
2022/11/15
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「ミドルマネジメントの“当たり前”の転換を前に戸惑っている30〜40代のリーダーは多い」
企業向けに管理職研修やコーチングを提供するCheer Coach代表の齋藤稚亜子さんは言います。

例えば、「部下育成」の“当たり前”の転換。
自分が20代の頃は「仕事を終えるまで会社に残れ」と上司から言われ、それによって鍛えられてきた感覚もあるのに対し、今は残業の強要はできません。
業務の進捗管理や部下の育成だけでなく、部下の中長期的なキャリア支援、ハラスメント防止対策など、これまでになかった「お題」がいくつも降ってきます。
また、仕事の進め方に関して「何を“正解”と考えるか」という価値観の世代間ギャップの狭間で迷う人も多いと齋藤さんは指摘します。

例えば、クライアントからのクレームに対応する場面では、上司世代から教わってきた“正解”は「すぐに電話をかけるか訪問して謝罪をしなさい」というものであるのに対し、部下世代は「相手の時間を取ると余計に失礼なのでメールでお詫びします」と考える、といったギャップです。
また、「今働いている会社で、早く好きな仕事をして、自己実現したい」という志向の強い若い世代に対し、目の前の業務に意欲的に取り組んでもらわなくてはなりません。
終身雇用の前提が崩壊し、労働流動性が増している時代においては、上から期待される成果も達成しながら、部下のモチベーション管理も両立するという、高度なスキルがミドルマネジャーには求められているのです。

雇用形態の多様化によって、「年上の部下」をマネジメントするケースも増えています。中には自分の処遇に不満を募らせてパフォーマンスを下げたり、「年下に指導されたくない」と拒否反応を示したりする年上部下に悩む人も。
常識・正解・当たり前の世代間ギャップの間で、とかく「板挟み」になりがちな今のミドルマネジャーに向けた処方箋として、新たな身につけたい視点や行動のポイントを3つ、齋藤さんの話からピックアップします。

チーム全体のモチベーション管理のためには、個人としての自己実現の目標(個人ビジョン)と、会社として達成したい目標(組織ビジョン)のすり合わせが重要です。
それぞれを具体的に言語化し、一致する部分を明らかにすることで、目の前の仕事と中長期的な自己実現の目標をつなげる作業を部下と定期的に行う習慣を。
そして、その第一歩となるのが、マネジャー自身の個人ビジョンを描くアクションです。
優秀なプレーヤーとして評価されてマネジャーになった人ほど、「自分の意思は横に置いて、会社(上司)から言われたミッションを120%で達成する」というアウトサイドイン(外側からの期待に応え、与えられた役割を果たす)のマインドが強い傾向に。
自分の内側から「なぜこれをやりたいのか、やるべきなのか」と動機付けるインサイドアウトのマインドへの転換を意識しましょう。

「年上の部下とうまくいかない」と悩む人の事情を詳しくヒアリングすると、マネジャー自身に相手に対する固定観念が発見される場合も。
「50代以上の世代は考えが古い、新しいことは無理だろう。依頼するのは申し訳ない」と決めつけることをやめて、その人が培ってきた経験とスキルに敬意を払い、「あなたのこの能力を使って、チームを助けてほしい」と具体的に伝えてみましょう。

組織の中のさまざまな狭間の中で、上にも下にも横にも悩みを打ち明けられずに孤立化していくのが一番避けたいこと。
意を決して上司に相談に行っても、「それをなんとかするのがマネジャーの仕事だろう」「で、どんな解決案を考えてきたの?」と、かえって評価が下がるリスクを感じたという声も。
結論を急がず、ただモヤモヤとした気持ちをそのままに吐き出して客観視するための時間を持つことが重要です。コーチングの専門用語で「オートクライン」と呼ばれ、自分が話した言葉を自分自身で聞くことによって、自己理解が深まる作用があります。
ただ、聞いてもらうための時間を確保するために、積極的に社外のネットワークを広げる努力を。会社が契約しているのなら、外部コーチを活用することも効果的です。
もし専門家ではない相手に話を聞いてもらいたいときには、「まだ結論が出ていない状態で、今日は話をさせてください」と前置きをするだけで、相手の心構えも整います。

以上、ミドルマネジャーが自分自身をラクにするためのヒントを紹介しました。
組織の安定的成長にとっても、ミドルマネジャーを支える環境を整えることは非常に重要な課題です。
ミドルマネジャーが元気であれば、後に続く若い世代にとっても希望となり、会社に対するエンゲージメントも高まります。
一斉集合型の研修だけでなく、個別フォローによる丁寧なサポートも継続的に行うなど、会社全体でミドルマネジャーを支える姿勢が求められています。

※11月16日(水)公開予定の第3話に続く