
2022年8月29日
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第1話では、スタートアップがCFOやCTO、COOなどの経営陣を、転職市場で高額の年収を提示して採用している現状をお話しました。
実はCEOですら、私たちがヒューマンキャピタリストとして探す候補です。スタートアップ転職をしたいという人の話を聞いていると、「あなたが一番向いているのは、起業では?」と気づくことがごく稀にあります。
その場合、私たちは「起業家さえいればビジネスの種はある」という投資家に引き合わせて起業を促します。
実はキャリアの選択として、転職と地続きで、起業というチケットがあるわけです。

イメージしやすいのは大学発ベンチャーです。大学の研究者は事業化できる技術や思いを持っていても、経営スキルを持っているかどうかは別です。その起業の種をスケールさせることができる人材を、いきなりCEOとすることで、起業が現実的になります。
「いきなりCEO」に向くのはどういう人か。経営経験がある人はもちろんですが、そういう人は自分で起業してしまうことも多いので、見ている世界観が大きく、「社会を変えたい」という思いが強い人ですね。
例えば、フォースタートアップスから紹介して、グラファーのCEOとなった石井大地さん。
東大医学部出身で、小説家でもあるという超異色キャリアの方です。リクルートなどを経て、いくつかスタートアップ創業も経験されるなど、いろいろなキャリアをやりつくしたといってもいい状態でした。しかし思考スケールはとても柔軟で大きい方でした。
「次にどこに行くべきでしょうか」と相談された際に、「雇われるのはもう終わり、次は起業でしょう」とお伝えすることができました。
最も社会的インパクトが大きいことをやりたいという希望を、ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドと共に実現させました。
結果、行政手続きを効率化する「ガヴテック」領域で、官公庁などにソリューションを提供する会社を起業するきっかけとなりました。
さて、フォースタートアップスのデータベースから、もう少し細かいスタートアップ転職のトレンドを見ていきたいと思います。
まず、これが、データベースの検索企業ランキングの変遷です。


直近5年の検索ランキングをみても、アンドパッド、カケハシなどバーティカルSaaSを立ち上げた企業が目立ちます。
ここ5年くらいは、スタートアップの主戦場がSaaSビジネスとなっていました。まだ伸びる余地はありますが、そろそろ、VCからみても「投資しきった」と感じるところでもあります。
肌感覚にはなりますが、持続可能な社会を実現するエネルギー領域への注目度は高まりつつあります。さらにディープテック領域のように、社会を大きく変革していくスタートアップが注目を浴びると予想されます。
2022年8月に、東京証券取引所からもディープテック企業に関する上場審査の発表がありました。今後、新分野のプレイヤーがスタートアップ企業に多く登場しそうな気配を感じます。
スタートアップの主戦場が移り変わる中で、採用ニーズが高まっている職種は、やはりプロダクトサイドです。特にエンジニア採用のニーズがより一層高まってきているように思います。
とはいえ、職種にかかわらず、ハイレイヤー人材のニーズが高い点は変わりはありません。

スタートアップ転職を視野に入れたい人は何から始めるといいでしょうか。もちろん、「人材紹介会社にスタートアップも含めて紹介してください」と言ってほしいのですが、意外とチャンスが来るのは偶然の場合もあります。
私自身、不動産大手企業にいたときに、前職のスタートアップから声をかけてもらったきっかけは、「そのときの営業の仕方がよかったから」という理由なんです。
しかも、営業としての仕事を超えていろいろな仕事をしていたところを見てくださった方がいて、コミュニケーションの方法がよかったと。
仕事を一緒にした人やかつての同僚から引っ張られるというケースは、カルチャーフィットもしやすいです。チャンスはあらゆるところに転がっています。
職種についても全方位でチャンスがあります。「自分には専門性がない」というジェネラリストこそ、スタートアップのアーリーフェーズで必要とされます。
また、経理や人事など「間接部門だけやってきた」という人の活躍機会も多いです。IPOを目指すスタートアップは、フェーズの浅いタイミングから、組織体制はもちろんのこと、コーポレートの形を作る必要があるからです。
「1人目コーポレート人材」で転職するのは怖くても、グロースするタイミングでは、2人目3人目の戦力が必要なこともあります。
スタートアップは、イメージよりもずっと多くの職種、年齢の人を求めていることにまずは気づいてほしいと思います。
