
2022/08/12
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アプリ上に“共同口座”をつくり、生活費の支払いを管理する。チャージ式のVisaプリペイドカードとアプリが一体となった、新たな形の支出管理サービス「B/43(ビーヨンサン) ペアカード」が、共働きの夫婦や同棲中のカップルを中心に利用者を増やしている。
同サービスを提供するのは2019年設立のスマートバンク。2022年7月、総額20億円となる大型の資金調達も発表した。スマートバンク代表取締役の堀井翔太氏、UXリサーチャーの瀧本はろか氏の話から見えてきたのは、共働きが当たり前となった現在の新しい家計管理のあり方だった。


フリマアプリの草分け的存在だった「Fril(フリル)」。その開発元Fablicを創業し、CEOを務めた堀井翔太氏が、次なる挑戦のために立ち上げたのがスマートバンクだ。Visaプリペイドカードと家計簿アプリがセットになった、「家計簿プリカ」と呼ぶ支出管理サービス「B/43(ビーヨンサン)」を世に送り出した。
B/43の特徴は、Visaプリペイドカードにチャージして決済すると、支出の明細がアプリ上でリアルタイムに反映されることだ。
なかでも新しいのは「ペアカード」。夫婦や同棲中のカップルが、共通口座をつくりそこに決められた額をチャージし、お互いが持っているカードで決済すると、お互いがどこでいくら使ったかがすぐに確認できる。2人は法律上の家族である必要はない。


なぜこのようなサービスが生まれたのか。
B/43はもともと、「クレジットカードでは月々の支出を把握できない人が多い」という堀井氏の気づきから生まれたプロダクトだ。その気づきは堀井氏の前回の起業経験から来ている。
「フリマアプリを運営していた頃、クレジットカードの請求金額が確定したタイミングで、『今月の給与では支払えない』という人が多くいました。それで急遽フリマアプリで売り上げを立てて、その売上金をクレジットカードの支払いや生活費に充てているんです。なぜ、そうしたことが起きるのか。実際にユーザーインタビューをしてみたら、自分がどれくらいのお金を使っているのか把握できない人が多いことが分かったんです」(堀井氏)
支出を管理する手段として、「マネーフォワード ME」や「Zaim」といった家計簿アプリは従来から存在する。しかし、クレジットカードや銀行口座と紐付けてざっくり支出の増減を見ることはできても、「自分は月々、どの項目でいくら使っているのか」を直感的に把握するまではできていないという人が多かった。
「家計の支出管理は月次で予算を決めて、その予算内で生活できるようにすることが本質的な問題解決につながる。プリペイドカードに必要な額を入金して、その中で生活できるようにすればいいと思いつきました」(堀井氏)

プロダクトの方向性が決まってからも、瀧本氏が中心となって多数のユーザーインタビューを続けた。その中で、同棲中のカップルや夫婦間での家計管理に、共通の悩みがあることが分かってきた。夫婦間のお金を、オンラインで共同管理する方法がないのだ。
米国や英国などでは銀行口座を夫婦やカップルが共同名義で作れる「ジョイントアカウント」が存在し、それぞれがデビッドカードを受け取ることができる。
一方、日本の銀行口座は「1名義人に対して1口座(名義人に対して発行できるカードも1枚のみ)」という運用のため、 同様の仕組みを実現できない。また、クレジットカードの家族カードに関しては恋人同士などでは作れないのが主流で、デビットカードと違い、リアルタイムでの入出金の管理がしづらい。
「自社で資金移動業のライセンスを取得することで、ペアカードの仕組みを構築しました。資金移動業を取ることにこだわったため、起業からプロダクトをリリースするまで1年半もかかってしまいました。そのおかげで、夫婦間のお金の管理をしたい人にとって最初に使うプロダクトという立ち位置を作れたと思います」(堀井氏)
上記のような課題を解決するためには、食費、家賃、光熱費など費目ごとにお金を封筒やクリアファイルに入れて管理するなど、アナログに支出管理している人が多かった。
さらに、立て替えた支払いのレシートを保有しておき、それをまとめて月末に精算し、不足分をPayPayやLINE Payで個人間送金する。ユーザーインタビューではそんな工夫をしている夫婦やカップルもいたが、それでは手間がかかる。
「クレジットカードの家族カードでは、当月のキャッシュフローが読みにくく、決済の内訳が食費なのか生活費なのかが把握できない。そこで結局現金での管理に切り替えて、当月いくら使ったのかを分かりやすくしようと試みる夫婦もいました」(瀧本氏)

その状態をどう改善しうるかを、第6話で解説する。