
2022年2月1日
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――インスタグラムの話に戻りますが、出てくる登場人物が大物ばかりで驚きました。創業者の2人は、マーク・ザッカーバーグとも、ジャック・ドーシーとも、ジャスティン・ビーバーとも親しかった。シリコンバレー全体がコミュニティーのようなものなのですか?
外国の読者から一番よく聞かれることの一つは、「私が住んでいるところでは、カクテルパーティーで(大物投資家の)マーク・アンドリーセンにばったり会うなんてことは起きないので、会社を立ち上げるのは無理なんでしょうか」というものです。
「カフェでジャック・ドーシーとばったり会えなかったら、チャンスはないのでしょうか」と。
でも、世界は大きく変わりつつあり、企業も米国外から多くの人を雇っています。そもそも今は、いろいろなロケーションから仕事をしている人が大勢いますからね。
これからは、「ネクスト・ビッグ・アイデア」が生まれるのは、シリコンバレーだけではないと思います。米国は、外国人が就労ビザを取得するのが難しくなっていることも関係してくるでしょう。ですから、次のアイデアは、米国外のほうが持続可能性があるのかもしれません。
――起業家や企業は、ユーザーのメンタルヘルスを気にかけるなど、もっと倫理的になってきたと思いますか。
その領域では多くのアプリがありますよね。問題は、それが人間の本質と対立することです。
人間の本質と、アルゴリズムが推奨するコンテンツが織りなすダイナミクスは興味深いものです。例えば、フェイスブックでバイラルになるのは、最も扇動的で、ショッキングで、怒りに満ちたコンテンツです。人間の本質が問題なわけではありません。
ほとんどの場合、問題があるのはアルゴリズムの側です。この種のものをもたないネットワークを構築するなら、人々を夢中にさせるほかの仕組みを用意しなくてはいけません。
――ツイッターがインスタグラムを買収していたら、ソーシャルメディアの世界は変わっていたと思いますか。
ツイッターがインスタグラムを買収していたら、vine(ヴァイン)と同じ運命をたどっていたでしょうね。ツイッターが、ポテンシャルの大きなアプリを買収するとどうなるかは、vineの例が示していると思います。
今はTikTokが大人気ですが、当時はvineがそうだったのです。それなのに買収早々に、ツイッターが扱いを間違った。
もちろん、vineとインスタグラムは非常に異なるものですが。vineの創業者たちは、インスタグラムの創業者たちよりもずっと足並みがそろわず、なぜ、どうして、どういうビジネスモデルにするかなどについて、多くの混乱がありました。
そう考えると、インスタグラムをダメにしなかったという意味で、フェイスブックは少しばかり称賛されるべきなのかもしれません。
ツイッターだったら、最初からインスタグラムをもっと融合させていたでしょう。ツイッターの取締役会がインスタグラムを見たときのことを想像してみてください。ツイッターに写真を投稿する素晴らしい方法だと思ったに違いありません。
――フェイスブックは、インスタグラムをそのままに維持したというのですね。
インスタグラムにフェイスブック・カルチャーがたくさん吹き込まれたのは事実です。ただ、インスタグラムがあのまま急成長していたら、独立を維持できたかどうか分かりません。
もっとひどいことになっていた可能性もあると思います。
当初は、フェイスブックから必要なサポートを得られていて、プレッシャーもさほど大きくなかった。
でも、しょっちゅうお知らせ(通知)が届いたり、もっとたくさんの人をフォローするように勧めたりといった、フェイスブックによってもたらされた成長ツールは、インスタグラムから人間的なテイストを奪ってしまった。
――本を書いたあと、世界の読者の反応は?
「インスタグラムは私の生活の糧です」と言う人も多いですね。「インスタグラムのおかげで自分のビジネスを構築できた。これがなかったから、どうなっていたか分からない」というのです。こうした声を聞けてうれしく思っています。
また、感謝のメッセージをたくさんもらいました。というのも、米国外では、インスタグラムの運営はどうなっているかまったく分からないからです。
(インスタグラム社の担当部署の)電話番号も分からないし、シリコンバレーと違って、「友達の友達がフェイスブックで働いている」というようなこともない。自分のアカウントがダウンしたら、どこかに電話をして復旧してもらう仕組みも、想像つかないですよね。
多くの人が、インスタグラムにうまく利用されていると感じて始めています。外国のミニセレブたちがハッキングされても、困ることばかりです。「インスタグラムを知る人で、私がリーチできたのはあなただけだ」という声をたくさん聞き、本の著者である私に連絡をしてくれる人まで、いました。残念ながら、私にも大した答えはできないのですが。
インスタグラムのグローバルなリーチに、本当に多くの人が生活を賭けていることを知りました。何かがうまくいかなくなったとき、彼らには相談する人がいないこともです。
――あなたが今一番注目していることはなんですか?
反トラスト法に基づく、ソーシャルメディアの分割圧力に注目しています。シリコンバレーの人材の分野でも、面白いストーリーがある。
規制当局だけでなく、従業員もビッグテックの責任を問うようになったこと。インスタグラムの次のステップ。何に投資し、プロダクトの意図せぬ結果に何を見出すのか。テクノロジーのブームの次に起こることにも注目しています。