
2022年10月26日
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社長.tvは全国各地にフランチャイズを設け、順調に売り上げを伸ばしていきました。しかし、成長していることで調子に乗ってしまい、人をどんどん採用したり、新規事業へ投資したり、お金を使っていきました。
特にまずかったのが、代理店や加盟店のビジネスモデルです。初期投資として加盟金をいただいており、その加盟金を回収し終わるまではメディアが出す収益を加盟店が回収し、その後分配するモデルとしていました。そのため、売り上げは右肩上がりで伸びているのですが、目の前のキャッシュが足りない状況になり、資金繰りがショートしかけました。
その際、愛知の社長.tvの代理店をしてくださっていた企業から3億円ほどの出資をいただき、窮地を乗り切ることができました。このとき、すでに私の株式が過半数を切っており、いわゆる雇われ社長で、私だけでは意思決定ができない状態になっていました。結果、株主の方に、このまま経営を任せておくのは不安だと解任されてしまいました。
連帯保証と数千万円の借金が残って、全てがマイナスになったのが20代の締め括りでした。
解任されたのが2015年の4月上旬。さすがに不穏な空気は感じ取っていたので、次の準備も少しずつ進めており、2015年4月27日にベルフェイスを創業しました。落ち込んでいる暇もないし、すでに結婚して子供もいたので養う必要がありましたから。

ベルフェイスはオンライン営業に特化したシステムで、いわゆるSaaS系サービスです。プロダクトマーケットフィット後、トリプルトリプル、ダブルダブルダブル(T2D3)で、売り上げが伸びていくのが良いSaaSスタートアップと言われますが、これに近い水準で成長させることができました。5期連続200%成長、社員数は300人ほどまで増えていました。
タレントの照英さんを起用しタクシーやテレビでCMを流し、多いときは1万リードを超える見込み客を獲得していました。この数字はとても多いものだと自負しています。資料請求やホワイトペーパーのダウンロード、問い合わせは止まることなく、順調に顧客も増えていきました。
我々のサービスは電話営業の延長です。電話をつなぎながら、資料や画面を見せて資格情報を加えた提案ができるといった具合です。先方にアプリをインストールしてもらう必要はないため、電話営業の半歩先をいくテクノロジーでした。
コロナ禍直後は、オンライン営業の会社で当時ナンバーワンの知名度もあり、問い合わせが急増しさらに業績が伸びました。オンライン営業の時代がきたとアクセルを踏み、前後で86億円ほどの資金調達を行っていました。
しかし、ZoomやTeamsなどのWeb会議ツールを皆が当たり前に使うようになり、商談でも使うようになっていきました。ベルフェイスが半歩先を行くテクノロジーであれば、Web会議ツールは2歩ほど先を行くツールです。
一気にベルフェイスが時代遅れのツールのようになってしまいました。
正直、いつかは世の中のITリテラシーがあがり、だいたい5年後くらいにはこのような状況になるだろうなと思っていましたが、コロナ禍により、たった半年でこの状況になりました。一時期は月1万件を超えた問い合わせも激減し、新規契約が取れないだけでなく、既存顧客の解約率も激増しました。
一般的にSaaSはサブスクリプションを採用していることが多く、既存顧客のアップセルと解約がトントンもしくはプラスに合っていれば優良なSaaSといわれます。顧客獲得までが難しいですが、獲得すればサブスクリプションで安定的な収入を得られることも特徴です。
我々も良い状態といわれるチャンレートに近い水準を保っていましたが、コロナ禍で一変。毎月、更新を迎えるお客様の半数以上が契約更新せず解約していきました。
5年かけて積み上げてきた顧客を、1年で半数ほど失いました。
その前にすでに大型の資金調達をして、人にリソースをさいて、半年で140人から300人まで採用していました。新規が取れず売り上げが上がらない、それどころか継続率も下がっていく中で、固定費は上がっている。これがコロナ禍で直面した「ハードシングス」です。
1社目の起業で解任されるほど痛い思いをしているので、戒めながら経営していたつもりではあります。コロナ禍で神風が吹き、オンライン営業の時代がきたと、ここでアクセルを踏まなければ起業家ではないと判断したわけです。
起業家として失敗を受け止めつつも、アクセルを踏むべきところでチャレンジしたので致し方ない、その上で事前資金調達によりある程度のキャッシュはあったので、ここからどう勝ち残っていくのかという風に早い段階でマインドを変えたので、絶望に打ちひしがれる時間はほとんどなかったです。
第3話でそこからの逆転を図る決断について話します。