
2022/08/29
読了目安4分
転職したい人の中で、スタートアップが選択肢に入っている人が多くなっています。
私自身も、大手からのスタートアップ転職の先駆けであった実感があります。住友不動産のビル事業部で営業をしていたところ、2014年に、創業したてのKaizen Platformに転職したのです。

当時は社員10人くらいの規模で、「片道切符だ」「ここに永住する覚悟じゃないと、次の転職先はない」などと言われましたが、今ではスタートアップの転職の選択肢はどんどん広がり、転職することに対してのネガティブな思考も減っているように思います。
私も、さらに可能性を高めるために28歳の時にメタップスに転職。上場を経験して、2019年秋にフォースタートアップスに転職しました。転職回数=経験は多いと思います。
フォースタートアップスは、スタートアップ企業の人材支援、スタートアップ転職の選択肢を提案する転職支援の「タレントエージェンシー事業」が大きな柱です。
2018年3月期の人材紹介件数は300件強だったのが、2022年3月期の件数は倍以上の700件弱と成長しており、特に2023年3月期1Qは、過去最高売り上げを達成しています。その主な理由は、紹介売り上げの単価上昇です。

2020年3月期のコンサルティングフィー総額は144百万円でしたが、2022年3月期は267百万円に上昇しました(注:年棒に対する紹介料の割合は、各社30~35%が目安。トップ人材の場合はより高い場合がある)
今、スタートアップ転職市場に起きている3つの変化についてお話します。
ひとつ目は転職市場で、アーリーフェーズのスタートアップでかなり強力な採用ができるように変わってきているということです。
かつてはアーリーフェーズは数千万円レベルの資金調達が普通だったので、ハイレイヤーの人材を高収入で迎えるのが考えにくかったのです。
年収300万円などしか出せず、「収入激減してしまうけど、SOという夢があるから頑張ろう」と誘うしかなかったんですね。
それが、数億円、二桁億円の調達も可能になってきているので、最初から年収1000万円級の年収を提示できるスタートアップが増えています。熱量だけで口説き落とすのではなく、年収で日系大手や外資と戦えるようになってきました。
逆に言うと、「スタートアップだから年収は低くて我慢して」では採用できない環境下でもあります。企業側は、変化に対応するフェーズに入ってきているというところです。
特に、エンジニアが足りていないのは皆さんご存じのとおりで、年収レベルも高騰しています。
2つ目の変化は、CxOクラスの人材を外部からエージェント経由で探すスタートアップが増えたことです。
一般的には、創業メンバーがCEOとCOO(副社長のポジション)でカルチャーをつくり、その他のCTO、CFOやその候補を募集するというイメージがあるかもしれません。
ここ1~2年で大きな波になったのは、海外の資金調達ができるCFOのニーズです。日本のスタートアップが、国内向けでなくて海外も含めて事業展開でき、投資を集められるいい状況になってきた証拠です。外資系金融出身の人がかなりこのポジションに行きました。
スキルが十分あり、スタートアップのカルチャーにマッチできれば、活躍できる可能性は十分あります。ただし、このCFOのポジション、この先は資金調達が多くならないことが予想できるため、転職の難度は上がると見込んでいます。
実は、COOを探すスタートアップも多いのです。つまり、CEOの右腕として、CEOにはない経営手腕を持っている人を、創業メンバーではなく外部から採用し、戦略を任せたいという考えを持っている経営者もいます。
転職する人には驚かれます。自分が知らない会社のCOOになる(会社の経営戦略を考える)イメージを持っていることが少ないからです。
ですが、CFO(財務)やCTO(エンジニア)のように専門性を生かすだけでなく、経営陣として転職するという選択肢もあるのです。
スタートアップは、一回転、二回転と、事業内容や方向性をフェーズや状況によって変える場面があります。そのときには、経営陣を入れ替えることが現実的に起きています。
具体的な社名は出せませんが、直近のCxO採用に、年収2500万円を提示したスタートアップ企業もあります。これだけ思い切った額を出せるようになってきており、スタートアップの採用市場の変化を感じるところです。
なぜそれほど高い年収を提示したか、それは今国内の企業やスタートアップ同士での転職検討ではなく、多くは外資大企業との競争だからです。
スタートアップの年収は日系大手企業とは遜色ないレベルに引き上がったとはいえ、外資系企業が積極的に採用していると負けてしまう事象が起きてきています。私達はそこに危機感を感じています。

転職を考える人が考えるべきことは、もちろん年収だけではありません。
例えば40歳で、転職するとします。年収1500万円で、経営の裁量はないミドルマネジメントとして転職するのと、年収1000万円でスタートアップのCxOクラスになり、何度も経営的決定を経験するのと、10年後の実力はどうでしょうか。
経営会議に出たこともない50歳と、たくさんの経営的チャレンジを経験してきた50歳では、つかめるチャンスが違うと思いませんか。
日本の雇用制度自体が、経営に触れる機会が少なすぎるのです。40代で経営中枢に行くルートに乗れなければ、50代では役職定年となり、エキサイティングな仕事は減る一方です。
また、外資系企業は裁量がありそうなイメージがありますが、日本は拠点のひとつ。経営的判断は本国がすることが多いのが実状です。
スタートアップの採用は、「20代の経営陣」など、若いイメージがあると思いますが、最近は40代50代のベテランが、スタートアップのグロースのためにCxOに近いポジションにつき、経験や手腕を活かして事業を引き上げていく事例が増えています。
第2話では、もう少し踏み込んで、「CEOですら転職市場で探す」という話をします。