
30年で130%に増える保険でいいのか パワーカップルのリテラシーを上げる
構成/加々美 翼 撮影/稲垣純也
スタートアップが盛り上がる中、SOによってまとまった資産を手にするのも夢ではなくなっている。その他にも早期退職や相続などで資産が急に手に入った場合、正しく運用できる自信があるだろうか? 住宅購入などの大きな支出はどう考えるか。IFAの長谷川学氏が事例を元に深く解説する。
2,3話と2億円相当の資産を手にした例で話してきましたが、そこまでいかなくてもまとまった資産があれば、4つのポケットに分けて考え、戦略的に資産を増やすことはできます。そこで、特にパワーカップルがどう考えればいいのかを見ていきます。
パワーカップルの資産運用は別々に
私たちが普段アドバイスをするとき、夫婦だからといって、それぞれの資産を一緒くたにして考えることはしません。資産をそれぞれの思いで運用したいというカップルもいるので、バランスシートへのアドバイスは各々に行うことが多いです。
シンプルに2人の目標が同じで、資産をなるべく早く増やしたい、と考えが一致しているなら、バランスシートは共有して考えて運用するほうが効率的です。しかし、別々のゴールがある場合や、投資先にそれぞれの想いがある場合など、共有しきれない場合は、潔く別々でいいでしょう。どちらが正解ということではなく、本当にそのカップルの考え方次第です。

ただし、日々の生活上のキャッシュフローについては、共に生活する夫婦の共通認識も大事ですので、2人一緒にアドバイスし、話し合う機会を設けています。
配偶者のSOによる財産は共有財産?
「共有」という観点で、夫婦の資産は夫婦で共有のものだとしたら、夫ないし妻個人が持つSOの数億円という資産も共有になるのか? という問いもあるかと思います。
結婚後に得たSOなら、共有の資産になります。「株で稼いだお金」という考え方になるためです。
では、そのSOを売却したお金で住宅購入した場合は共同名義になるのか、というと、これはなりません。この場合SOを保有している妻(ないし夫)の名義であり、共有名義で購入しようとすると贈与にあたります。
例えば、双方が住宅購入資金を1億ずつ借りて2億の物件を買うのであれば共有財産になります。

30,40代のパワーカップルの特徴
私自身が30代前半なのですが、周囲のパワーカップルを見ていて思うのは、資産運用の必要性を感じてない人も多いということです。
30代、40代だと、「お金は仕事を頑張っていれば自然と増えるもの」と認識していて、生活は担保されているし、お金で困ることは基本的にないので、わざわざお金のことを考える時間や労力をかけたくない、という方が増えております。
私のところに相談に来る30代、40代で多いのは、「今、何のサブスクを利用しているか把握できていない」など、現状の棚卸しができていないパターン。カップルで共有すればいいところをそれぞれで契約しているなど、無駄の多いカップルは多いです。
また、「病気などで働けなくなると、お金に困る」という認識があり、保険に入りすぎているパターン。
「今この貯蓄性のある保険に入ると、死亡保険がついているうえに、30年で130%になります」と聞くと、金融リテラシーが高くない人はそれで満足してしまう。
しかし、30年で30%ということは、年率1%です。それなら、仮に年率3%複利で運用した場合、24年で2倍にすることができます。保険部分は掛け捨ての保険を使って安くして、2のポケットの考え方で運用する方が運用効率は高いのです。
パワーカップルの方から相談を受けて最初にすることは、支出に関する棚卸し。それが一番重要と言っても過言ではありません。

意味があることに投資したい
30代40代の人の特徴として、投資のリテラシーが上がると「7~8%のリターンよりも、3~4%でいいから、自分が納得できる会社や共感できる事業をしている会社に投資をしたい」と考える人が多いです。せっかく投資をするのであれば、社会的にも意味があることにアクションしたいという人が多いのです。
短期的な利益を生む会社より、社会課題を考える会社への投資を望む傾向があります。
それに対して、50代60代の人は、お金をどう増やすか、どう残すかを一番に考えてプランを作る人が多いです。

誰しも資産運用を始めるときは、将来に対する不安の解消や、将来実現したいことを叶えることが目的です。それが、お金が継続的に増えてくると、この資産をどう子どもに残すか、どう周りの人に還元するか、という考えになってきます。
それすらも満たされてくると、次の段階として、社会課題を解決する企業を応援したい、社会をより豊かにしたいから寄付をしたい、とより上位の概念になっていく傾向にあります。
1000万円を銀行に預けているだけだと、自分のお金が増えないだけでなく、社会課題を解決する企業が資金を得るチャンスも減ります。意志ある投資を増やしていくことにより、世の中に新たなお金の循環が生まれ、より豊かな世界を実現できると考えます。