
2022年12月5日
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運用会社設立の実現に向け行動すべきかどうか迷っていた当時、僕は一世一代の投資をしていました。三井松島ホールディングス(三井松島HD)という石炭の企業で、当時の投資資金の大部分を占める10億円ほどを投じて約70万株を買い集めていたのです。
発行済み株式数の5%超を保有する大株主になり、法令に基づき、当局に大量保有報告書を提出していました。


脱炭素社会において石炭は悪とされ、株式市場でも関連株は割安に打ち捨てられていました。
世界中に光を灯し、暑ければ家を涼しくし、寒ければ暖を与え、今なお人々に多大な貢献をしているにもかかわらず、このようなことを口にすることも憚られるほど虐げられていました。
石炭を忌避するあまり炭鉱開発などなく、投資不足に陥り、リオープンによる電力需要の高まりに供給が追い付かず価格は急騰していたのです。

耳当たりの良いことばかりを口にしたエネルギー政策へのマーケットからの警告にも思えました。必要なのは、拙速な脱炭素より、現実に即した減炭素なのかもしれない。
2022年はエネルギーの年になる。メガネ女子がメガネを外す瞬間がきた。

三井松島HDの吉岡泰士社長は、もともとM&Aアドバイザリーをしていた目利きのプロであり、石炭で稼いだキャッシュを企業価値向上につなげられる経営陣であると期待をしていました。
串間新一郎会長と社長には大株主として何度か面談の機会を頂戴し、株主だけではなく発行体にとってもよいと思われるご提案をさせていただいておりました。
例えば、年1回の期末一括配当ではなく中間配当を検討してほしいとか、14時に開示されていた決算発表を株式市場が閉まった後の時間帯に変更してほしいなど、延べ20項目はお伝えしたように思います。

「いやあこんなにたくさんのご提案をありがとうございます。勉強になりました」
面談終わりに会長さんが頭を下げ、自分のような者にこのような言葉をかけてくださったこと、強烈に心に残っています。提案の大部分を実行してくださり、このような会社に投資ができたこと、自分はつくづく運が良いなと思ったものでした。
また、会長と社長には、自分がどんな気持ちで投資をしているか、ファンドを作り自分だけでなくニッポンの家計にも貢献したいという思いも打ち明けていました。
こうした中で、大株主になってから初めての本決算発表の日を迎えました。ここで市場の期待を上回る業績ガイダンスを公表すれば株価は上昇が期待できる半面、そうでなかったときは下落するものです。
70万株も保有しているとわずかな値動きであっても、とんでもない額の資産変動になります。実績値は良い数字になるという確信はありましたが、ガイダンスが保守的に出てくるリスクもあり、僕自身の緊張もピークに達していました。

発表された数字は、市場の期待を大きく上回るものでした。実態からするとあの数字でも保守的だったのですが、もっと保守的な数字が出てくる想定もしていたので、時間外の取引でストップ高に張り付いているのを見たとき、言いようもない感情とともに、こう思ったのです。
「ファンドをやるしかない」、と。
そのガイダンスは市場から高い評価を受け、翌日から株価は上昇、僕の運用資産はわずか数日で10億円ほど増えました。

上がり続ける株価チャートを見ていると、次のステップを踏み出す決断を促されているような気がしました。会長の顔が目に浮かび、さあやりなさい、と背中を押されている気がしたのです。
僕はツイッターで決意表明をしました。一緒に研鑽をしている尊敬する運用仲間とともに、運用会社設立に向け動き始めました。
その後、変更報告書にて保有減の報告をした数日後、お願いをして会長と社長にご挨拶する機会を頂戴しました。「機関投資家になっても継続的に面談をお願いします」という申し出にも笑顔で応じてくださり、込み上げるものを感じると同時に、思いを強くしました。

余談ですが、実は会社と良好な関係を築くために、本社がある福岡にも何度か足を運び、面会の際には虎屋の羊羹や、子会社のオーダースーツ専門店である花菱縫製の100万円分の商品券を持参し、従業員の方の労をねぎらわせていただいたりもしていました。
株主総会では、花菱のオーダースーツをバッチリ決め、「第一四半期の決算はQoQで減益になる可能性があるから、業績の修正をお願いします」と発言しておくなど、芸の細かいことも含め、やることはやっていた、ということも付言しておきます。

今、日本の家計には1000兆円を超える現預金が眠っています。眠れる現預金を目覚めさせ、株式市場を活性化し、家計に貢献する。
市場で評価が高まった企業は模範となり、多くのスタートアップが生まれ、日本経済は活気づくはずです。
ファンドの具体的な運用方針やポリシーは、チームと議論を重ねているところですが、ファンドの名前は決まりました。
「ニッポン解放ファンド」
投資の力でニッポンを解放する。特に日々の仕事と育児に忙しく、将来不安も大きい子育て世代に貢献したい。これが、自分が挑戦できる最大の社会貢献なんだろうと思っています。
とはいえ、一般の人が投資できるファンドを販売するには非常に高いハードルがあるので、まずはプロ向けのファンドを立ち上げることを最初のステップに定めています。

*明日に続く。