
2022年11月9日
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僕はスタートアップのSEO支援に取り組むとき、キャッシュの状況などをきちんと確認するようにしています。

事業をしっかり成立させることが大事な時期に、SEOファーストで物事を考えるのは危険だからです。予算がない状態でSEOに資金を投入することは非常にリスクが大きいです。
比較的早く順位を上げやすいInformational(情報型)クエリのキーワードで、コンテンツとSEOに資金を投下しても、新興サイトだと順位を上げるのに3カ月~半年程度はかかります。そして売り上げが入金されるのはさらに数カ月先です。その間に資金がショートしてしまえば元も子もないです。
場合によっては以下のようにアドバイスすることもあります。
「このキャッシュ状況ならSEOはいったんストップし、リスティング広告に回して蓄えを作りましょう。次の資金調達を終えてからSEOに取り組みましょう」
「今はSEOに資金を使わず、時間をかけてコンテンツを作っていきましょう」
SEOをやるべきかどうかは、企業の状況や事業展開する業界により変わります。

スタートアップにも大手にも言えるのは、「SEOだけに頼るのは本当にやめたほうがいい」という話です。
Googleの検索エンジンは日々進化をしています。第一話で紹介したように、最近もGoogleのアップデートにより、健康系スタートアップの検索順位が急落しました。
「ウチはSEOがとにかく強いんです」と言う人がときどきいますが、SEOだけが強いというのは一切自慢になりません。「巨大なリスクを背負って走っています」と打ち明けているようなものです。
弊社のベンチャーキャピタルのサイバーエージェントキャピタルからも「この会社はサイトのSEOが強くて流入が多く、売り上げも非常に良いんだけど、投資すべきか」と相談を受けることがありますが、答えは同じです。
検索流入率が90%だったら、アルゴリズムのアップデートで90%が吹っ飛ぶ可能性もある。そんな会社には投資すべきではありません。
事業を展開するうえで、リスク分散は大切です。頼りになるのがSEOだけ、SNSだけというような状態は非常に危険です。そしてSEOに力を入れる場合も、SEO以外の部分も強くしておかないと、思いきった施策は打てないというわけです。
今の時代は、SNSに力を入れている企業も多いです。リソースは限られているしどちらに力を入れるべきか、と悩む人もいるでしょう。しかし、僕は「企業のブランド力を上げて、売り上げを上げ続けるためにはSEOもSNSも頑張るべき」という考え方です。
SNSは数人でも熱心なフォロワーが付けば、その人数には確実にアプローチができるので、SEOよりも地道な努力で向上する余地があります。BtoBビジネスの場合「経営陣へのDMで仕事が来た」という話もよく聞きます。
一方、BtoBの場合はSEOも成果が上がりやすい面があります。案件一つの売り上げが大きいので、20万円かけて1つの記事を作り、SEO対策をきちんと行うだけで数百万円の売り上げが達成できるケースもあるからです。
BtoCビジネスの場合は単純な成功話はなかなかないですが、上を目指しているスタートアップはSNSもSEOも両方力をいれています。
どちらが先に伸びるかは企業により異なるでしょうが、両方手掛けておけば、そのチャンスを逃しません。どこかで頑張って売り上げを作らないと、次の施策も打つことはできないので、早くそのチャンスを掴みたいでしょう。
ECサイトは第1話で解説したように、YMYLの領域に入るため、SEOだけで売り上げを伸ばす戦略には無理があります。利幅は下がりますが、最初は楽天やAmazonといったプラットフォームを活用するのも一つの手です。
「マージンを取られたくない」と言う人もいますが、「じゃあ聞きますけど、あなたは普段ネットのどこで買い物をしていますか?」と問うと、「Amazonです……」という答えが返ってきます(笑)。
Amazonや楽天に商品を出したとしても、本当にプロダクトが優れもので、その評判が広まれば、自社ECサイトの検索順位も向上する可能性が出てきます。
例えば「炊飯器」で検索すると、今はAmazonや楽天よりも、アイリスオーヤマのECサイトが上位に表示されています。
ブランドを確立したうえでSEOを行えば、上位に表示される可能性があります。それまでは楽天やAmazonを活用するのが有効です。特に、SNSのなかでファンをつくれていない、SEOもこれからという状況ならなおさらです。
例外は、Amazonや楽天に商品があまりない伝統工芸品など。自社ECやSTORES、BASEなどでも検索上位獲得の可能性があります。または、SNSで10万人レベルでフォロワーがいる状況なら、その流入に頼って十分に事業を回すこともできるでしょう。
ちなみにWebメディアにとって、楽天やAmazonに相当する存在はYahoo!ニュースでしょう。実際にスタートアップのメディアには、検索流入がまだ少なく、Yahoo!ニュースからの流入が柱になっているケースも多いです。
とにかくブランドとして知名度を上げたいなら、Yahoo!ニュースを積極的に利用すべきですし、少数でもいいからコアなファンを作りたいなら、Yahoo!ニュースには出さないという戦略もアリだと思います。
第5話では、最近のSEOを巡る「ホスト貸し」問題について語ります。