
海外組の社会リーダー集団が、日本に希望をもたらす
構成/岩辺みどり 撮影/林 直幸
英語圏の名門大学に進学するには、小中学時代からの準備が欠かせない。自らハーバード、スタンフォードで学んだ、起業家の松田氏が創る「海外進学の決定版ガイドブック」。第11話からのシーズン2は、実践編として具体的な解説を行う(5日連続で10話公開)。

オンライン英会話で英語力を磨く
<Case Study3:ハーバード大学進学 松野さん>
ハーバード大学に進学し、政治学を学んでいる松野さ んは、茨城の公立高校出身です。彼は、他にもペンシルバニア大学やミネルヴァ大学、UCLAなどを含む22の大学に合格していました。

彼の動機は、中学の時に出合ったディベートへのワクワク感とチャレンジングな環境への喜びです。
彼は帰国子女ではありませんが、4、5歳からDMMのオンライン英会話を3年間ほど習い、英語の基礎力を磨きました。小学生時代に家族でハワイやカナダ旅行に行ったことが、彼にとってのスパイク体験となりました。
それ以来、「いつか海外の大学に行きたい」という思いを持ち続けて、その後も英語学習を持続することができたのです。
彼は、高校に入ってディベート部に入ったことをきっかけに、社会問題の解決策を考えることの楽しさに目覚めます。英語をツールとして国際問題を扱うことで、さらに社会や政治の問題解決にのめり込むようになりました。
G20の公式付属会議である「Youth20サミット」に参加してG20政府や国際機関などに政策提言をしたり、国際政治学学生協会(IAPSS)の地域調整官を務めたり、どんどん活動を広げていきました。
これらの経験から、「ハーバードで政治学を学ぶ」という目標を持つようになりました。

政治的な決定を感情論だけでなくエビデンスに基づいて行い、政策立案の効果を検証し、実現していきたい。偏りのない政策づくりを安定的に行える仕組みを作りたい。そうしたミッションを持つようになったのです。
自分だけのストーリーを話せる子に
過去3回に渡り、3人の合格者のケースを説明してきましたが、どのケースも一昼夜の思いつきや課外活動で得られるような成果ではありません。それぞれのお子さんが、自分の興味や関心、原体験から仮設を立て、検証行動へと動かしてきた結果です。
そこに共通しているのは、成長マインドセットであり、ツールとしての英語であり、自分だけの強いコンテキストのあるストーリーです。

そして、この成長マインドセットを育むには、幼少期や小中学生から親がどういう接し方をして、どのような環境を提供して、どのように伴走しているかが大きく影響してきます。ものすごい時間と労力がかかります。
だからこそ、これを読んでくださっている親や先生には、できるだけ早い段階で子どもたちの主体性を引き出してほしいのです。
本当に子どもを見ているのか
子どもを見ていますか? 子どもを観察していますか? 子どもを愛していますか?
僕が本当に伝えたいのは、そういった子育ての基本的なことであり、特別な英才教育をしましょうということではありません。「こんなすごい子を育てるのか」とプレッシャーに感じていただくために、ケーススタディをお話したわけでもありません。
習い事、受験、学校選び……子どもを二の次にして進めていませんか?
子どもの目を見て話していますか? 子どもが学校で何があったのかという話を聞いていますか?
ちょっと表情がおかしい、というような変化に気づいていますか?
根本的な子育てにおける愛の話だと思うのですが、愛というとファジーに聞こえてしまうかもしれません。それでも、愛があれば子どもに興味を持ち、気になり、話を聞き、一緒に探究したいと思うはずです。その喜びを共有したいと思うはずです。

僕が今、日米を行き来する生活をしていて感じるのは、日本では家族の中の愛情を感じづらい環境にあるということです。
仕事に忙しくてゆとりがなく、父親や母親が家族で過ごす時間を十分に取れていません。そして、そもそも大人自身が目標設定をできておらず、日々の生活に流されてしまっています。
僕が、日本の将来に不安を感じているのは、家族の基盤が曖昧なことに加えて、いまだに子どもたちを偏差値の高い大学や有名な企業に盲目的に行かせようとしているからです。
社会を変えるリーダーを1000人、2000人に増やす
僕自身、社会起業家として様々な課題の解決に取り組んできた結果、「1人のリーダーや1つの組織で根本的に解決できる社会課題なんてない」と痛感しました。
僕が海外進学塾のCrimson EducationやオンラインのインターナショナルスクールのCrimson Global Academyをやっているのも、社会課題を解決するリーダーを育てていきたいからです。
一人でできることはたかが知れています。
大事なのは、主体性、当事者意識、思い切って立ち上がる行動力を持った集団なのです。
そうしたリーダーが100人、1000人、1万人と出てくれば、日本の様々な課題が解決されると僕は本当に信じています。そういう人を一人でも育てていきたいのです
課題先進国である日本だからこそ、日本で生み出したソリューションを、世界に広げていくこともできるはずです。グローバルな経験を経たリーダーたちであれば、そうした日本のソリューションを世界へと輸出できるはずです。そうしたサイクルが10年後、20年後に生まれていることを強く願っています。
その夢を実現するためにも、僕は社会を変えるリーダーを1000人、2000人と増やしていきます。そうすれば、日本の未来に希望をもたらせると僕は信じています。
