
2022年8月12日
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6月に『売上の地図』(日経BP)を出版しました。
僕が20年以上、探究を続けてきたマーケティングという世界の解像度を高め、多くのビジネスパーソンの「どうしたら売れるの?」の解を導くための地図を示すことができるかもしれないと書いた本です。

僕は20代半ばでマーケティングの魅力を知り、2007年、34歳のときにプロモーション支援の会社を起業しました。大手企業のソーシャルメディアマーケティング支援を強みとし、最近ではデジタルマーケティング全域のご相談をいただいています。
僕はマーケティングに携わる人たちが大好きなので、あえて愛着を込めてこう表現しますが、多くのマーケターは良くも悪くも楽観的です。PDCAのうちPD PDPD……と施策を打ち続けるのが大好きで、CA、つまり分析と改善行動がおろそかになりがちという傾向があるように感じます。
なぜ売れたのか、なぜ売れなかったのかという分析が不十分のまま、「で、それやって、なんぼ売れるの?」「えーっと」という問答が上司部下間で繰り返される。少なくとも僕がマーケター向け講座を始めた十数年前から、状況は変わっていません。
商品がヒットするのには必ずワケがあります。そして、その「ワケ」にはいくつもの因子と組み合わせのパターンがある。再現可能になるまで構造を抽象化し、次なるヒットにつなげる。その行動を導くための地図を作成するつもりでまとめました。

「ブランド」「売り場」「想起」など、売上に影響を与える20の説明要因を一つ一つ解説し、相互にどんな関連を持つのかを整理した「売上ができるまで」のガイドです。
例えば、説明要因の一つ「好意」に関しては、「良いから買うのか? 好きだから買うのか?」という問いを立て、認知的態度(良いか悪いか)に基づく評価と比べて、感情的態度(好きか嫌いか)に基づく評価が、否定的なニュース・クチコミによるダメージを受けにくいことなどを説明しています。
“好かれる力”は売上に効きます。それは、当社のクライアント企業の一つで、「よなよなエール」を主力商品とするヤッホーブルーイングのファンマーケティングの成功からも見てとれます。

本書の執筆を通じてあらためて感じたのは、自分はマーケティングの仕事が大好きなんだなぁということ。
人が何を知るか、何に興味を持つか、何を理解するのか、納得するのか。意識が変わると態度が変わり、やがて行動が変わる。「意識変容・態度変容・行動変容」の3セットで働きかけるのが、マーケティングやPRです。
そのパワーは、商品を買ってもらうためのアプローチに限らず、新しいマナーをみんなで守ろうと社会的合意を得るためや、チームに方針を浸透させるため、子どもに大事な価値観を授けるため、「人が人に何かを伝え、行動を変えようとする営み」のあらゆるシーンで応用できるもの。つまり、マーケティングとは人間そのものだと思うんです。

大げさでなく、マーケティングの力で、社会は変えられる。実際、プロパガンダは悪用された歴史があるし、今日もどこかで粗悪品を高値で売るためにこの力を悪用している輩はいる。
でも僕は「善の力」としてマーケティングを使える仲間を増やしたいという思いで会社を経営していますし、「マーケティングを通じて人類の幸福量を増やす」と本気で考えています。
僕がここまでマーケティングに魅了された契機は、20代の頃に中小企業診断士の資格取得を目指して必死に勉強したことでした。
マーカーを片手に、擦り切れるほど読んだ当時のテキストは大切に保管してあります。

告白すると、この本を読んだ数年前まではビジネスについて何も分かっていない、ただ元気なだけの青年でした。僕の変貌と成長を支えた読書体験について話を続けます。
※第2話に続く