
2022年2月1日
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竹下 お話を伺っていると、ロボットは可能性だらけですね。農業を起点にいろいろなビジネスが生まれそうです。
齋藤 そうですね。ただ、僕たちが現場で農業をやっていて一番に感じるのは、テクノロジーというのはあくまでも“手段の一つ”だということです。
ロボットの力で収穫が楽になったり、農産物の生産量が増えたりするという成果は、決して最終ゴールではないんです。

僕たちのゴールは、「ウェルビーイングの追求」です。
農家さんの生活や人生そのものを豊かにすることであり、誰もが食糧を安心安全に食べられる環境をつくること、さらには、地球上のすべての人たちが食べるものに困らずに生活をしていけること。
そんな果てなきウェルビーイングの追求だと考えています。
竹下 現在、日本の農業従事者は約136万人、平均年齢が67歳なのだと聞いています。
実際のところ、農業の現場において高齢化は問題になっているのでしょうか。
齋藤 メディアでは暗いトーンで報じられたりもしますし、問題になっている部分もあるのかもしれません。
ただ、僕が知っている農家さんの例で言うと、67歳どころかもっと年上の方も楽しく農業をされていますよ。

佐々木 定年退職後に農業を始めた方が、作業が大変すぎて挫折してしまうというケースもあると聞きます。でも、そういう方もロボットを使えば続けられるかもしれませんね。
「人生100年時代に、100歳まで現役で農業ができる」という世の中になるかもしれない。

齋藤 そうですね。「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方は、すでに農業の世界にも広まってきているのを感じています。
農業への取り組み方に限らず、世の中ってもっともっと多様でいいと思うんです。
佐々木 齋藤さんが活動拠点にしている新富町は、人口1万7000人とのことですね。
齋藤 はい。小さな町なのですが、だからこそスタートアップのような機動力があるというのが強みです。
野望としては、この小さな町から上場企業を生み出したい。それが実現すれば、日本中が活気づくのではないでしょうか。
「自分にもできるかもしれない」「ロールモデルがあるから自分もやってみよう」と考える人が増えると思うので。

僕たちは、ビジネスプランコンテストで10以上の賞をいただいています。海外の展示会から呼んでいただいたり、海外の大きなニュースメディアから取材を受けたりすることもあります。
そういったことを、都市ではない地方の小さな町でも実現できるというのは面白い時代ですよね。
こんなに小さな町からでもイノベーションを起こしていけるのだと証明したい。
佐々木 小さい町だからこそ、機動力を武器に世界と戦いやすいとも言えますね。
齋藤 そうですね。小さいからこそ意思決定も早いし、動きも速い。
そういう意味でも、農業のスタートアップは地方で挑戦するほうがいいと思っています。
また、僕たちはビニールハウスの隣に開発拠点を置いているんですが、これも東京だと難しいことですよね。
現場と開発拠点の距離が近いという点は、株主の方や投資家の方からも評価をいただくポイントになっています。
農業に限らず、林業や漁業など1次産業は今まさにDX化が進んでいる真っ最中です。
今こうした産業にDXで参入してくるスタートアップは、ものすごくチャンスに満ち溢れています。
それに、農林水産業は世界共通の産業ですから、アメリカやドバイから「日本の農業は今どうなっているんだろう」と取材が来たりもします。
つまり、世界とつながりやすい。これからはますます、農業ビジネスの成長が加速する時代と言えるかもしれません。
佐々木 新富町には、優秀な技術者の方々が集まってきているそうですね。
齋藤 はい。続々と引っ越してきているんですよ。
佐々木 続々とですか。
齋藤 そうです。錚々たる大企業出身の有能な方々が、家族も一緒に移住してきたりしていますね。小さな町なので不動産が少なくて、住居が見つからず隣町に移住する人までいます。
竹下 町の風景も変わりそうですね。

齋藤 すでに変わってきています。この数年で病院ができたりして。まるで(ゲームの)「シムシティ」の世界ですよね。
地方の小さな町というと、空き家や廃校など過疎化の問題ばかり注目されますが、それを悲観的に見る必要はありません。
なぜなら、その分「使える施設」が増えるということですから、次世代のイノベーションにどう活用していくかを考えればいい。
それが、“経世楽民”の考え方だと思うんです。
佐々木 経世楽民は、私たち「PIVOT」が掲げるビジョンですね。ありがとうございます(笑)。
齋藤 僕はいつも、その人や会社が持つビジョンに惹かれるんです。強いビジョンには人を動かす力があります。
僕たちの仲間になってくれる人たちも、ビジョンに共感して集まってくれているんです。
「ビジョン」「ミッション」「バリュー」「パーパス」がしっかりとあり、かつ成長できるステージがあれば、どこであっても人は集まってくるんだなと感じます。