
2022/11/01
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プレイヤーとして高く評価されてきたマネジャーほど、チームの意見をまとめる場面で悩んでいるーー。そんな話を第1話でしました。
私が企業との共同研究や現場での研修で集めた事例から整理した「話し合いの病 よくあるパターン」を5つ紹介しましょう。
「話し合い」の病 よくあるパターン①
とりあえず、かみついちゃう病
対話のフェーズで、いったん、相手の意見を受容することができず、直ちに否定・反論・論破してしまう症状

「話し合い」の病 よくあるパターン②
対話ロマンティシズム病
「対話が大切だ」と言って、ひたすら対話を続け、そこから議論や決断に向かわない症状

「話し合い」の病 よくあるパターン③
みんな違ってみんないい病
対話で出てくる様々な意見の意味を咀嚼せずに、「みんな違って、みんないい」を決め込む症状

「話し合い」の病 よくあるパターン④
アンケートフォームで意見吸い上げちゃう病
しっかりと対話をしないで、強引にアンケートフォームなどを用いて意見を吸い上げて結論を出そうとする症状

「話し合い」の病 よくあるパターン⑤
誰もついてこない病
方針が決まったはいいが、誰も決定に従わない状況が生み出されている症状

いかがでしょうか。「うちのチームで起きていることと似ている」と思い当たる人はきっと少なくないはずです。
「話し合い」の問題は、比較的“新しい”問題といえます。
なぜなら、従来の日本の産業を支えてきた大量生産に最適化した上意下達型の企業構造においては、そもそも「話し合い」が必要とされていなかったからです。
マネジャーがさらにその上司から受け取った指示を、正確に伝えることで組織は機能し、結果もついてきた。
終身雇用に守られた同質性の高い組織では、話し合いをせずとも、「あうんの呼吸」で仕事は進んでいたのです。
しかし、状況は大きく変わりつつあります。
雇用形態は多様化し、副業兼業のメンバーとプロジェクトを共にするケースが増えています。

「終身雇用は崩れた」という暗黙の了解のもと、転職や起業を選択する人は増加。人の出入りは頻繁に起こり、「5年後にはチームの大半が入れ替わっているかもしれない」という前提で方針決定をしないといけない。簡単には「一枚岩」となれない組織が主流になろうとしています。
米粒をすりつぶして一体化した「餅型組織」から、米粒をギュッと握り合わせてまとめる「おにぎり型組織」へ。
おにぎりはしっかり握らなければ、すぐに崩れてしまいます。ダイバーシティが進んだ組織においては、さらにパラパラと崩れやすい「チャーハン型組織」となるのかもしれません。
また、社会情勢を見渡しても、外部環境の不確実性は高まっています。1年後さえ予測不能な状況下では、リーダーは「自分の判断は当てにならない」と思ったほうがいいでしょう。
いかに周りの人の知見を広く集めて、意思決定の精度を高められるかが、リーダーシップ開発においても重要なテーマとなっています。
これからの組織の維持・成長のために、より重要度が増すであろう「話し合いの作法」。メンタル面のサポートや、離職予防にもつながるはずです。
しかしながら、そのスキルセットを学ぶ機会は社会に出るまでほとんどありません。社会に出てからもないでしょう。
だから、組織はあらためて習得する必要がある。そんな強い使命感から、『話し合いの作法』(PHP研究所)という本を書きました。

正直、話し合いには手間も時間もかかります。しかし、これはコストではなく必要な“投資”です。
手間はかかるが、できるだけ多くのメンバーを意思決定の当事者として巻き込めば、いざ実行の段階で事がスムーズに、かつスピーディーに進みます。
「適切な決断をしたはずなのに、どうしてメンバーはついてきてくれないのだろう」と悩むマネジャーは少なくないと思います。
それはおそらくメンバーが「自分で決めた」という当事者意識を持っておらず、「気持ち」が乗っていないのです。そう、気持ちの問題です。
ビジネスは数字で動くものだと考えられがちですが、実はかなりの部分は感情で動くものだと私は常々感じています。

逆に言えば、感情を握ることができれば、数字もついてくる。つまり、「話し合い」の技術は、マネジャーをラクにする技術なのです。
次回から、「対話」と「決断」のそれぞれのプロセスにおける具体的な実践法のポイントをお伝えします。
※11月2日(水)公開予定の第3話に続く