
上場後の成長戦略とグローバル戦略
聞き手/佐々木紀彦 撮影/林 直幸
グローバルでライバルはいない
――波乱万丈でありながらも、順調に基幹サービスが育ってきて、今後は建設業界以外のさまざまな業界に広げていこうとしています。3、4年後にはグローバル展開も視野に入れているそうですが、今後はどう進化していくんでしょうか?
3、4年後に向けて、すごくいろんな可能性があると思うんです。
例えば、Safie Pocket2というクラウドウェアラブルカメラは、建設現場での遠隔業務推進のために主に使われているのですが、最近では、他業界での活用も伸びています。

例えば、「焼肉ライク」ではセーフィー対応カメラを導入してもらっています。各店舗に、厨房やホール全体を見渡せる場所、金庫、レジなどに5、6台カメラを設置して、その映像を通して、オペレーションや接客の改善に生かしています。店舗の営業時間外は、同じカメラがセキュリティ用に切り替わるという仕組みです。
飲食店以外でも、保育園の現場で、子どもに何かあったときのヒヤリハット防止のために活用したり、製造現場では録画データを使ってトラブル検証に使ったりしています。
公共領域での活用も進めていて、千葉市と組んで、災害時の被害や避難所の状況のリアルタイム確認などに使えるよう、実証実験をしているところです。
その他には、カメラの映像をYouTubeと連携してライブ配信できるオプション機能も展開しています。例えば、ゴルフ場にカメラを置いたり、キャディさんにカメラをつけたりすれば、目の前のプレーを配信できるわけです。
他にも、顔認証による入退室管理や、AIによる混雑状況の分析や来店者分析など、アプリケーションをどんどん増やしています。
メインの建設分野でも、建機で人が轢かれて事故になってしまわないように「カメラ+AI」で安全管理を見ていくとか、クレーンにカメラを付けて作業効率を見ていくなど、現場のDXに向けたプロダクト開発を行っています。ロボットと人間が一緒に働きやすい建設現場を作るための取り組みも、進めているところです。
――そうしたサービスを国内で進化させて、ゆくゆくはグローバルに広げていくということですね?
セーフィーのようなサービスは、グローバルに競合がいるわけではないので、世界でも可能性はあると思いますが、一番大事なのはいいパートナーに巡り合うことです。

いきなりアプリケーションサービスだけを作って展開して一時的に売れたとしても、三方よしで永続的にもうかるビジネスにはなりません。いいパートナーを選んで、良いサービスが回る循環を最初に作ってから、グローバル展開をしっかりやっていこうと思っています。
採用のためにも、知名度アップに挑む
――2021年に上場しましたが、その資金は人件費や広告費に投入すると宣言しています。
今回100億円ぐらい調達をしましたが、次の10年のセーフィーを創るためにも、若くて優秀な人材が集まってくる会社でありたいと思っています。
ソニーは2021年度に最高益を出しましたが、そこに至るプロセスで事業内容を大きく変えていますよね。昔は、テレビやカメラのハードウェア企業だったのが、今ではゲームや音楽や映像といったコンテンツ企業にシフトしています。
ソニーが時代に合わせて自らを変えられているのも、優秀な人材がそろっているからだと思うんです。
我々も、変化に強い企業にするためにも、新しいチャレンジをしたいと思う優秀な人たちにとにかく集まってもらいたい。映像のプラットフォームはいろんな断面があるので、ゲーム、自動運転、コミュニケーションなど、あらゆる業種やカテゴリーを変えていくことができます。
ただ大きな課題として、セーフィーは知名度がすごく低いんです。
今までは事業作りに集中して、プロモーションに時間もお金もかけてきませんでした。知名度が低いと採用がうまくできないので、知名度をしっかり上げていくためにも、広告宣伝を強化していくつもりです。
――やっぱり、BtoBでも知名度は大事ですか?
売り上げ100億円までであれば、知名度があってもなくてもいくという感触はあります。
ただ、それを超えてエンタープライズにまで使ってもらおうと思うと、決裁者の人たちにセーフィーを知ってもらったほうがいいと思うんです。今どき、セールスフォースを知らない決裁者はほとんどいませんよね。
事業を横展開していく上でも知名度はすごく重要です。セーフィーは副次的なサービスをたくさん立ち上げていくので、一つひとつのサービスをプロモーションしていくと無駄が多くなってしまいます。
アップルも、アップルのシームレスなUXやブランドを起点にMacBookやiPhoneやApple Watchを展開しているので、プロダクトごとの相乗効果が大きくなっています。
その意味でも、「インテル、入ってる」みたいな感じでもいいですが、いろんなサービスの中にセーフィーが入っていることを知ってもらうことに、すごく価値があるのではないかと思っているんです。
