
2022/07/19
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TikTokのミームには、遊びの要素が含まれており、「楽しさ」ドリブンで広まることを、運営側も意識して設計しています。
この「遊び」はTikTokがこれほど成長したことの裏付けとなる、重要な価値観です。若い人(今は大人にも広がっている)が、遊びや創造性や楽しさを開放する場になっているわけです。
そしてもう一つの特徴が、これまでのプラットフォームやSNSに比べて、模倣が画一的ではなく、どんどん変化します。変化して広がるスピードが断然速い。画一性に覆われる前に、どんどん新しいものが出てきます。
TikTokについてよく指摘されるように、おすすめフィードに自動で表示される動画のアルゴリズムが秀逸なため、新しいミームが出てきたときに火がつきやすい設計なのです。
最初に例に出したパンケーキ写真。これがSNS上で広がるスピードがゆっくりだと、最初は「この写真すてき」と見ていても、だんだん「またこれか」と辟易するような、ネガティブな感情も出てきます。
そうなると、UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)の投稿が減ってきてしまって、ますます新しさを感じないプラットフォームになってしまうということが起きます。

SNSにとって、UGCの質と量は生命線。そこがやせ細るのは危険です。
TikTokには、ユーザーの投稿スピードを上げる工夫があります。まず、UXが非常によく、投稿がしやすい。ちょっと動画を撮って投稿してみようというハードルが低いです。編集ツールもとてもよくできています。
ミームというものも、ハードルを下げます。これに乗っかればみんなに見てもらえる動画を作れるということにも安心感があり、そもそも短尺であること自体も参加を促します。
TikTokの性質を理解しヒットに結びつけた例について、書籍で詳しく紹介していますが、ここ最近もどんどん事例が出てきています。
2022年6月にリリースした、SEKAI NO OWARIの新曲「Habit」。複数人でお尻を振る独特なダンスのミュージックビデオが発端で、真似する動画がTikTok上に大量に出現しました。
YouTubeのミュージックビデオは6000万回超え(2022年7月中旬現在)という驚異的な再生回数を記録しています。各種ストリーミングサービスのランキングも1位になりました。
同時に、YouTuberのヒカキンがダンスに参加したバージョンの動画もHikakinTVで公開しており、こちらも再生回数は1300万回を突破しています(SEKAI NO OWARI「Habit」HIKAKIN ver.)。企画当初から、SNSでのシミュラークルが起きやすいように考えられていることが分かります。
楽曲の良さと、真似しやすいミームを提供していることが相まって、TikTokと他のプラットフォームでの循環が生まれた美しい例です。

「少年ジャンプ+」で連載中の漫画を原作とする、アニメ『SPY×FAMILY』の登場人物「アーニャ」の声を使ったミームも、ものすごいバズり方をしています。
漫画もアニメももともと人気というのもありますが、「TikTokでアーニャの声にのせて踊る動画がたくさん出てきて、なんだろうと気になってSPY×FAMILYにたどり着いた」という人も多いでしょう。
実際、GEM Partnersが発表した、複数の定額制動画配信サービスを横断して集計した2022年6月第5週の「配信サービス視聴者数ランキング(調査対象期間:6月25日~7月1日、調査対象:日本在住15~69歳男女)」によると、アニメ『SPY×FAMILY』は10週連続で首位を記録しました。

視聴者数ポイントが300ptを突破し、これは2021年1月の調査開始以来初の快挙とのことです。4月9日に第1話の配信が始まって以降、着実に視聴者数が伸び、5月第1週に200pt超えを達成。それ以降9週連続で200pt超えを果たしたとのことで、TikTokでの流行りの時期と合致します。ちなみにこれまでの最高記録は、2022年1月第4週の『鬼滅の刃』。わずかに記録を塗り替えたとのことです。
そういった流行りを分析すると、例えばGoogeトレンドで見ることができる「検索数」が上がってくる少し前に、TikTokでミームが広まってるケースが散見されます。その事例をもう一つ紹介します。
(第3話に続く)