
2022/08/01
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南 このたび、経済同友会で「クロスリーチ」という新しい企画を始めるにあたり、オープニングを飾る鼎談として金丸さんと田中さんにお越しいただきました。
経済同友会では、2016年に若手会員のための「日本の明日を考える研究会」が設置されて、金丸さんが初代の委員長をされました。
政治家の方や大先輩経営者の方を招いて勉強会をしていましたが、その中で「ラウンドテーブル」という若手経営者と先輩経営者の方々を繋ぐ年1回のカンファレンスが生まれました。

そこから、「どうやってこのムーブメントをつないでいこうか」と僕と田中さんの2人で考えた結果、経験豊富な経営者の方々と若手経営者が、より密につながりを持ち、より深くお話を聞きながら仲を深める場を作ることが、同友会において意義があることなのではと考えました。
それが、この「クロスリーチ」を始めるきっかけです。
クロスリーチでは、2人の若手経営者が話を伺いたい経験豊富な先輩経営者を指名して、2対2の「対話の時間」を作ります。
経営者としての考え方や、日本社会にどう貢献していくのかを主題に、より深くお話を伺いながら交流を深めることを目的としています。

金丸 今日はオープニング企画なんですね。よろしくお願いします。
南 元々、僕も田中さんも、金丸さんの推薦があって経済同友会に入会させてもらいました。まず、金丸さんの同友会入会のきっかけや、なぜ同友会で「日本の明日を考える研究会」を始めようと思われたのかを聞かせてください。
金丸 私が入会した1999年は、金融危機直後であり、ITバブルの幕開けの年でした。大企業でも決して安泰ではなくなったという、社会の大きな変革期でした。
当時、米国で開かれた日米経済協議会の会議で、AT&T社のマイケル・アームストロング会長から「日米でEC=エレクトリックコマースの包括法案をやろう」という提案があったそうです。
ところが、会議に参加した日本の経営者は“EC”のことを“ヨーロッパ共同体”と勘違いしていました。“EC=エレクトリックコマース(電子商取引)”のイメージがなかったんですね。当時の日本の経営者は「インターネットで商取引なんてできない」と思われていた時代でしたから。

その会議に参加していた大先輩が、私を呼んで「我々が経済の新しい動きを理解をしていないのは、まずいのではないか。同友会はデジタル技術にもコミットをすべきでは」と仰いました。
ちょうどその頃、同友会の会員になっていたマイクロソフトの成毛眞社長が「金ちゃん、出番が来たよ。俺が同友会の入会書類を書いておいたから」って言うんです(笑)。

結局、私は何の予備知識もないまま、後付けの手続きでいきなりE-エコノミー委員会の副委員長を担当することになりました。これが入会(1999年)のきっかけです。
当初は、どちらかというと消極的だったんですよ。経団連と同友会の違いもよくわからなかったし、新興ベンチャー企業の自分が「どうして競争相手である大企業の団体に関わらなきゃいけないんだ」と思っていました。
金丸 それに同友会には、千何百人の経営者が集まっているのに「なぜ日本を変えられないのか?」という素朴な疑問もありました。
ですから入会以来、私には「日本を変えたい」という思いがずっとありました。2016年に「日本の明日を考える研究会」を立ち上げたのも、“新しさ”をもたらす役割を果たしたいと思ったからで、そうした気持ちで経済同友会に貢献してきたつもりです。

同友会をはじめ、エスタブリッシュメントの最大のウィークポイントは、“新しさ”だと思います。
大企業の経営者の人たちにも、ベンチャーの人たちにも、横の連携はありますが、そこでは同じような属性の、同じ世代の人たちが、いつも同じような議論をしている。
そうすると、提言もアイデアも予想できる範囲でしか出てこない。つまり、縦方向や斜め方向のつながりが、これまで全くなかったわけです。
ところが世界はどうでしょうか。
GAFAを含め予想もしなかった起業家が、予想もしなかったビジネスを始め、ブレイクしていきました。例えばGoogleやAmazonも設立当初は赤字が続き、「大したことない企業だな」と思われていた。その先を誰も予見できなかったんです。
南 おっしゃるとおりですね。

金丸 私は、日本の経済に対してインパクトのあるアクションや提言をするには、「日頃の交流のデザイン」が大切だと思っています。今回のクロスリーチの企画は、従来とはまったく違った考えで、経営者同士の交流をデザインする企画ですよね。
この交流のデザインを、どんどんやってもらいたい。新しいメンバーが会の中にいると、フレッシュな意見が出るし、思考の幅が広がります。そうすることで、これまでとは違った社会の見方ができるんじゃないでしょうか。
例えば、コンピューターのプログラムを書いたことも読んだこともない人がDXを語るのは、ナンセンスです。システムにトラブルが起きたとき、専門外のコンサルタントが何人来たって直せません。現場でソースコードのどこかを直さない限り、次の手は打てません。
明治維新しかり、世の中を変えるときは「若い人が主役です」。この同友会がその手本を示してほしいですね。