
2022/08/12
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早いもので、僕の経営者人生も15年となり、会社も100人超規模へと成長しました。
顧客も、日本を代表する一部上場企業(東証プライム上場企業)の宣伝部・広報部・マーケティング部を中心に幅広い業種へと広がり、ソーシャルメディア戦略やデジタルマーケティングの領域で頼りにしていただくことが増えています。
これもひとえにチームの力。僕の役割は、メンバーが力を発揮しやすい環境を整えるために、適切なリーダーシップで導くことだと感じています。
リーダーシップを学ぶ上で、心から出会って良かったと思う本が1冊あります。
マサチューセッツ工科大学教授で組織心理学を専門とするケネス・ブランチャード氏らがまとめた『1分間リーダーシップ』(小林薫訳、ダイヤモンド社)です。 NOVAのエリアマネジャーになった23歳の頃、メンバーをうまくまとめられずに悩んでいた時期に上司から薦められ、読んだ本です。

当時の僕はマネジャーとして本当に未熟で、周りの人すべてに対して「自分ができたのだから、あなたもできて当然だ」と押しつけていました。
入社1カ月目の新人も、3年目の社員に対しても同じコミュニケーションをして、うまくいかないことに勝手に腹を立てていたのです。
そんな時に読んだこの本の中で「シチュエーショナル・リーダーシップ(状況対応型リーダーシップ)」、SL理論を学ぶことができたことは、その後のマネジメントに大いに生きました。
SL理論は、部下の発達レベルに応じて、「指示型」「コーチ型」「援助型」「委任型」の4つの段階でコミュニケーションスタイルを変化させていくという考え方です。

部下が何も分からない未熟な段階では、すべて事細かに指示をして、その通りに行動をしているかを管理する。仕事をある程度覚えてきたら、指示をしながらも「どう思う?」と意見を聞く。「私はこれを追加したほうがいいと思います」という返答が返ってきたら、「そうだよね。じゃあ、それでやってみて」と促す。これが二番目の「コーチ型」です。
次の「援助型」になるとさらに部下に裁量を渡して、指示はせずにまず意見を聞く。「こういう条件なんだけど、どう思う?」。「こうやったらいいと思います」と意見が返ってきたら、「そうだね。じゃあ、念のためこれも追加しておこうか」と補助による支援をする。
さらに習熟度が高まってきたら、「あとはよろしく」の「委任型」へ。この型を一人一人に適用していくことで、自律型のチームへと成長していける。
ポイントは、段階の移行を相手にも伝えること。「今まで指示型でやってきたけれど、仕事をかなり分かってきたみたいだから、これからコーチ型に切り替えていこうと思うんだけれど、どう?」と伝えて、合意を得ることが重要です。

また、部下の業務内容が変わったら、その都度、発達レベルに合うコミュニケーションスタイルを見直します。例えば、広告運用業務ではかなりスキルの発達度が高く、委任型マネジメントでうまくいっていた部下がいたとします。
その部下が未経験のコンサルティング業務に移ったときに、「広告運用と同じ感じで、こっちもよろしく」で任せてしまうと失敗の原因に。また指示型から始める必要があります。
家庭の事情や体調の変化などでパフォーマンスが下がりやすい時期には「今週はちょっと自分で考えるのはキツいと思うから、一時的に援助型に戻そうか?」など調整するのも効果的です。
画一的で一貫性を重視したリーダーシップを否定し、部下の発達レベルに応じて、柔軟に状況対応していくリーダーシップの“型”を、この本は授けてくれました。
リーダーシップやマネジメントに関する本は毎年のように出ますが、小手先の技術ではなく、型を知ることが一番早いと僕は感じています。
これは40年近く前に出た本ですが、シンプルで本質的。ストーリー仕立てで、短時間で読み切りやすい構成なので、「これ1冊読んで実践すれば、リーダーとして80点は取れるぞ」と全社員に薦めています。

そもそもリーダーシップとは、何も役職がついた人だけに求められるものではありません。年齢や肩書きに関係なく、背中に“フォロワーシップの矢”がたくさん刺さっている人が実態としてのリーダーです。
フォロワーシップの矢とは、「この人についていきたい」と思わせる信頼や人望です。それは何から生まれるかというと、やはり「自分のことをひとりの人間として丁寧に見てくれている」と感じさせるコミュニケーションでしょう。
まだまだ僕もずっと努力が必要だと肝に銘じていますし、チームで仕事をすると決めた人なら誰もが磨いてほしいもの。それがリーダーシップなのだと思います。
※バックナンバーのダイジェストをまとめた記事はこちら。