
2022年11月11日
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最近、SEOについて考えるときに、避けて通れない問題が、「ホスト貸し・サブディレクトリ貸し(以下、ホスト貸し)」です。

「ホスト貸し」というのは、大手メディアや大手企業が、公式サイトの一部分をアフィリエイトサイトなどの第三者に提供する手法のことです。
多くの場合はサブディレクトリで区切って貸し出しが行われます。一種の「寄生」といえる状態のため「寄生サイト」という呼ばれ方もします。
なぜ、このような貸し出しが行われるのかというと、借り手側は大手メディアや企業の力を借りて、検索順位を上げられるケースがあるためです。
第1話では、YMYLの領域では専門機関や大手企業が優位の状況が固まっていることを解説しました。いわば、アフィリエイターが専門機関や大手企業の力を借りて、YMYLの領域の難しさをクリアしようとしているようなイメージです。
実際に、Googleからすると専門機関や大手企業が運営しているように誤認してしまうケースがあり、そう誤認させることを意識的に行っているわけです。
一方、アフィリエイトなどの収益は貸し手と借り手がレベニューシェアするケースが多い。ホスト貸しを行う大手メディアや大手企業・専門機関は、クレジットカードや健康食品などを販売するアフィリエイトサイトなどをサブディレクトリに置くだけで、一定の利益を受け取ることができる可能性があります。

ある程度知名度があるサイトだと、「アフィリエイトサイトを置きませんか? 何もせずに報酬が得られます」というお誘いが来ている企業もいるでしょう。
最近では、「うちのサブディレクトリにコンテンツをおきませんか?」と貸し手側から営業をかけるケースもあるようです。
現在確認できているだけでも百数十に上るサイトがホスト貸しを行っている状態で、その中には比較規模の大きな新聞社や芸能関係のサイト、誰もが知っているようなポータルサイトが含まれており、その数は徐々に増えています。
僕はこの状況に強い危機感を覚えています。こうしたやり口が横行すると、検索結果が汚れることでユーザーが不利益を被ることになり、結果として“検索離れ”につながると考えられるからです。
なお、借り手側は寄生先を転々とするだけなので、彼らを非難したところで状況は変わらないでしょう。
問題なのは大手企業や大手メディア、専門機関の側です。そしてホスト貸しという行為はSEO上でも「貸した側」に様々なリスクを生んでしまいます。
まず、ホスト貸しは自社のブランドを毀損する行為です。現状ではホスト貸しの実態が世の中にあまり知られていませんが、今後は炎上リスクも大きくなるでしょう。
そして炎上すれば、オンライン上で悪い評判が広がる、いわゆるネガティブサイテーションによりサイト全体のランクが落ちることも予測されます。
またサイト貸しを行ったサイト全体の評価が下がり、検索順位が下がるリスクもあります。実際にここ最近に大きく順位を落とした大手メディアもありますし、同社は業界内での評判も非常に悪くなっています。
これは、2022年9月のGoogleのコアアルゴリズムアップデート時に、ホスト貸しを行っていた某メディアの、サブディレクトリ部分を除いた“純サイト”部分の想定トラフィック値を調べたグラフです。もともとかなりトラフィックのあるサイトでしたが、サブディレクトリ以外の部分が大幅に下落しています。

ホスト貸しへのペナルティによって、社内で真面目に運営しているサイトやサービスの順位も落としてしまうリスクを、企業側はよく考えるべきです。
そして現在はホスト貸しを行っていない企業も、今後はその営業を受ける可能性があるので、ぜひ注意をしてください。サイトの影響度が大きくなれば、「サブディレクトリを貸し出すだけで、それ以外はお手間ゼロのレベニューシェアのビジネスです」という提案書が届くことがあると思います。
なお、このホスト貸しは日本に限らず世界中で問題になっています。日本でも徐々にその対処が始まっていますが、今後は明確なガイドラインの作成などもGoogle側に望みたいところです。
僕は以前、若い人たちから、「Googleの上位の情報は信頼できないから、TwitterやInstagramで情報を探す」という言葉を何度も聞いてきました。
その状況はGoogleの努力とウェブマスターの倫理観の向上で改善されています。しかし、ホスト貸しが横行する状況が続けば、状況に逆戻りしてしまうリスクもあります。
ホスト貸しはGoogle検索の信頼性自体を毀損する行為です。自分たちで自分たちの勝負の場を汚せば、しっぺ返しを受けるのも自分たちだということを、ウェブサイトの運営やSEOに携わる人はぜひ意識してください。
