
2022/02/01
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竹下 ビジネスディープインタビュー「9 questions」、今日お話を聞くゲストは、アグリストCEOの齋藤潤一さんです。
アグリストは農業をDX化するなど、とても興味深い取り組みをされている会社です。
佐々木 「儲かる農業」というテーマはこれまでにも話題になりましたが、なかなか具現化されることがありませんでした。
そんな中でアグリストは、すでにロボットを開発するなどして革新を起こし、2025年にはIPOを目指すとおっしゃっています。
また、齋藤さんは、過去にはシリコンバレーで働いていたという経緯もあるそうです。これまでのキャリアについてもぜひお伺いしたいですね。

竹下 まずはアグリストという会社についてですが、宮崎県を拠点にしてロボットを使った農業を展開しています。
宮崎県といえば全国的に有名なピーマンの産地でして、そのピーマンの収穫にロボットを役立てているということですね。
齋藤 はい。宮崎県新富町という人口1万7000人の小さな町で、ロボットを導入した農業を手がけています。
僕たちは、この町の農家さんたちから「収穫の担い手がいない」という声を聞いたことをきっかけに、自動収穫ロボットを開発しました。

竹下 このロボットを使うメリットは、「収穫のための人手がかからない」ということでしょうか。
齋藤 そうですね。重要なのは、あくまでも“人間の補助”として役立つこと。
現在は収穫の20~40%ほどをロボットが担っており、決してすべてをカバーしているわけではありません。
しかし、1台150万円と、既存の農業ロボットほど高単価ではない。これは、100人以上の農家さんにヒアリングを行って「ちょっと頑張れば手が届く」というラインの価格設定にしています。
竹下 ロボットは販売されているのですか。
齋藤 レンタルで提供しています。3年間のレンタル費用が150万円、さらに手数料としてロボット収穫分の売り上げから10%をいただいています。
佐々木 ピーマン以外のものを収穫するロボットもあるのでしょうか。
齋藤 キュウリの収穫ロボットの開発も行っています。収穫ロボット以外で言うと、収穫率アップのためのデータ化にも取り組んでいますね。
これは、ビニールハウス内のどこにどの農産物があり、それがどの程度育っているのか、肥料がどこにどの程度あるのかといった状況を、すべてスマホでチェックできるというものです。
ロボットを活用すれば見落としがありませんし、何より疲れません。クオリティに誤差が出にくいというのも大きなメリットですね。
佐々木 今の日本の農業は、ロボットを導入しやすい状況なのでしょうか。
齋藤 日本の場合は小規模の農業をされている方が多いんです。
そのため、ビニールハウスのサイズや整備の仕方もまちまちですし、難しさはありますね。
ただ、小規模で営まれているからこそ、意思決定して動くまでが非常に早いという利点もあります。その点を見ると、導入しやすいと言えるかもしれませんね。
竹下 農業というと「儲からない」というイメージを持つ方もいらっしゃることと思います。
高齢化などの影響で「日本の農業は衰退する」とも言われています。実際のところ、どうなのでしょうか。
齋藤 今後も人口減少が進めば消費される農作物は減る一方ですから、農業は衰退するだろうという考えも分かります。「儲からない」と考える人もいるかもしれませんね。
しかし、面白いもので、厳しい状況下であえて我々と同じように農業を“成長産業”と捉える人たちが現れるんですよ。
竹下 アグリストの成長戦略についてもお聞かせください。
齋藤 我々が考えているのは、農業の全工程のデータ化です。
ピーマン、キュウリ、トマトなどの種まきから収穫、収穫物が消費者に届くまでの状況を、全てデータ化すること。
そして、そのデータを活用して生産性を向上させていくこと。
さらには、こうした仕組みを世界にどんどん輸出していきたいと思っています。

農業において輸出といえば、収穫物そのものを運ぶというイメージがありますが、現代であれば「クラウドでダウンロードする」という輸出方法だってあり得るわけです。
例えば、砂漠にビニールハウスを建ててロボットを動かして農業をする。そのためのテクノロジーを輸出するということも実現可能だと考えています。
佐々木 面白いですね。ちなみに、ピーマン、キュウリ、トマトという3つの野菜を選ばれた理由は?
齋藤 宮崎県の農家さんたちがこれらの野菜の収穫に困っていたからです。
僕たちがなぜこの事業をやっているのかというと、目の前で困っている農家さんがいたからであって、農家さんの課題を解決するために取り組んできたんですよね。
加えて、これらの野菜は周年栽培が可能なので1年に何度もチャレンジができることから、「PDCAが回しやすい」という経営上の利点もあります。

竹下 なるほど。資金調達はどのようにされているのでしょうか。
齋藤 九州企業に特化したベンチャーキャピタルと、地域の金融機関、あとはENEOSさん、大手ベンチャーキャピタルのジャフコさんなどにも入れていただいています。
それぞれご担当の方がはるばる現地まで足を運んでくださり、汗を流し、靴をドロドロにしながらロボットを見てくださったり、農家さんと直接議論をしたり。
投資家の方々、株主の方々の本気度も高くて、農業の新たな幕開けを感じています。