
2022/12/08
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「セプテーニグループにおけるデジタルHRは、個人の成長を最大化するために活用されています。『企業価値の向上は個人の成長によって達成される』という考えのもと、個人・企業双方の利益になるように取り組み続けています」
そう話すのは、同グループ内で人事領域におけるデータ活用にたずさわってきた進藤竜也さんです。
同社がデータ活用に取り組み始めたのは10年ほど前から。
「主に採用と育成における課題解決のためにデータ活用を始めました。急成長を遂げるインターネット業界において安定的な人材採用と定着は欠かせないポイントですが、当時は経験者も限られており、『なかなか採用できない』『採用しても定着しづらい』といった課題に直面していました」
きっかけになったのが一冊の本でした。
「『マネー・ボール』という話がありまして。成績の振るわないメジャーリーグの球団がデータを重視した斬新な評価手法に基づき、自球団にとって最適な選手を集めて強豪チームへと成長する実話に基づくストーリーです。これを読んだ代表の佐藤光紀が『人事領域で同じようなことができないか』と発案したのが転機になりました」
その後、まずは自社における活躍人材を明らかにするデータを蓄積するところから取り組みが始まりました。データを分析するなかで生まれたのが独自の『育成方程式』です(下図)。

『育成方程式』は一人ひとりが生まれ持った個性と、その人を取り巻く環境が相互作用することで、成長に影響を及ぼすという考え方を表したもの。
セプテーニグループでは「人を育てる」のではなく、「人は職場で良質な経験を重ねることで『育つ』」ものだとし、それを科学的に測定・評価しているのが特徴的です。
職場にある環境(E)をチーム(T)および仕事(W)と定義し、その2つの要素と本人の個性(P)との相性が高いほど、大きな成長(G)につながる可能性が高くなると定義しています。
「どんなに優秀な人も、入社後にチームとの関係性が良くなく、仕事(業務内容)がその人に合っていなければ能力を発揮するのは難しい。
セプテーニグループで働く人たちと、グループにある代表的な仕事において、候補者の方は相性がいいのかどうかを勘ではなく、社内に蓄積されたデータをもとに分析していきました」
具体的には2009年から蓄積した約6000名のデータを用いてパフォーマンスの予測を実施。
採用活動では応募者のパーソナリティー診断テスト結果やエントリー時のアンケート、これまでの経歴、選考プロセスでの評価など、約100項目を使用しパフォーマンスの予測を行っています。


データに基づいてアセスメントを行うため、就職活動において『定番』ともいえる志望動機やエントリーシート、自己PRなどの面接対策は不要に(下図)。
データ活用により各選考プロセスが最適化されているため、面接は役員面接の1回のみで完了し、他社よりも早く採用が進むというメリットも。

選考は新型コロナウイルス感染拡大以前の2018年度の採用活動より、すべてオンラインで完結できるように設計されています。なお、こちらの採用活動および入社後のデータ活用に関する取り組みは、同社が独自に策定したデジタルHRガイドラインのもと行われています。
選考通過者に対して一人ひとりにデータを活用した「キャリアフィードバック」を行っているのも印象的です。
「AIを活用した独自の人材育成システムから算出した入社後のキャリア予測を参考情報としてお見せし、数十ページにのぼるフィードバックシート(下図)とともに採用担当が約2時間かけて個別にフィードバックしています。
内定を受諾するにあたり、フィードバックの詳細さや透明性を『決め手のひとつ』と回答してくれる学生も多いです」


進藤さんはデータドリブンな採用に取り組み始めてから、距離や時間の壁がなくなり、より多様な人材を安定的に採用できるようになってきたとも話します。
「定量的かつ客観的な採用手法を生かし、2018年卒からはオンライン完結型選考を開始し、直近では7割以上が地方圏在住の学生です。以前は9割以上首都圏在住者でしたから対照的です。
理系が4割をしめ、キャリアフィードバックをするようになって『もともとIT志望ではなかった学生』の入社比率も高くなりました」
こうした自社でつちかったノウハウを、人事領域に課題を感じる他社にも提供するため、2021年に事業会社化し、人的資産研究所を設立。グループ外に対しても研究成果の公開、共有を進めています。
「コロナ禍による働き方の変化で、新たな組織課題の解決に取り組む企業は増えているのではないでしょうか。現場の社員の方々の反応は予想以上にポジティブです。採用領域以外にも、データが人事や組織の中で貢献できる余地はとても大きいと感じています」
