで使われる「ピラミッドストラクチャー」というフレームワークが使える。エジプトのピラミッドのように、底辺のブロックから順々に支えて構築していく。
1番下の底辺に事実が並べられ、その上に根拠が積み上げられ、頂点に事実と根拠から導かれる主張を載せる。ポイントは1つの主張につき、根拠を3つにまとめること。根拠はMECE(漏れなくダブりなく)を意識してグルーピングする。MECEとは「漏れなくダブりなく」という意味だが、この時にダブることより漏れていないかどうかを意識してグルーピングすると良い。
Q. 大嶋さんにとって時間とは?
使える資源が次第になくなっていくものだと思う。だからこそ人生で何を成し遂げたいのかを明確にし、自分なりの人生をデザインして行動することが大切だ。そうすることで、死ぬ瞬間に後悔なく、自分は自分の人生を生ききったと思えるのではないだろうか。