
2023年1月4日
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中途採用においてよく耳にするのが「優秀だがカルチャーが合わない人材と、実力は中級だがカルチャーフィットする人材のどちらを採用すべきか?」という悩みです。
僕の持論では「ケイパビリティ(企業の成長に貢献する能力)は後から伸ばせるので、カルチャーフィットを優先する」が答えです。なぜなら、組織のカルチャーというのは会社のパーパスに通じるものだからです。

パーパスとは、その会社の存在意義、つまり、どう社会とかかわり、価値を生み出そうとするかという意思です。採用においては、「パーパスに共感できる人を集める」という姿勢が非常に重要になります。
仕事において、各人の意見が対立したりすれ違ったりすることは珍しくありません。議論が紛糾することもあるでしょう。それを収束させるためには、最終的に議論が帰結する先、つまり経営理念・パーパスが必要になります。

そしてもう1つ、努力して信頼関係を築く姿勢も必要です。
「人間には分かり合えないことも当然あるけれど、この会社ではパーパスの実現のために頑張って信頼関係を築いていきましょう」という組織としての姿勢があれば、いくら議論が紛糾しても、しかるべき結論に収束できるのです。
実際に、僕がかつて所属していたジョンソン・エンド・ジョンソンでは、パーパスを全社員が共有するための指針として、「クレドー(Our Credo/我が信条)」というものを定めています。

これは世界中のグループ各社・社員一人ひとりに徹底される企業理念・倫理規定で、すべての議論が「クレドーの観点ではアリか/ナシか」によって最終判断されます。この積み重ねによって、揺るぎない企業文化を醸成しているのです。
同社のクレドー文化はかなり厳格なもので、ビジネスの高度な判断からオフィスルールに至るまで徹底しています。
社員一人ひとりが、パーパスに基づく行動を実現できているかを毎年調査し、「当社のカルチャーはこうだから、あなたはもう少しフィットする努力をしてください」とはっきりフィードバックを受けることもあります。

この定点調査は全世界で一斉に実施される重要度の高いもので、回答が遅くなると上司から「早く答えなさい」と急かされるほど。チーム単位で結果が公開されて、マネジャーの評価の材料にもなります。
そのような企業姿勢があるので、従業員は真面目にクレドーにコミットしていました。
「みんなの職場はみんなで良くしよう、みんなのパーパスはみんなで守ろう」という意識が根付いていました。そんな一体感が醸成されていたのも、「自分たちのビジネスを成長させるコアバリューはこれだ」という核心がパーパスとして言語化されていたからです。
一方、自社のパーパスを設定しないままビジネスを進めている会社も、現実にたくさんありますよね。しかし、それでは「目先の数字」にとらわれる経営になりかねません。あるいは、パーパスが設定されていたとしても、その効力が十分でない場合も。
「みんなで行けばより遠く」のようなポエム調であったり、「創造性を持って行動しよう」という細かな行動指針を定めていたりするものが散見されますが、本来のパーパスというのは、もう少し本質的な自社のバリューを言語化したものです。

我々のビジネスを通じて世の中にどういう変化をもたらすのか、市場や社会からどんな価値を出す会社だと言われたいのか、それが会社の存在意義でありパーパスになるものです。
この視点に立って、パーパスの見直しを行ってみるのもいいかもしれません。ポイントはできるだけ多くの社員を巻き込んでいくことです。
というのも、役員だけの密室会議でパーパスを策定したり、人事部やコンサルタントに丸投げして完成したパーパスを経営者が読み上げたりすると、「社員がシラけた」という失敗談をよく耳にするのです。
本来、パーパスは社員みんなの共感と期待がこもったものでなくてはなりません。次回は、パーパスをつくるために必要な信頼関係を醸成し、社員みんなでパーパスをつくってその先のアクションにまでつなげる方法を詳しくお話しします。
※第2話に続く