
令和の起業家に求められる 人としてのインテグリティ
取材・構成/宮本恵理子、宮本香奈 撮影/林 直幸
――「令和の起業家」に必要な資質は何だと思いますか。
かっこよく言うと、インテグリティ(integrity、誠実さ)なのかなと思います。
私たちのプラットフォーム内にも表れているように、個人の会社の選び方、働き方が大きく変わってきています。
会社の規模や知名度ではなく「この人と働きたい」「この人の夢に自分の人生を賭けたい」というように、以前より“人格”が見られていると強く感じます。
以前はスーパーマンやサイボーグみたいな人しかトップに立てなかったのに対し、プライベートも含めて岩崎由夏という人間を知ってもらった上で、私の強いところも弱いところも、全部含めて関わろうと思ってもらえるかが、リーダーの資質として問われる時代になっています。
「誠実さ」とは、嘘をつかないことや、相手の人生と向き合うことといった、人間として大切な姿勢です。
それが抜けてしまうと、サポートしてくれる人は減ってしまうという緊張感は常にあります。
私はプロジェクトマネジメント力やリーダーシップが足りていないので、今もし会社員として自分の会社の経営陣たちと同じ土俵に立って戦ったら負けてしまうと思います。
ただ、嘘はつかないし、決めたことに対しては逃げない自信はある。そういうところをみんな信じてついてきてくれているのかもしれません。
――ご自身がリーダーとして、一番飛躍したフェーズはいつでしたか。
やはり起業した経験が一番大きいと思います。
私は前職時代にエース社員でもなく、ただのオールマイティー社員でした。
マネジャーでもなく、平社員として火がついているところに派遣されて、それなりにやって異動させられるという日々でした。
何か特に優れているという分野があったわけでもなく、マネジメントなどのキャリアアップを積んでいたわけでもなく、すべてが中途半端でした。
でも起業すると、自分が自動的にボスになり、部下がいる世界になるので、必要に迫られて成長したのだと思います。
私は性格にも難があり、“しょうもない人間”だったので、夫に「起業してくれて本当に良かった」と言われます(笑)。
起業してビジネスパーソンとしてまともになったし、人として性格も良くなったと(笑)。自分に自信がない人ほど、起業はおすすめです。

――起業にチャレンジする勇気を持つためのヒントはありますか? 「しっかりとした計画を立ててからじゃないと」と足踏みしている人もいます。
ロールモデルは重要ですね。身近で仲の良い人が起業しているだけで、周りの人の人生も変わるはずです。
それに、起業に壮大な計画は要らないです。
私が起業するか悩んでいた頃、先輩起業家の中川綾太郎さんに、「全部タスク分解したら、起業なんて誰にでもできる」とアドバイスをいただきました。
「法人設立するとなったら、法務局のホームページを見て、ハンコをつくる。ハンコをつくるとなったら、楽天で発注する」という具合に、細かいタスクに分解すればすぐに行動できるというお話でした。
私は当時、タスクの分解とタスクキルの得意な「プロ会社員」だったので(笑)、タスクに落とし込んでみたら本当に起業することができました。
――あらためて、人生を前向きに歩んでいきたい読者の方々にメッセージをお願いします。
最近「一隅を照らす」というワードがマイブームです。
この事業をしていると、「転職を推奨しているのか」とか「副業をすべきですか」とか「起業すべきですか」といった問いをいただくことがあるのですが、私は転職も副業も「したら楽しいよ」と思っているだけ。
すべての人に対して、今すぐ動くべきというメッセージを発信しているつもりはありません。
自分が今ここにいるべき意味があって、今やるべき仕事があるのであれば、一生懸命やるのがいいと思います。
その結果として、全員で日本のモメンタムを上げられたら嬉しいなと思っています。
簡単に言うと「みんな、自分の持ち場はよろしく頼むね!」という考え方です。
日本のモメンタムを上げるためには、光をどこに当てるかという意味でメディアの力は大きいと思っています。
最近テレビの報道は特に悲観的な話や批判がベースのものが多いことが気になっていて、私は「モメンタムストッパー」と呼んでいます。
たとえるなら「日本、行けるぞー!」と、自転車で坂を上っている人の邪魔をして、止めているような行為で大罪だと思います。
ここは極力みんなで「日本行けー!」「一気に坂を上り切ろう!」と盛り上げないといけない。
特に私たちの世代にとって、ネガティブなトーンで「頑張っているね(笑)」とか「意識高いね」とか、誰かのモメンタムを止めるような発言は無駄ですよね。
「モメンタムストッパー」にならず、自分たちのモメンタムを上げることにエネルギーを注ぎたい。
私も坂道を全力で上り続けられるよう、力をつけていきます。
――前向きになれるメッセージを、ありがとうございました。

※岩崎さんのキャリアを深掘りする映像インタビューもお楽しみください。