
2022/10/31
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私はこれまで20年にわたって、企業の人材開発の現場で支援に取り組んできました。一貫して重要な課題と感じてきたのが、組織内で発生する「コミュニケーション」の問題です。
「フィードバック」や「ファシリテーション」などに焦点を当て、それらに関してリーダーが獲得するべき技法について発信してきました。

その間、幅広い業種・規模の企業の会議に同席して問題の分析・解決の支援をしていく中で、ある一つの問題に行き当たりました。
驚くほど、「話し合い」ができていない――。
ここでいう「話し合い」とは、「対話」+「決断」を意味します。
意思決定に関わるメンバーが意見を出し合って、一つの方針を決めること。

対話の重要性についての解説は目にする機会が多いかもしれませんが、対話だけでビジネスは動きません。
かといって、対話のプロセスを経ずにリーダーの意思だけで方針を決定するのは民主的といえません。

重要なのは、「対話」と「決断」がバランスよくセットされ、いずれのプロセスにもメンバー全員が当事者として参加できること。
メンバー一人ひとりが、「自分もこの意思決定に関わり、責任を持っている」と感じ、実行につながるアクションを起こせるかどうかです。専門用語で「自発的フォロー」といいます。

もしも「全員が当事者」になれない話し合いが続くとどうなるのか。「せっかく決めた方針が実行されない」という残念な事態を引き起こしかねません。
すると当然、成果が出ない。これはチームにとっても、会社にとっても、そしてマネジャーにとっても不幸です。
成果につながらないコミュニケーションを続けるのは、不毛でしかありません。
対話だけでも、決断だけでも足りない。「対話+決断」をセットで考え、それぞれのスキルセットを学び直す必要があると感じています。
企業活動において重要かつベーシックな営みといえる「話し合い」。
しかし、そのコミュニケーションが完全なる“機能不全”に陥っている現実を、私は数え切れないほど目の当たりにしてきました。

この問題は、コロナ禍で企業内コミュニケーションのオンライン対応が急速に進んだことによって、表に出たといえます。
部会の60分間、顔の映像を出してしゃべり続けているのはマネジャーだけで、他のメンバーはずっと無言で画面オフ(たまにチャットで発言するくらい)、なんて状況は日本中で起きています。
厄介なのは、「優秀なプレーヤーだったマネジャー」ほど悩む傾向にあるという点です。
状況分析や方針決定のスキルを人一倍磨き、自信をつけてきた経験があるゆえに、無意識の独断に陥ってしまう。

「皆さん、自由闊達にご意見を」と言った先から、「ちょっと違うな」と反応する。沈黙を埋めようと、気づいたら自分ばかり喋っている。腹の中にある「落とし所」に近い意見が出たら、すぐに「それはいい意見ですね」と反応して合意へと誘導する。
そんな悪気のないコントロールをついやってしまうマネジャーが大半です。
他にも典型的な機能不全パターンが複数あることが分かりました。次回、具体的に紹介し、共通する問題の本質を解説します。

※11月1日(火)に公開予定の第2話に続く