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信頼築く コミュ力の鍛え方
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2023年10月27日

Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。 バスケットボール選手で起業家の馬瓜エブリン氏が、ブリヂストン社員の「チームビルディング」に関する悩みに回答します。 チームメイトや監督、コーチとの立場や世代を超えたコミュニケーションから学んだ、組織を強くする”コミュ力”の鍛え方とは? ...
勝つためのチームビルディング: フラットな関係性と「余白」が未来を拓く
現代ビジネスにおいて、「チームビルディング」と「多様性の受容」は組織が持続的に成長するための重要なテーマである。しかし、多くの企業が世代間ギャップによるコミュニケーション不全や、D&I(Diversity, Equity, and Inclusion)への抵抗感に直面しているのは紛れもない事実である。
本稿では、バスケットボール界のスター選手であるマウリ・エブリン氏と、企業の担当者の対談を通じて、スポーツとビジネスの垣根を越え、「勝つためのチームビルディング」の本質に迫る。フラットな関係性構築の鍵、そして多様性を組織の力に変えるための「余白」の重要性について考察する。
Q. チーム内の世代間ギャップはどのように埋めるべきか?
組織に属する多くの人が「社内に同年代がいない」「年下のメンバーとのコミュニケーションが続かない」といった世代間ギャップの悩みを抱えている。
この問題に対して、年長者側から若者の世界に自ら「飛び込む」姿勢が求められる。TikTokなど若者の間で流行しているSNSを実際に見て話題にするなど、自分から積極的に彼らの興味・関心領域に踏み込むことで、心理的な壁を取り払うことが可能になるだろう。
ここで重要なのは、自身の常識を押し付けず、相手にアジャストし続ける柔軟性である。年長者が「これが最新」と思い込んでいる情報が、若者にとっては過去のものである可能性もある。自身の最新と相手の最新が異なると理解し、常に相手の反応を見てアプローチを調整することが、建設的なコミュニケーションの第一歩となる。バーベキューが全員にとって最高のコミュニケーションの場とは限らない。インドアゲームの方がその人らしさが出る場合もある。この柔軟な対応が、個々のメンバーの心を動かす鍵となる。
Q. 強いチームの共通点とは何か?
バスケットボールの世界でもビジネスの世界でも、「強いチームほど、先輩後輩の垣根がない」という傾向が見られる。これは高校生からプロレベルまで共通する。このようなフラットな関係は、日々の地道なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで実現されるのだ。チーム内のコミュニケーションが活性化し、誰もが自由に意見を言える環境こそが、強い組織の根幹にあると言える。
このフラットな関係を築くためには、年長者が自らのプライドを捨て、「バカになれる」かどうかが問われる。時代のトレンドから取り残されていく感覚との戦いの中で、若者のカルチャーにも積極的に飛び込み、対話のきっかけを作る姿勢が不可欠である。もちろん、「飛び込む」責任は若手にもある。マネージャー層が何を考え、チームをどう動かそうとしているのかを理解しようと、上の世代の考えに飛び込む双方向の努力こそが、真の信頼関係を築く上で欠かせない。
Q. D&Iの取り組みが進まない原因はどこにあるのか?言葉への抵抗感をどう解消するべきか?
「D&I(Diversity, Equity, and Inclusion)」という言葉に対して、多くの人が「お勉強」「自分事ではない」「また出たか」といったネガティブな感情を抱く傾向がある。この抵抗感は、 D&Iが単なる「義務」や「目標値」として扱われがちであることに起因する。
このような状況を乗り越えるには、D&Iという言葉の「重さ」に囚われず、個々人が「相手の立場になって考える想像力」を働かせることが肝要だ。異なるルーツやバックグラウンドを持つ人々の多様な価値観を理解しようとする姿勢こそが、言葉の壁を越える。また、多様性をポジティブに捉え、自身のユニークさを「魅力」として発信する視点も重要である。
日本においては、 D&Iを「企業における数値目標」として設定しがちだ。女性管理職比率や障害者雇用率などが先行することで、「なぜ多様性が必要なのか」という本質的な意味や、「多様な人材がいてこそ生まれる強い組織」という具体的なイメージが見失われる。D&Iは数合わせではなく、企業がより強く、成功するための手段であるという認識を広めることが求められる。
Q. D&I推進の本質は何か?「心理的安全性」を確保する「余白」とはどのような概念か?
多様な人材を集めるだけでは、チームは強くなれない。D&Iの本質は、集まった人々が「発言しやすさ」と「表現のしやすさ」を感じられる環境、すなわち心理的安全性を確保することにある。この心理的安全性がなければ、異なる意見やアイデアは埋もれ、時には軋轢さえ生むリスクがある。
リーダーシップの観点から見ると、チームを強くするのは、全てをトップダウンで決定する姿勢ではなく、「余白」を作ることだ。バスケットボールの監督が全ての戦術を固定せず、選手たち自身から生まれるアイデアを取り入れる「余地」を残すことで、選手たちの主体性を引き出し、表現しやすい環境が生まれる。この「余白」があるからこそ、チームは多様な視点から最も効果的な選択を見出し、最終的に「勝つ」ことができるのである。
D&Iという言葉に抵抗感があるならば、その言葉を別の形で「翻訳」して伝える工夫が有効である。「チームを勝たせるための武器」「議論に新しい風を吹き込むための余白」といった具体的な表現に置き換えることで、D&Iが単なる規範ではなく、具体的な効果を生み出すものであると認識を深めることが期待される。
Q. チームに「余白」を作るには何から始めるべきか?
「余白作り」は、一部のリーダーや管理職だけでなく、チーム全員のマインドセットのアップデートから始まる。他者との積極的なコミュニケーションを通じて自分の考え方と異なる部分を発見し、そのズレこそを「新しいものを書き込める余白」だと捉える柔軟性が重要である。これにより、固定観念に囚われず、常に進化し続ける組織が形成される。
D&Iの推進は一度で諦めてはならない。相手の反応を見ながら、言葉やアプローチをコツコツと工夫し続ける粘り強さが求められる。「自分と他者は異なるかもしれない」という想像力を常に働かせ、その差異を受け入れるアンテナを張り続ける。この小さな努力の積み重ねが、チーム全体の理解を深め、結果として組織のパフォーマンス向上へとつながっていくはずである。